子供が完全に眠りに就いた。
そう確認した会社員は
リビングのカーテンを少し開け、
懐中電灯を2回、点滅させました。
後輩の女性も2回、
懐中電灯を点滅させて「了解」と返信。
決行です。
待っていた後輩の男性たち2人が、
子供部屋がある2階まで梯子を伸ばしました。
1人が梯子を支え、1人が上ります。
粉雪混じりの風が吹く午後10時すぎ。
街灯がわずかにサンタ役を照らしていました。
サンタ役の後輩は本番に強いタイプ。
バランスを崩しながらも梯子を上り、
子供部屋に入ってきました。
子供の枕元にプレゼントを置き、
子供を揺さぶって、
目を開けたのを確認してから。
「ヒューヴァー ヨウルワー」
フィンランド語で
メリークリスマスをしっかり伝えてから、
土足のままゆっくりとリビングを通過し、
玄関から出て行きました。
目をこすりながら子供がリビングに出てきました。
寝ぼけていた子供が突然、
驚いた表情に変わりました。
「お父さん、いま…。見た?」
「ああ、サンタさんね」
「サンタさんが来たの。私のところに…」
「そうだね。パパの前を通って行った」
「本当に来たの。見たでしょ?」
「ああ、見たよ。お前が良い子だから。当然さ」
子供は抱かれて再びベッドへ。
布団に入ったあとすぐ、
眠ってしまったといいます。
それから十数年経ったある日。
会社員と子供が食事をしていて、
サンタクロースの話になりました。
会社員が「あの時は大変だった」と
懐かしんでいたら…
子供が「えっ?」
子供は本当に信じていたそうです。
成人した後もずっと。
他の子は「見たことがない」というサンタが、
私だけ見えたと思っていた。
友達にも黙っていた秘密だった。
友達でさえ信じてくれるはずがないから。
会社員は笑って言いました。
サンタが本当にいると思ってくれたのは、
本気で取り組んだからですね。
冬になると、
この話を思い出します。
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