池井戸潤さんの「アキラとあきら」(徳間文庫)

 

   零細工場の息子、山崎瑛(やまざき あきら)と、大手海運会社の御曹司、海堂彬(かいどう あきら)。

   瑛の父は、工場を倒産させてしまい、瑛は苦学して、大学を卒業します。一方の彬は、父親の後を継ぐという選択肢を捨て、広い社会に出ようとしていました。

   そんな、ふたりの”あきら”が就職先に選んだのが、都市銀行の、産業中央銀行。二人は早速、新人研修の場で、顔を合わせます・・・・・・

 

 

   この小説は発売されたばかりなので、実は7、8年前の作品なのだということを、先日、初めて知りました。たしか、「半沢直樹」シリーズより古かったはず。にもかかわらず、この小説は、古さを感じさせません。

   

   タイトルから考えて、瑛と彬がライヴァルとして戦っていく小説なのかと思っていましたが、ライヴァルではなく、共闘関係でした。

  

    彬は、親の会社を継がない決意をしたわけですが、会社の方は父と叔父二人によるグループ会社になります。その叔父二人が社長をつとめる会社が、グループ全体のお荷物になっていきます。そして、彬の父の死。銀行員として、彬は実家の危機にどう対処するのか。

 

   物語の中盤は、ほとんど彬が主人公ですが、後半に入って、瑛の活躍が始まります。瑛と、その幼馴染との再会など、うれしいサプライズも満載です。

 

   彬の叔父二人が、あまりにも無能に書かれていたのが、ちょっと気になりましたが、他の点では、おもしろく読めました。銀行内のエピソードが主になっていますが、他の池井戸作品の例にもれず、銀行に関する知識がなくても楽しめます。文庫本で705ページという長さですが、舞台が銀行になってからは、一気読みです。