ビクトリア・ホルトの「流砂」(角川文庫)

 

    19世紀のイギリス。キャロラインは天才的ピアニストのピエトロと結婚。自分はピアニストになる夢をあきらめました。ところがピエトロが死亡。キャロラインは28歳で未亡人になります。

    そんな彼女に次の試練が。イギリス南部で発掘をしていた考古学者の姉ローマが、行方不明になってしまったのです。キャロラインは姉の安否を確かめに、問題の村ラバット・ミルへおもむき、領主ウィリアム卿の館ラバット・ステイシーに、ピアノ教師としてもぐりこみます。教え子は4人の少女。結婚したばかりのエディス、館に住む少女アレグラ、館の女中頭リンクロフト夫人の娘アリス、牧師館の娘シルビア。

    エディスの夫は、ウィリアム卿の息子のナピア。ぶっきらぼうなところがあり、エディスは夫を恐れているようす。ナピアには、少年時代に事故で兄のボウモントを射殺してしまったという過去があったのでした。  

    複雑な人間関係の中で、キャロラインは姉の行方を突き止めようとするのですが・・・・・・

 

 

    2018年最初の一冊にふさわしい作品です。絶版になっており、アマゾンでも神保町でも品切れ、ようやく島根の図書館に一冊だけあることがわかって読むことができた本。

    読み終わった感想は、なぜこれが絶版になってしまったのかというものでした。

 

    ゴシック・ロマンスとして非常にすぐれた作品だと思います。悲しみを抱えたヒロイン、さらなる試練、古い館への潜入・・・・・・

 

    物語はゆったりとしたペースで進みますが、退屈ではありません。ジェーン・オースティンの作品を彷彿とさせます。

 

    ゴシック・ロマンスにつきものの恋愛要素もあり。キャロラインの心が、ナピアと牧師補のウィルモットの間で揺れ動きます。

 

    ローマ失踪の真相は意外なものでした。しかし、登場人物の性格描写がきちんとなされているので、唐突感はありません。

 

    この作品、復刊ドットコムに復刊希望が来ているようですが、角川が翻訳権を握っているので、他社からの出版は不可能です。なんとか、角川が復刊してくれることを望みます。