幼い頃見た夢の記憶
丘の上
風の匂い
大きな木が揺れていた
丘の上に立つ綺麗な人は
いつも悲しげな目をしてた
それが自分の前世の姿だと
あの頃は気づいていなかった
寄り添う男の人の影
それがあの人だって
いつからわかっていたのだろう
決して
結ばれることのなかった
前世の記憶
苦しいだけのあの頃の思い出
死ぬよりもっと怖いこと
それはあなたを失うこと
あなたが戦に行かずに
住む世界を
作れるならばそれでいい
黙ってどこにでも嫁ぎましょう
来世ではもっと幸せな出会いを
来世こそは あなたの妻に・・・
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ユニョン姫?
どうした?
また夢を見たのか?
んん?
寝ぼけて目を開けると
いつものように
心配そうな顔のイサがいた
久しぶりに
ユニョン姫と呼ばれていた
子供の頃を思い出す
やだ
私ったら またここで
うたた寝しちゃったのね?
どうもここの匂い嗅ぐと
落ち着くのよね
診療所の薬臭さで
落ち着くなんて
君くらいだぞ
そう言って髪を撫でてくれる
その手の温かさが愛おしい
だって
疲れちゃったんだもの
結婚式の準備って大変なのね〜
花嫁衣装の
採寸だけでぐったり〜よ
なのに
引き出物はどうする
とか?
招待客は?とか
ヘジャったら容赦ないのよ!
だいたいイサが全部私に
丸投げするからこんなことに〜
ふくれっ面をしてみせると
途端にオロオロするイサの姿に
思わず笑みがこぼれた
それはすまなかった
だが 準備は任せろと
胸を張ったのはユニョンだぞ?
そうだけど〜
それに当日まで
花嫁衣装は秘密にしたいって
言ったのも・・・
君じゃあないか?
それも
そうだけどぉ〜
オレは婚礼のことは
君の好きにしたら
それでいいと思っているけど
そんなに
大変なら何か手伝うか?
真剣なイサの問いかけに
ユニョンは首を振った
ううん やっぱりいい
イサには迷惑かけたくないの
季節の変わり目で
診療所も忙しいでしょう?
夫婦になるのに迷惑なんてこと
あるものか
それに診療所が忙しいのは
いつものことだろ
だけど
養成所の講師もあるし
それも慣れているよ
それになぁ
式の準備でそんなに
君を疲れさせるなら
オレ
ヒョンに殴り飛ばされそうだぞ
まあ!イサ
まだヒョンって??
ヒョンじゃあなくって
あああ 親父殿だろ?
も〜 慣れないんだよなぁ
この言い方
この辺がむずかゆくなる!
イサは喉のあたりを指差して
苦笑した
ユニョンの父親は娘を溺愛する
高麗一強い武士だ
その高い壁を二人でよじ登り
「ユニョンをください」
と決闘を経て
ようやく
父親にも認められ
婚礼は黄菊の咲き誇る
秋に決まった
本当にここまで来るのに
どれほど長い時間が
かかったことか・・・
そうしてユニョンは
イサと新しい所帯を持つため
新生活の準備に取り掛かった
のだが・・・
「今まで花嫁修行も何も
させてこなかったでしょう
あの子
本当に何にもできないわよ
料理も苦手だし裁縫も洗濯も
やったことがないの
それに医術に関しても
基礎知識しかないもの
嫁ぐまでに
何かと修行が必要だわ」
申し訳なさそうに
イサに言うのは
師匠でもあるユニョンの母親
イサとしては
嫁に来てもらえるだけで
十分なのだが
負けず嫌いなユニョンは
厳しい花嫁修行を
やり遂げるとイサに宣言した
だからユニョンは現在
付け焼刃でいろんなことを
修行中の身なのだ
ウンスが白羽の矢を立てた
ユニョンの指南役は
屋敷の女中頭を務めていた
超有能なヘジャだった
彼女は女中頭を養女の
オクリョンに引き継ぎ
夫のソクテとのんびりと
屋敷内で暮らしているが
「他ならぬ
ユニョンお嬢様のため
一肌脱ぎましょう
ヘジャにお任せを」
とばかりに張り切っていて
ユニョンは必死に
食らいついているところ
だった
ユニョン姫
奥向きのことは
人を雇えなばいいし
なんとかなるぞ
だいたい今まで父上と二人
男所帯で何も困ったことはない
とにかくオレは
君がそばにいてくれるだけで
それだけでいいんだから
頑張りすぎて
君が倒れたら本末転倒だろ?
あまり無理するなよ
うん
ありがとう・・・
ユニョンはコツンと
イサの肩に頭を乗せ微笑んだ
昔から頑張りすぎるから
見ていてハラハラするよ
お守りをする方の身にも
なってくれ
あら?
手がかかる子で
悪かったわね
ああ 本当に!
昔っから手がかかる
なのに
放って置けないし
困ったもんだ
そういう私が
好きなくせに〜
ユニョンはククっと
笑った
笑い顔が父親に
似て見えたのは気のせいか?
・・・
え?
なんでそこで黙るのよ!
まさか私のこと
もう嫌いになったの?
あのなぁ
嫌いになるわけないだろ
そんな戯言ばかり言って
オレを困らせるなら
ん?
イサはニヤリと笑う
お仕置きだ
手加減しないぞ
え?
やっイサ?
あっ んっんっ
他にひと気のない診療室で
舌が絡まるほどの
激しい口づけ
唇が合わさるだけの
今までの優しい口づけが
嘘のような
息継ぎの間合いもわからない
大人の口づけに
ユニョンは膝の力が抜けて
必死にイサの胸元をつかんだ
イサ・・・
いき・・・
できない・・・よぉ
ようやく離れた唇が
熱く濡れている
心臓はばくばくして
今にも破裂しそうな勢いだ
崩れ落ちたユニョンを
腕にしっかり抱え込み
イサは笑って
もう一度
唇に軽く触れた
好きだよ
ユニョン
オレの・・・
オレだけの姫
年の差は十七歳
父親の心配も
周りのやっかみも
そんなこと全部吹っ飛ばして
押し倒し
ただめちゃくちゃに
ここで抱いてしまいたい
だがイサは
まだあどけなさの残る
最愛の女人を抱きしめて
懸命に己の欲望と戦いながら
その細い首筋から漂う
ほのかな香りを
鼻腔いっぱいに吸い込んだ
そうして
風に揺れる黄色い菊が
秋の訪れを知らせ
気がつけば季節は巡り
二人が心から待ち望んだ
婚礼の時を迎えた
作曲押尾コータロー
作詞伊勢正三
キム・ヒョンジュン「黄昏」
過去に書いた「イサの恋物語」は
全4話なわけですが
続きが・・・気になる!
という方のために
次回「イサの恋物語」5を
新作としてお届けいたします
お楽しみに〜
お話にコメントいただき
ありがとうございます
お返事できずにすみません
抜歯は月末 手術になりました
ご心配お気遣いいただいた皆様
ありがとうございます
今からドキドキですが
「タン祭」には被らずに
乗り切れそうでよかったです!
アメ限の企画に
続々ご参加ありがとうございます
引き続きお待ちしてますね〜
初の女性総理が誕生しました
不安や心配なことが多い
混沌とした世の中が
少しでも
明るくなりますように
どうぞ
またおつきあいくださいませ