王宮から輿に乗り
市井の外れに向かう
朱色の橋のたもとで
ウネ夫婦と待ち合わせた

何かの用心にと
テマンが
後方からついて来ている


着きました 旦那様
御者がうやうやしく
輿の扉を開けようとする


暫し待て


中から慌てた
チェヨンの声がする


はっ と御者が控える


その様子を見た
テマンがため息をついて
ぽそっと独り言


まったく おふたり 
輿で何してたんだか


輿からチェヨンが先に降り
手をそえてウンスを降ろす

ウンスの上気した頬が
よりいっそう色香を醸し
輿から降り立ったウンスを
市井の男どもの
ほぉ~と言う感嘆の声が
出迎えた

チェヨンが不機嫌な顔で
辺りを見回す


そこにいた男達は
わさわさと散りながら
口々に言う

あれが噂の大護軍様の
天女か・・・
お美しい

そして女達は

あれが噂の高麗一の武将
チェヨン様
相変わらずの美丈夫だこと

ほぉ~とため息をついた


ウンスが橋のたもとで
佇むウネと
アンジェを見つける

小豆色の衣が健康的な
ウネの顔色を引き立てて
落ち着いた装いに見えた

アンジェと並ぶと
長年連れ添った夫婦の
貫禄を思わせる


ウネさ~ん


ウンスが手を振り
声をかける


ウンスさん


ウネがにこやかな笑顔で
ウンスを迎えた
歳の頃もちょうど一緒
ウンスには心強い友人だ


今日はお誘いありがとう


よかった 会えて・・・
忙しそうだから
無理かなと思ってたの
ほら チェヨンたら
随分ウンスさんのこと
大事にして
お出かけなんて許さない
っていうかとも思って

でも悪阻もそろそろ
収まったかな~と
たまには市井で気分転換も
いいでしょう?


うふふ 大丈夫よ
今日はあの人も一緒だから
反対はされないと
思ってたわ
目の届かないところで
私が何かやらかさないか
心配なのよあの人

それにね
あの人 基本的には
私に甘いのよ


ウンスがウネの耳元で
こそっと囁いて舌を出した


まったく かわいい妖魔ね
ウンスさんは
チェヨンが骨抜きになるのも
無理ないわ


ウネが笑った


そ そお?
で 今日はどこ行くの?


ちょっと照れた
ウンスが尋ねる


それはね 着いてからの
お楽しみ
まずはそこに出来た
新しい饅頭屋で
腹ごしらえをしなくっちゃ
先日食べたら美味しかったの
だから きっとウンスさんも
気に入るだろうと思ってね


ウネが楽しそうに笑う
そのふたりのやり取りを
並んで眺める
チェヨンとアンジェ


なんだか変な光景だな
医仙殿とウネ
お前と俺
まさか四人で一緒に
出かける日が来るとはな


ああ そうだな


チェヨンがウンスの姿を
目で追いながら答えた


お前 本当に嫁しか
目に入ってないな


アンジェがからかう


うちのは今 腹に子が
おるゆえ
大事に至らぬように
見守ってるだけだ


ちょっと
ふてくされたように
チェヨンが言う


まあ 
そう言う事にしておくか
今宵は嫁の供ゆえ
酒にもありつけそうに
ないし
お前でもからかわぬと
つまらぬではないか


アンジェが笑って言った


あちらこちらから
食べ物屋のいい匂いがし
悪阻のおさまったウンスの
食欲を刺激する

市井は夕餉の買い物の
人々で溢れ
にぎやかな様子を見せている

高麗の爽やかな初夏の
夕暮れ時であった


*******



『今日よりも明日もっと』
遠くの親戚より
近くの友人が心地よい



☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*

ダブルデートは
始まったばかり
ゆるりと
おつき合い下さいませσ(^_^;)


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