最初読んだ時には、つまらない作品だと思ったのですが…



火の杯
(山本周五郎著)
(2025/09/18読了:三読目)
 
この年になって政治への興味が深くなり、楽しむことができました。
戦中から戦後にかけて、財閥に関わる人々の生き様を描いた作品です。
財閥解体しながらも陰でその体制を維持しようとする人。
財閥に頼っていて、戦後も食いつこうとする人。
自分で事業を起こす人。
没落して行く人。
それぞれの人間模様を描いています。
 
初見は平成元年ごろ。というと、25歳ぐらいですね。
この時は全く面白くなくて、読んだのにかなり時間がかかったのを覚えています。
 
二読目は三十代後半から四十代半ばだったと思います。
役人さんたちと話し合う機会ができて、「国のお金」というものを意識した頃でした。
 
そして、今。
老後の資金とか、インフレがどうなるかとか、日本の経済がどうなるのだろう、とか、そんな思いがあると深みが増します。
特にSNSが発達した今、過去には葬り去られたであろう、あるいは、陰謀論で片付けられたであろう事件がクローズアップされていたりします。
この物語の主人公は、まさに描かれたシナリオを演じる立場。
さて、主人公はどう生きて行くのでしょうか。
 
周五郎作品としては異色で、ファンの期待とは違う作品です。


(82.9/31.3)