迎えに来た夫チェヨンと
腕を組み
奥へ続く廊下から
子供達が待つ奥の間へと
向かう
女中たちが飾った
小さな花の花瓶が
廊下のあちらこちらに
置かれていて
いい香りを放っている
その脇には等間隔に配置された
ロウソクの光がほのかに
揺らめいていて とても美しい
これはタンのアイデアだろうか?
夕暮れ時の儚さもあって
揺れるロウソクの炎が
いっそう幻想的に
ウンスには思え
嬉し涙であたりが霞んで見えた
子供達が一生懸命
用意してくれた空間
なんて
素敵なんだろう・・・
ロウソクの灯りは
庭にも続いていて
庭全体がまるで
魔法にでもかかったみたいに
ぼうっと浮き上がって見えた
ウンスは
隣を歩く夫の横顔を見つめた
夫の優しい視線が
ウンスに降り注ぐ
イムジャ
とても綺麗だぞ
もう からかわないでよ
涙が出ちゃうわ
今
すごく感動しているの
ウンスはチェヨンが誂えた
薄桃色のチマチョゴリを
身にまとっていた
頭には
スニョンに被せてもらった
金糸の刺繍が施された
白いベール
ユニョンから渡された
色とりどりの花のブーケを
手にしている
妻の美しさに
チェヨンは再び見惚れる
そういうチェヨンは
麒麟の文様の入った衣の
正装姿で
子供達に頼まれた大役に
幾分緊張の面持ちだ
両親の姿に
子供達の歓声が屋敷に鳴り響いた
家の使用人たちの
おめでとうございますの合唱も
聞こえてくる
そして叔母チェ・ギョンウォンや
友人のポムやヨンファやウネも
いつのまにか
顔を揃えていて拍手をしていた
やだ?どおして?
今日は来られないって
言ってたじゃない??
ウネの前を通り過ぎた時
ウンスはぼそりと聞いた
ごめんね ウンスさん
これが天界式のサプライズ
ってやつよね?
前にお屋敷に来た時
タンちゃんに相談されたのよ
すごくいい策だったから
そういうことなら
ひと肌脱ごうじゃないって
ことになったわけ
来ないと見せかけて
まさかの参列
ウンスさん どうよ?
子供達が計画した誕生日祝い
素敵でしょう?
ウネがイラズラっぽく
笑って尋ねた
ウンスは大きく頷いて
目頭を押さえた
最初に
両親の二度目の結婚式を
思いついたのは
賢い長男のタンだった
オンマの誕生日ぱーちいのことで
悩んでいた時に
大叔母のチェ・ギョンウォンから
偶然両親の結婚式の話を聞いた
とても素晴らしい婚礼で
ウンスはとても美しく
多くの人が祝福してくれて
居心地の良い式だったと・・・
そしたら
その話を聞いていたサンが
急に言い出したのだ
オンマとアッパは
すいとんてんっていうんだよ
テンカイのばぁばがいってたもん
結婚して十年って
だいじなんだって〜
すいとん?てん?
聞いたこともない話だが
タンの頭の中では
すぐに
母親の花嫁姿が浮かんだ
両親が結婚したのは
まだ冬の時期の一月だった
だが今年の結婚記念の日は
二人は忙しくて
お祝いどころじゃなかった
それで
そうだ!
オンマの誕生日のお祝いと
すいとんてんのお祝いを
一緒にやったらいいんだ
タンの策に
最初に飛びついたのは
スニョンとユニョンだった
オンマをもう一度花嫁さんに・・・
しかも自分たちの手で・・・
うっとりした姉妹は
どうせなら
天界式の結婚式がいいと
兄に言った
だが実際天界式の結婚式など
知るはずもない
さぷらいずにしたいから
オンマに聞くわけにもいかない
どうしたものか?と思案している時
タンがサンからお土産にもらった
天界の書物の中に
それっぽいものを見つけたのだ
髪の長い女人が白い布を被って
手に花を持っている
隣には男の人がいて
二人は長い廊下を歩いていく
それから子供達は
ウンス以外の人々を巻き込んで
大作戦を決行した
子供達から
相談を受けたチェヨンは
二度目の婚礼は
いいアイデアだと思った
ウンスが喜ぶ顔が浮かんだ
指輪の交換の話は
十年前の婚礼の時に
天界の話として聞いていたから
今回は早速その手配もした
金の揃いの指輪で
真ん中に小さな宝石が付いていて
キラッキラ光っている品で
ソンムル選びに悩んでいた
チェヨンにとっても
タンのアイデアは渡りに船
と言えた・・・
その上もう一度
新郎として新婦ウンスの横に
立つことができるとは
チェヨン自身も感無量だった
廊下を歩いてきた二人は
奥の間の赤い敷物の上で
互いに見つめ合う
指輪の交換だ
子供達が囃し立てる中
チェヨンはウンスの左の指に
指輪をはめ
続いてウンスがチェヨンに・・・
オンマ誕生日おめでとう
それとサンたちのオンマと
アッパになってくれて
ありがとう!
オンマ アッパ!
すいとんてん おめでとう
代表してサンが
祝いの言葉を述べて
ウンスは思わず吹き出した
ああぁ〜
スイートテン
うふふ
すっごく素敵なお祝い
ありがとう
宝物がまた増えた気分よ
ウンスはサンを抱きしめ
答える
すると今度はタンが
庭に降りて
両親を手招きした
あのね
お誕生日ソンムル
スゴクなやんだんだよ
それで考えたの
この庭には
五本のムグンファが
植えてあるけど・・・
アッパとオンマのがないなぁ
って・・・
それでソクテに相談して
ムグンファの苗木を用意したの
今から二人で植えてね
これ「らぶらぶの木」
二人で一つ
アッパとオンマはいつでも一緒
だもんね?
まああ
若様はなんて
オシャレなことを
思いつくのでするかぁ!
素敵でする
ラブラブの木
我が家にも植えたいでする!
ポムが感心したように
はしゃいだ声で言った
結婚式だけでも
十分驚いているのに
記念植樹まで・・・
策士の子供達は
ものすごく人を感動させる
策士たちね
ウンスはとうとう
嬉し涙で泣き出して
チェヨンの胸に顔を埋めた
家族の幸せを願ってきたけど
一番の幸せを
もらっているのは私自身だわ
ありがとう
そんな妻を
チェヨンは力強く抱きしめる
礼を言うのは 俺の方だぞ
俺はイムジャと出会って
こうして家族も増えて
満ち足りた日々を
送っておる
イムジャ・・・
十年前も今もこれからも
ずっと変わらず
俺はイムジャを恋い慕う
愛している・・・
庭に散りばめられた
ロウソクの炎が
ゆらゆら ゆらゆら
二人の夫婦の歩みを
祝福していた
*******
『今日よりも明日もっと』
ありがとう
愛しています
魔法の言葉で
人は幸せになれるもの
ウンスの誕生日ぱーちい
もう少し続きます
おつきあいくださいね
気温差が激しい春
体調に気を付け
安寧にお過ごしくださいませ