沼田まほかるさんの「猫鳴り」(双葉文庫)

 

    結婚17年目にして授かった子どもを流産してしまった信枝と藤治の夫婦。

    そんな信枝はある日のこと、捨てられて弱った子猫を見つけます。さらに遠くに子猫を捨てにいく信枝。何度捨てられても、信枝のもとに戻ってくる子猫。

    信枝と藤治は、結局、モンと名付けられたその子猫を飼うことにします。

    やがて、モンはたくましく成長。

    そして年月がたち、信枝が死去。モンと暮らす藤治。しかし、年老いたモンとの別れの時が迫ってきていました。

 

 

    文庫本で200ページほどの短い小説ですが、中身は濃厚です。

 

    第1部、第2部、第3部に分かれ、第2部は心に闇を抱えた少年が主人公になっています。その少年の前に、つかの間、姿を見せる大人になったモン。登場シーンは短かいですが、存在感があります。

 

    そして、第3部。

    年取って、次第に弱っていくモン。懸命にモンの介護をする藤治。猫好きな人なら、涙なしには読めないのではないでしょうか。

 

    悲しいラストですが、後味は悪くありません。