山本文緒さんの「落花流水」(角川文庫)

 

  7歳の少女、手毬。となりに住むハーフの少年マーティルと仲良しです。しかし、手毬は複雑な家庭の事情を抱えていました。

  それから10年後、17歳になった手毬。

  そして、それから10年後・・・・・・

  10年刻みに、ひとりの女性の生涯をつづった、連作短編集。

 

 

 

  連作短編集ですが、物語が続いているので、最初から順に読まないと、話がわからなくなると思います。

  

   手毬は、”わがままで甘ったれの少女”と言われていますが、それはマーティルから見た主観で、実際の手毬という女性は、わがままでも甘ったれでもありません。むしろ、我慢強く、堅実です。それなのに、主体的ではなく、運命に流されてしまう人生。

 

   手毬の母親が印象的。非常に若くして手毬を産んだ母は、手毬を両親の子として届け、手毬には自分は姉だと言っていました。自由奔放で、手毬の反面教師となります。

 

   物語は手毬が7歳の時、17歳の時27歳の時といったように、10年ごとにつづられていくのですが、印象的だったのが、手毬が37歳の時のエピソード。初恋を実らせた手毬とマーティル。しかし、現実は・・・・・・

 

   人生は甘くはないですが、それにしても手毬ほど、周囲の事情に左右され、波乱の人生を送る人も珍しいのではないでしょうか。

 

   いろいろと考えさせられる作品です。