宮西真冬さんの「誰かが見ている」(講談社)

 

   自分の子ども、夏紀を愛することができない千賀子。ブログに偽りの記事を書き、ストレス解消する毎日。

   5歳年下の夫とのセックスレスに悩む結子。千賀子のブログを心の支えにしています。

   職場でパワハラにあい、結婚退職を夢見る保育士の春花。自分の子どもなんてほしくないと思っていましたが・・・・・・

   夫と娘とともにタワーマンションで、何不自由ない生活を送りながら、過去におびえる柚季。

   4人の女たちの物語が複雑に絡み合い、やがて、衝撃的な事件が起こります。

 

 

   メフィスト賞の受賞作。

 

   そういった事情と、序盤のイヤミスを思わせる展開から、ミステリーかと思われる方も多いでしょうが、ミステリー色は薄いです。

 

   千賀子の夏紀に対する態度が、ほんとうにひどいです。

   「間違って生まれてきた」

   「うちの子じゃない」

   と、心無い言葉を次々にあびせます。夏紀はそれでも母親のことが好き。せつないですね。

 

   結子の問題も深刻。結婚した途端、夫が一切のスキンシップを拒むようになったのですから。手をつなぐだけでもだめ。キスなんて、もってのほか。

 

   春花の境遇にも胸が痛みます。パワハラの相手は、ベテランのミポリン先生。気に入った子どもをひいきにし、親たちに向ける顔だけは優しい保育士さん。

 

   読みながら、この物語はそこに着地するのか、気になりました。

   着地は見事とは言い切れませんが、ラストは納得できるものだったと思います。もっと、どんでん返しがあって、イヤミス展開にしてほしかったという声もあるようですが。