最近の結婚式の披露宴では、
新郎新婦さんもゲストの皆さんと一緒に料理を召し上がり、
楽しいひとときを過ごすことも多くなってきました。
この新郎新婦さんは、大の海老好き。
宮古島でフォトウエディングをしたときにも、
伊勢エビや宮古島の車海老など、
海老を求めていろいろなお店へ食べ歩きに行きました。
ですから結婚披露宴の魚料理も、
迷うことなく伊勢エビに変更しました。
大好きな海老を、大好きな人たちと結婚式の日に一緒に食べる。
それも新郎新婦さんにとって、
結婚式の楽しみのひとつでした。
ウエディングプランナーさんとも何度も打ち合わせを重ね、
ソースや盛り付けまで選び抜き、
その料理が出てくることを本当に楽しみにしていました。
そして披露宴当日。
待ちに待った魚料理が運ばれてきました。
ところが。
テーブルに置かれたのは、
伊勢エビではなく白身魚でした。
たくさんのサービススタッフが、
同じ白身魚の料理を各テーブルへ運んでいます。
僕が、「あれ?」
と思っているより早く、
新郎新婦さんが会場責任者であるキャプテンにそのことを伝えました。
キャプテンは慌ててバックヤードへ。
入口付近で電話をかけ、
ウエディングプランナーさんに確認を取っているようでした。
ただ、確認も何もありません。
ゲストのテーブルに置かれているメニュー表には、
魚料理としてはっきり、
「伊勢エビ」
と書かれています。
目の前にあるのは白身魚。
間違っていることは明白です。
ゲストの皆さんも、
メニュー表と実際に運ばれてきた料理を見比べ始めました。
しばらくするとキャプテンが新郎新婦さんのところへ戻り、
慌てた様子で謝罪。
その後、
ウエディングプランナーさんも会場へ駆けつけ、
平謝りしていました。
どうやら、会場責任者とキッチン側の連携ミスによって、
新郎新婦さんたちのために用意されていた伊勢エビを、
別の披露宴会場へ提供してしまったようです。
つまり。
白身魚の予定だった披露宴には伊勢エビ。
伊勢エビの予定だった披露宴には白身魚。
完全に入れ替わってしまったわけです。
伊勢エビと白身魚。
見た目からしてまったく違います。
普通なら、料理を出した時点で誰かが気づきそうなものです。
人手不足が深刻な今の結婚式業界。
十分な経験のないスタッフや、
急ごしらえの現場責任者が配置されることも珍しくなくなりました。
そんな現場では、
こうした信じられないミスまで起きてしまいます。
ちなみに、白身魚の予定だったのに伊勢エビが出てきた披露宴では、
「ラッキー」
と思った方もいたかもしれません。
でも、これは単純に得をしたという話ではありません。
海老アレルギーの方がいたら、
笑い話では済まないからです。
そして、
伊勢エビを楽しみにしていたこちらの披露宴。
今から伊勢エビを用意して調理し直す時間はありません。
結局、新郎新婦さんもゲストの皆さんも、
白身魚を食べるしかありませんでした。
あれだけ楽しみにしていた料理。
当然、新郎新婦さんはがっくりしています。
するとキャプテンが、
どこからか伊勢エビの皿を2皿だけ持ってきて、
新郎新婦さんのところへ運ぼうとしました。
僕は目を疑いました。
そしてキャプテンに向かって、少し大きめの声で言いました。
「本気ですか? それを見たゲストの皆さんが、どう思うと思います?」
ゲストには白身魚。
新郎新婦さんだけ伊勢エビ。
事情を知らないゲストから見れば、
新郎新婦さんだけ特別に伊勢エビを食べているようにしか見えません。
「自分たちだけ伊勢エビに変更したの?」
そう思われる可能性だってあります。
ホテル側のミスなのに、
最後にセコいことをしたように見られるのは新郎新婦さんです。
しかも、その伊勢エビを笑顔で食べている写真でも残れば、
事情を知らない人には一生わかりません。
結婚式のお料理は、
ただ食べれば終わりではありません。
その日の記憶として残ります。
ちなみにこの会場は、長い歴史を持つ有名なホテルです。
歴史があることと、今の現場がしっかりしていることは、
残念ながら別の話なのかもしれません。
新郎新婦さんが何か月もかけて打ち合わせをして、
楽しみにしてきた一皿。
それが、当日のたったひとつの連携ミスで消えてしまいました。
そしてその後の対応まで、
誰のための結婚式なのかを考えているとは、
僕には到底思えませんでした。
これが、今の結婚式場の現場で実際に起きていることです。
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