ソルリどうしたのだ?
無理やり兵舎に
入り込もうとして
トクマンに羽交い締めに
されているソルリを見て
チュンソクは言った
隊長 知り合いですか?
ああ 俺の屋敷の女中だ
な~んだ そうでしたかぁ
え?ええ?
火急の用向き?
お屋敷で何かあった?とか?
トクマンの顔がひきつる
それをお伝えに参りました
ですから
お手をお離しください
あ
すまん
トクマンが慌てて
手を離しすと
ソルリがチュンソクに向かい
一気に捲し立てた
旦那様 申し訳ありません
わたしを手打ちにして
くださいませ
ただごとではないと踏んだ
チェヨンが
チュンソクに
顎でくいと
兵舎に行けと合図した
チュンソクが頷く
チェヨンは何事かと
わらわらと
集まってきた隊員たちに
なんでもない
お前たちは稽古をしてろ
ぎろりと
睨みを利かせ言った
隊員たちが散り散り
散っていく
ポムを姫様と慕う
テマンの弟分ウォンが
心配そうに
やり稽古の手を止めて
成り行きを見ていた
おまえが気にしても
どうなるもんでもないだろ
ポム様をお守りするためには
とにかく鍛錬あるのみだぞ
テマンがウォンに言った
ああ おら頑張る
チェヨン チュンソク
ソルリが兵舎の中に消えると
広場はまた
厳しい鍛錬の号令が
鳴り響いた
チュンソクの部屋にいる
ソルリが泣いている
お嬢様に
お嬢様にもしものことが
あったなら
わたしは わたしは
ポムがどうしたのだ?
チュンソクの顔色が変わり
チェヨンが間に入って
事情を尋ねた
ソルリとやら
順序だてて話が出来るか?
ソルリが小さく頷いて
肩を震わせながら呟いた
お嬢様が
いえ
奥様がいないのです
いなくなっただと!
どう言うことだ!
屋敷から連れ去られたのか?
鬼の形相で
詰問するチュンソクを
チェヨンが制した
チュンソク
お前も落ち着け
ソルリとやら
嫁御はどこで
いなくなったのだ?
屋敷の中か?
チェヨンが緩やかに問いかけ
ソルリはチェヨンを見つめた
怖そうな方だが
優しい目をしていると
ソルリは思った
いえ
奥様がソルラルの買い出しに
行きたいと申されて
そうであったか
うちのも行きたがっておった
人ごみに
赤ん坊を連れて行けぬゆえ
諦めたようだが
市が立ち並び賑やかな様子だと
聞いておる
チェヨンはソルリの
気持ちをほぐすため
四方山話のように言った
はい
奥様も今日はお休みだから
旦那様のために
食材を買いに行くと言われ
わたしがお供をいたしました
買い物が済んで
わたしがお代を払っている隙に
どうしたのだ?
チェヨンが尋ねる
いなくなりました
ソルリがまた
泣いて答えた
どこかへ行くとか
何か用を足すとか
言うてなかったのか?
ソルリはしばらく考え込み
そう言えばと思い出した
急にお姿が見えなくなり
動転しておりましたが
買い出しが済んだ時
油蜜果(ユミルグァ)の店は
どこかと聞かれました
高級品ゆえ
市で売られることなど
めったにないのですが
ソルラルなので
たまたま売られていて
先日お嬢様が召し上がり
気に入られたご様子で
ああ とチュンソクも
頷いた
それならば昨夜
言うておりました
某もきっと気に入るだろうと
それを買いに行ったのか?
わかりません
どちらにしても
市でいなくなったのだな
チェヨンが念を押す
はい
屋敷のものや
ご実家のお屋敷の使用人たちで
市をくまなく探しましたが
どこにもいないのです
そうしたら男たちに
若い女人が連れ去られるのを
見たという者があらわれて
ご実家の奥様も
寝込まれてしまいました
そうか
その方はとりあえず
パク殿の屋敷に出向き
お母上様にチュンソクと
連絡がついたことを伝えよ
ソルリがこくんと首を
縦に振る
嫁御は
たまたま居合わせて
何者かに
狙われたのかも知れんな
相手はウダルチ隊長夫人と
知らずに
連れ去ったのでだろう
自分に対する怨恨や
パク家に対する
企みでないならば
目的は?
チュンソクの顔色が一気に
青ざめた
チュンソク
急ぎ市に向かうぞ
スリバンに頼んで
情報を集めねば
その連れ去らた女人が
本当に嫁御かどうかも
まだわからんからな
はっ
なれどこれは
我が妻のことなれば
大護軍のお手を煩わせるなど
阿呆!何を言う
嫁御はウンスにとり
妹みたいな存在
妹がいなくなり
放っておけるか?
このことを知った時の
ウンスの倒れそうな顔が
頭に浮かんで
チェヨンは頭を振った
ウンスが知る前に
早く嫁御を見つけ出さねば
はあ
チュンソクは間の抜けた
声を出した
医仙様が絡むことには
俊敏すぎる動きを見せる
この上官に
なんと返答してよいか
困ったチュンソクは
ですが二人して王宮を
離れるわけには
参りません
それに我が妻ポムは
元武閣氏
我が身を守る術は
心得ておりましょう
大護軍はここでお待ちに
幾分冷静さを取り戻し
そう言った
そうだな
では代わりにテマンを使え
スリバンとの連絡に
丁度よい
それから念のため
ソルラル市の視察だと言って
隊員たちに見廻りをさせよ
はっ
チュンソクはチェヨンに
言われるまでもなく
慌ただしく動き出した
その頃ポムは
数人の男に取り囲まれていた
ポムの手には
紙に包まれた油蜜果が
しっかりと握られていた
一体 ポムに
なんの用でする?
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『今日よりも明日もっと』
夫婦は一心同体
どんな時も信じてる