中央線半径1キロゴトゴト日記 第2回
『高尾山に登るにはどこの駅からスタートするのが美しいのか問題』 千野龍也
平成24年度に、
ある省庁の多摩方面対策会議室が発表した
『高尾山における山男山ガールの交通意識出口調査報告』
というレポートが私の手元にある。
アンケート形式による意識調査なのだが、
その中の最初の設問に
「高尾山に行く主な交通手段としては
「京王線高尾山口駅」と「中央線高尾駅」のふたつがあります。
さて、貴方が高尾山に登る際にどちらの駅からスタートするのが、
人として美しくあるべき姿だと思いますか?」
というものがある。
その回答の結果は、
*京王線高尾山口駅(42%)
*中央線高尾駅(11%)
*どちらも人として美しくあるべき姿だと思う(29%)
*質問の意味が不明(18%)
となっている。
どちらが便利かと聞かれているわけではなく、
どちらが人として美しくあるべき姿かと聞かれても困る。
実は私の所へもこのアンケート用紙が送られてきたのだが、正直戸惑った。
そもそも、アンケート用紙を一方的に送ってきて、
それがなぜ出口調査なのかが分からない。
どこにも出口らしきものはない。
しかし、戸惑いながらもその時、
私は「中央線高尾駅」と回答した。
つまり、11%の人になったのだね。
では何故に中央線の高尾駅と答えたのかを考察してみたい。
1】山の頂上を目指すにはその街から入れの法則
山ガールは京王線の高尾山口で降りて良い。
つまり中央線で行く場合は、高尾駅から乗り換え、
途中の京王線内ブックストアで
「ぶるる高尾山の楽しみ~スイーツ特集~」を購入。
ルンルンして乗り継いでよい。
しかし、山男はルンルンしてはいけない。
山男は乗り換えをせず、改札を抜けたら
「中央線が好きだ」と呟くだけでよい。
2】街の風景を慈しむ
山男にとって高尾山に至る道は甲州街道である。
甲州街道に出たら左に折れ、司馬遼太郎になった気分で
「私という存在は今、日本橋と諏訪の間にある」
と歴史に想いを馳せるとよい。
そして、この街にはどんな和菓子が売っているのか、
どんな人がバスを待っているのか、
どんな老人がひょうひょう歩いているのか、
暖かく見守りながら歩いて行くのが山男である。

日本橋から51㎞
3】蕎麦
甲州街道からほんの少し脇道に逸れるが、
蕎麦屋「杜々」は
かなり美味い、めちゃくちゃ美味い、力強く美味い。
私は関係者ではない。
でもって、かなり美味い。

4】中央本線の鉄橋をくぐり、坂道を登る
鉄橋下と甲州街道の坂カーブの組み合わせに山男は悶える。
そしてここから緩やかに始まる坂道はこれから訪れるであろう未来を感じる。
未来、つまりは高尾山頂上に至る最初の坂を楽しむのである。
【京王線 高尾山口駅到着】
ここまで約30分。なんだか疲れた。
いやいや、山男がここで疲れてはいけない!!
しかし、ここまで来ればケーブルカーに乗るという自分へのご褒美も待っている。
そういう選択肢もあるにはある。
書いているひと
千野龍也
《立川生まれの立川育ち。育ちっていうか、ただのおっさん。
引越し先は→国立→調布→国分寺→立川という生粋の多摩人。
っていうかただの視野の狭い人》
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