子供の頃、近所に動物園があった。そこは、日曜日になると広場で子犬の譲渡会をやっていて、僕らは設けられたサークルの中で子犬と遊んだ。
たいていの子犬たちは貰われていくのだけど、やはり残るのもいて、その末路は僕らも薄々は気づいていた。でも、誰も大人たちに内容を聞くことはなかった。
ある日曜日の夕方、広場の前を通りかかると、妹がしゃがみこんでいた。サークルはすでに閉められ、職員たちは引き上げる準備をしていた。妹はサークルの隙間に指を突っ込んで一頭だけ残った子犬の頭を撫でていた。『連れて帰れたらええのにね』と言うのだけど、すでに猫を飼っていた家では、きっと無理だ。
でも、何とかしたかった僕らは、家に電話をし‥お袋に頼んでみたのだけど、意外にも飼っても良いと言われた。(続く)