「チェリーのパステルパワーが、すごいのれす!」
ぱれっとはびっくりして言った。
桜色のオーラがチェリーから炎のような勢いで出ている。


「バミ、ハニー! グリーンを頼むわ」
ラピスが2人に指示を出す。2人は頷いてグリーンを抱き起こした。

「わ、わたしはて、敵、なのよ…」

「いいから喋るな…」
とはバーミリアン。

「そうですわ、あなたも自分に素直におなりなさい。ダークネス・パワーで洗脳されているか、知らないですけれど、そんなチカラが及ばないくらいの何かがあるから、あなたはチェリーを助けたのですわ」

「ダークネス・パワーが、及ばない、何か…」
独り言のようにグリーンはつぶやくとふたりの肩を借りてヨロヨロと歩き出した。



「かえでちゃんに謝ってね、ちゃんと!」
レッドをにらむチェリー。

「かえで?誰だそれは?グリーンならそう長くは持つまい。やつのオーブにヒビが入ったからな」

ガキィン!

なんとダークネス・レッドがしゃべり終えるか否かのタイミングでチェリーステッキがレッドに襲いかかった!

「くぁっ!チェリー、貴様!」
「ちゃんと謝ってね」

チェリーはいったんバックステップで戻ると再びステッキを構えた。
「チェリーパイ・ばくだんっ!」
無数の桜色の円形状のエネルギー弾がレッドをおそい、次々と爆発を起こす。

「くっ、なんだ、このパステルパワーは!」

レッドはたまらず、空中に浮く。
「ぐうう、し、仕切り直しだ、パステルガァル!ども!」
彼は、逃げるように何処へ飛んでいった。

「…チェリー大丈夫?」
ラピスが駆けつける。

「ラピちゃん、かえでちゃんとこ、いこう、早く」
チェリーはいつなく緊迫した表情でラピスに言った。

ポツポツと雨が降り出した。
夏の通り雨だ。

公園の死角になるような一目につきにくい場所にグリーンをかくまっていた。
すでに日は暮れかけ、さらに雨雲も助けて辺りは薄暗い。

あかね、みつばは変身を解き、かあらとぱれっととともに倒れたグリーンを介抱していた。
「かあら、ぱれっと!どうすればいいんだ?」
あかねが聞く。

「ぼくたちにもわからないのれす」
ぱれっとが首を横に振った。

「パステルガァル!がダークネス・オーブを割ると、ダークネス・キングのチカラから解放されて、それと同時にパステルワールドでパステルオーブとしてキレイに復活するのれす」

「色自体はなくならないカラ。だからパステルオーブを守るガーディアンもパステル・ワールドに強制送還されるカラ」

「ダークネスのパワーに攻撃されてダークネスオーブが割れた場合、ダークネス・キングのチカラから解放されるのか、わからないのれす」

「洗脳が解けないってことか?」
あかねが言う。

「でもグリーンさんの場合は、ある意味洗脳から解けていますわ?」

「わかるのは、オーブが割れたらきっと人間の世界には2度と戻れないカラ」

「そんな…ですわ…」

「------かえでちゃん!」
ちえりとるりかが駆けつけた。

ちえりをみるなり、グリーンは小さく微笑んだ。

「…ごめんね」

ちえりは首を左右にふった。

「わたし、ちえりちゃんとみんなと会えて良かった」

「ちょっと!最後みたいなこと言わないでよ、ねーさん」
るりかが明るく言った。

雨音は激しくなる。
全員ずぶ濡れになった。

「パステルワールドに戻ったら、感情も記憶も無くなって、きっとあなたたちのこと忘れちゃう」

ダークネスオーブが鈍く光り、空中に浮く。
グリーンは、人間の形態、「かえで」となった。

「どうせ消えるなら、『かえで』として消えたい。ちえりちゃん、みんな、私は忘れちゃうから、せめて私のこと忘れないでね」

ちえりはその手をギュッと握りしめた。
「忘れないよ!ずっと!ずっと!お友達だよ」

その声とともにダークネス・オーブが砕けて、散った。

「ありが」

お礼も言えないまま、彼女は消滅した。

激しい雨音と、悲鳴にも似た、彼女たちの鳴き声が、公園に響き渡った。