(ぼくの家の前の公園の滑り台)
ぼくが先生になりたての時に出会ったお母さんがいたの。
シングルで息子さんを一生懸命に育てていたんだ。
けっして裕福ではなかったけど、明るく子どもに接していたの。
あの当時は母子家庭ってそれほど多くはなかったから、周りの保護者達の理解もそれほど良くはなかったと思うんだよね…。
今以上に大変な思いをしたと思う。
その男の子はね、とっても優しいの。とっても穏やかなの。穏やか過ぎるくらい。
運動をして負けても悔しがらなくてね…若いぼくには、覇気が足りなく見えていたんだよね。
でね、家庭訪問をしてね、
お母さんにいろいろと話を聞いたの。
お母さんは、心を開いて正直に自分の思うことを話してくれた。
お母さんのお父さんは、ものすごく厳しかったんだって。
お母さんは、ずっと怯えて過ごしてきたって。
今でも心の傷は消えなくて苦しんでいるって。
だから、息子には甘やかすくらい優しくしているんだって。
自分が親からして欲しかったことを、息子にはしてあげたいんだって。
ぼくはね、話を聴きながら、時々涙が流れてきてね…。
そうだったのか。。。
お母さんは、そこまで息子に愛情を注いているのか…。
お母さんの思いは、ひしひしと伝わってきた。
そして当たり前だけど、お母さんだって親から育てられてきたんだよなぁって、改めて思ったの。
お母さんのこと、子どものことが随分と理解することができた。
理解できたから、男の子を『覇気がない』から『優しく穏やか』へと認め受け入れることができた。
それにしても…
ぼくの中では、ちょっと甘やかし過ぎじゃないのかなぁ。。。
って疑問の思いは残ったの。
でも、お母さんの思いはしっかりと受け入れて、学校での子育てに当たったの。
お母さんとは、家庭と学校と協力して子育てしていきましょうね。って言ってたの。
卒業式の後の謝恩会では、お母さんに泣きながらとても感謝していただいたの。
で、月日は流れて、男の子はどうなったか。
なんと、自衛官になったの。
もう40代の立派なバリバリの自衛官。
優しく強い人間になっている。
甘やかすのがいけない訳じゃないんだよね。
甘やかし方が問題なんだよね。
そのお母さんはね、お金があまりない代わりに、愛情をたっぷりあげていたの。
子どものことをさっぱり叱らなかったの。
さっぱり叱らなくても、子どもは真っ当に育つって教えてもらったの。
大事なことは、愛情だって痛感させられたの。
頭ではわかっていても、実際にやろうとすると周りから茶々が入るからね。
それでもやり通すって大変だよね。
理解者がいてくれるとうれしいよね。
だれか周りに味方になってくれる人が見つかるといいなぁ。
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