易学カウンセラー 柏木亮・智子です。
シリーズ
「キャリア相談の“言葉のズレ”を読み解く」最終話
キャリア相談では、同じ言葉が何度も繰り返されます。
「やりたいことが分からない」
「安定したい」
「自信がない」
「向いていない」
「転職したい」
これまでの回で扱ってきた言葉も、どれも現場ではとてもよく聞くものです。
けれど、支援が少しずつ進み始めると、不思議とクライアントの使う言葉が変わってきます。
「実は、ここが一番しんどかったのかもしれません」、「本当は、こうしたかったんだと思います」、「ずっと無理をしていた気がします」
このような言葉が出てくるとき、クライアントの中で、焦点が外側の環境から、自分の感じ方へと戻り始めています。
支援者がしているのは、正しい言葉を教えることでも、答えを提示することでもありません。
表に出ている言葉の意味を、少しだけ横に置き、その奥にある感覚を一緒に確かめていくことです。
「やりたいことが分からない」と言っていた人が、「実は、評価されることばかり気にしていました」と言えるようになる。
「安定したい」と言っていた人が、「不安なまま頑張るのがつらかったんだと思います」と語れるようになる。
こうした小さな言葉の変化は、目に見える成果よりも先に起こります。
けれど、この変化こそが、その後の選択や行動を支えていく土台になります。
言葉が変わるということは、見ている世界が少し変わったということでもあります。
そして、自分自身との距離が、少し近づいたということでもあります。
支援の場では、つい「どんな選択をしたか」「どこに決まったか」といった結果に目が向きがちです。
けれど本当は、クライアントの言葉がどう変わってきたかを見ていくことで、支援がどこまで進んでいるのかを、もっと丁寧に感じ取ることができます。
言葉のズレをほどき、言葉の奥にある感覚に触れ続けること。
その積み重ねが、クライアント自身の選び方を変え、生き方の質を静かに変えていきます。
言葉が変わる瞬間は、支援が本当に動き出す、小さくて確かな合図なのだと思います。
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