待っててね~
爽やかに ウンスに
そう言われたが
閨で布団に転がってみても
なんだか心もとない
いつも腕の中にあるものが
ないだけで
寝付けないとは
俺は餓鬼か?と
チェヨンは自分に
呆れて笑ってしまった
何度寝返っても
眠れぬものは眠れぬ
チェヨンはいっそのこと
諦めて 書物を持って来て
読み始めた
だが いつだったか?
休みの日に膝の上に収まった
ウンスを抱きしめながら
書を読んだことを思い出し
余計に落ち着かなくなってしまった
イムジャも人が悪い
テマンは連れて行って
なぜ俺だけ
いや 待て テマンには
出来ぬことで
何か手伝うことが
あるやも知れぬ
チェヨンはいろいろな
言い訳を考えて厨房に向かった
厨房からは何やら
甘い香りがしている
3人が楽しそうな声をあげている
少しふてくされたように
チェヨンが厨房にいる3人に
声をかけた
なんだか随分楽しげだな
あら?ヨン
お昼寝はいいの?
ああ
寝付けぬゆえ もうよい
ふふっ
ねえ ヘジャ
旦那様は
暇を持て余したみたいよ
ひとりで寝るのが嫌なのね
昔はね 何日でも床に
転がって寝ていた人だったのよ
信じられる?
いえ 奥様
今となってはそのような旦那様
信じられませぬ
ヘジャが可笑しそうに笑った
テマンも横でにやにやしている
そうでしょう
出会った頃は
いつも難しい顔で
人を寄せ付けなかったから
さっき 市にいた人が
チェヨンに挨拶するのを見て
びっくりしたわ
ウンスがそう言うと
テマンが深く頷いた
そうか?とウンスの話を
軽く受け流すと
チェヨンは聞いた
して 何を作っておるのだ?
さくらんぼの
お菓子を作ろうと
思っていたんだけど
お菓子とな?
あのね
ほんとは桜桃を収穫したら
ケーキとかチェリーパイとか
天界のお菓子を作って
ヨンを驚かせたかったのに
手に入る材料は
限られてるでしょう?
だから 簡単ケーキって言うか
うーんとね
どっちかって言うと
クレープかな?
それを作ろうと思ってね
明日王妃様にもお届けする
ってことで
叔母様に無理を言って
なんとかすこーし 王宮の
小麦粉とお砂糖と卵を
いただいたのよ
ウンスはけろりと笑った
鉄鍋の底には
黄色いものが焼かれ
その中には
先ほど収穫した桜桃が
ぎっしり並んでいる
けーきだか くれーぷだかが
焼ける甘い香りが屋敷に
充満していた
ウンスは真剣な眼差しで
そろそろかな?というと
木べらで上手に
えいっ!と裏返す
お!
うまくいったわ
チェヨンは
楽しそうなウンスを見て
なんだかうれしくなった
夕餉のあとで
さっそく 食べてみましょうよ
大きなお皿にのせて
奥の間にテマンが運ぶ
いい香りに誘われて
テマンは
口の中が唾でいっぱいになり
夕餉より先にこちらを
食べられないかな?と願っていた
いつもは冷静なヘジャでさえ
初めて見るお菓子に
興奮を隠しきれない様子で
お茶を運んでいる
おいしいといいけど
ウンスが心配そうに言った
イムジャの気持ちが
こもっているのだ
不味いはずなかろう
チェヨンが笑いかけた
奥の間にはすでに
夕餉の支度が出来ていた
チェヨンの好きな魚や
煮物もある
ウンスが遠慮する
テマンもヘジャも
同じ卓に座らせてから
チェヨンに言う
今日は父の日だから
夕餉もちょっとだけ豪華なの
みんなの感謝の気持ち
ヨン いつもありがとう
少し照れた顔でウンスが言った
チェヨンの驚いた顔が
やがて笑顔に変わる
高麗で初めて食べた
天界のお菓子は美味だった
この味はいつまでも
記憶に残るだろうとチェヨンは
思っていた
来年はお祝いにみぃも加わるわ
ああ そうだな
母の日もやらねばならんな
チェヨンがウンスの
手を握りそう言った
********
ヘジャもテマンも
それぞれ部屋に引き上げ
チェヨンとウンスは
ふたり仲良く
湯浴みをした
湯殿の中でも洗い場でも
時々我慢しきれずウンスに
悪ふざけする夫チェヨン
ウンスはそれをかわしながら
あがると 脱衣場で
先ほどテマンに言いつけ
織物屋から引き取って
きたものを渡した
これは?寝衣か?
ええ 上等な絹でしょう
火事の際の働きで
王妃様より
ご褒美にいただいた絹よ
それであつらえたの
ほら私のもあるわ
お揃いにしたの
ぺあるっくよ うふふ
真っ白な絹織物で
仕立てられさらりとして
腕を通すと
気持ちが良かった
はて?
白の絹織物で
そろいも何もどれも
同じではないのか?
チェヨンがウンスの腹帯を
緩めに巻いて
寝衣を着せながら尋ねた
うふふ そう言うと思った
ほら 見てここが
ウンスが得意げに指を指す
衣のあわせの部分に
可愛らしい桜桃の実が
ふたつ
並んで刺繍されていた
ああ なるほど
これがぺあなんとかか
チェヨンが頷き
ウンスが微笑む
そうよ 父上様
じゃあ 今宵は
みぃのために閨で
まっさーじをしてもらおうかな?
母乳がよーく出る
まっさーじを
きょとんとしていた
チェヨンは
事の次第を飲み込むと
こくこくと何度も頷いた
闇が深くなる頃も
ふたりの幸せな休日は
続いている
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『今日よりも明日もっと』
幸せってなんだろう
愛するあなだか
笑顔でいることかしら?
ふたりの穏やかな1日に
おつきあいいただき
ありがとうございました
明日からまた一週間が
始まりますね v(^-^)v
皆様
安寧にお過ごしくださいませ