雨が好きだ




家にいて

雨をながめ


雨の音を聞いているのが



子供のころから好きだった





大人になって



パリに行って



雨に濡れて歩くのが

心やすまる時期があった






家事と子育てだけの毎日




日本にいれば

保育園に預けて

仕事ができたはずなのに





日本人のいない地域で

子供を日本人に育てるには

私ががんばるしかなかった




日本人としてのアイデンティティをもたせたいと願っていた





給食をつけて

1日幼稚園に預けてしまえば

親は楽だが

子供はフランス語になってしまう





家庭の日常会話だけではボキャブラリーが不足だから

さまざまにおぎなってやらねばならない





表情やしぐさも日本人とフランス人ではちがっている



間のとりかた

冗談のいいかたもちがう



まだビデオのなかった時代





どこかで日本の映画をやっていれば

連れて行った




帰国のたびに大量のマンガをはこんだ





うちの子供たちは

マンガと映画のおかげで

日本語をまなび

日本をまなんだ





子供中心の生活だったので





私は友達もなく

ひとりで出かけることもできず

毎日同じくりかえしで




なんのために生きているのか分からなくなり





涙をながしながら雨にぬれて歩いていると

いくらか心がやすまるのだった





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