フランスと言う国は人種も様々なせいか、それぞれの個性を尊重しているので日本よりも面白い人と遭遇する機会が多いようです。




まず思い出すのがフランス領の南の島からやって来たLさん。Lさんは背が2m近くもある男性で、容姿はいわゆるフランス人。
奥さんが日仏ハーフの可愛らしい人で、私は彼女から旦那さんとしてLさんを紹介されました。




お宅に伺うとまず、パリにいながらにして畳を敷き詰め“日本”な感じで統一されているアパートにびっくり!のれんや掛け軸、こたつ等と日本よりも日本ぽい!




そして何より目を引くのはLさんの格好です。何と“とび職”の人の格好をしている!
工事現場の人が履く、ドーンと太くて足首の所でキュッと絞ってあるアレ、あのズボンです。勿論ズボンだけじゃありません。上着もズボンとお揃いの、目にも鮮やかな赤紫のチョッキ…




奥さんが言うには、東京に行った時に「寅壱」の製品に一目惚れして、何から何まで買ったんだそう(^o^)




暫くして私のアパートに遊びに来た時には、今度は紺の上下でキメてました(笑)しかもちゃんと地下足袋を履いて!




お二人には可愛い男の子がいるのですが、そんなLさんが小さな子供の手を引いて歩いている姿は何とも面白くて(^◇^)でもLさん自身は至って真面目で、別にウケを狙っている訳では勿論無くて、純粋にかっこいいし着心地もいい、と語っていました。



フランスとは言え2m近い身長だけでも十分に目立つ存在。パリの街中で、日本人観光客の女の子に“とびの人がいるよー!”と言われた事もあるとか。
しかし、何となく浮世離れした感じのするLさんです。




もう一人は、私のピアノの熱烈なファンになってくれたおじさん。この方がまたまた凄い個性の持ち主で!
容姿も強烈。白髪交じりのウェーブした髪は伸びっぱなしなのかカサカサした質感で(少ないんですが(^。^;))背中近く迄あり、鼻が魔女みたいに高くて大きい!鼻が比較的大きめのフランス人の中でもずば抜けてました。




ニコニコとした目にはちょっぴりインテリ風な眼鏡、物腰はアチラ系かと疑うほど柔らかで時々妙なクネリ笑いで口に手を当ててひどく恥ずかしそうになさります!




まぁこう言う人なら、二人きりになっても絶対安全(笑)、と言う安心感はありますが、正直最初に話し掛けられた時には引いてしまいました。



しかし、話してみるととんでもない博学な人で日本語もペラペラ。


私の彼のpopは大学で文学部だったので随分と日本文学について語り合っていました。popもかなり詳しい方なのですが、このおじさんの“志賀直哉論”や“村上春樹について”はついて行けないぐらい凄いと言っていました。
どの作家の名前を出しても何でも知っていて、洪水の様に話し出すのですから!




そして私のピアノはひどく気に入って頂いて、学校の試験(一般公開されます)からコンサートから全て聴きに来て下さいました。




演奏終了後は必ず“洪水の様な話”が熱烈に繰り広げられます。
“今日のピアノはどうだった、あの曲はこうだった、あなたにはあの曲が合うと思う”等など… 話は興奮さめあらず、私達のアパートまで、気付かずについて来ちゃいそうな勢い(^_^;)(実際コンサートの帰りに一緒にメトロに乗っていて、ハタと話を止めて、「ここはどこですか?」と混乱していた事がありました。話に熱中し過ぎです。)




私もこのコンサート後の“洪水の様な話”には喜んでいいのか、演奏後なのでちょっと疲れる様な…
でもおじさんの意見はかなり的確ですし、何よりこんな稀有な人と知り合えるのは喜ばしい事でもあります。




試験の後なんかは、当然私の学校の先生やクラスメートも聴きに来ているのですがお構い無し!と言うより熱中し過ぎていて目に留まらないって感じに近いでしょうか。学校内のレッスン室にもちゃっかり一緒に入って来ちゃってるし!
明らかにみんな“この人誰??”って視線なんですがもう誰にも止められない。
先生まで困惑しつつも“何やら凄い人なのかも…”と思ったらしく“ムッシュー”なんて言ってるし(笑)




クラシックも相当に詳しくて、作曲家や曲についても私より知っていたりして!○○の演奏はダメだとかも…




そんな熱烈な私のピアノファンだったし、popとの文学や哲学談義も楽しみにしていた様で、私達が帰国すると伝えた時には、もうどうしたらいいのかって言う様なガッカリしようで、なんだか申し訳なくなってしまいました。




しかし、おじさん自身は謎のヴェールに包まれていて本人から聞いた所に拠ると…


・哲学の勉強をしている(←非常に詳しい)
・ギリシャ語に取り組んでいる
・老いた母とポン・マリー周辺に住んでいる
・携帯電話は持っていない

これしかわからないんです。推測できる事は…

・結婚した事は無くて興味も無さそう
・仕事はしていないようだ
・フランスでは珍しい「純国産フランス人」らしい
・他にも何ヵ国語も話せるようだ




それと人間的な営み、飲み食いやトイレに立つ、と言った姿も見た事が無い!コンサート終了後の打ち上げにも勿論一緒に来るのですが、一切飲み食いせずに私やpopに話し続けている(^。^;)カフェに入っても“私はいらないです”と言って水すら飲まない。カフェに入って何も頼まない人って初めて見ました(笑)注文を取りに来たギャルソン(ウェーターさん)は“Non,merci.”と言われて唖然としてましたが。




もしや人間じゃあ無いのでは、とpopと話してます(゜∇゜)




おじさん、今でも元気にしているのかなぁ?そんな人ですから気軽に手紙や、いきなり電話って訳にもいかなくて…
当然メールなんてやって無いし。きっとおじさんの方でも気になっているに決まっているんだけど簡単に連絡出来ない、内気な性格とか言う一言では片付けられない思いなんかがあるんだろうなぁと。話し出せばブレーキ効かないんですけどね(^_^)
でもお互いにそこら辺を理解し合っていたから、こう言う関係でいいんだろうと思ってます。




この他にも私の御用達だった美容院で、髪数十本しか無いのに、夫婦で来て美容師さんと髪型を決めるのに長時間議論していた人や、肩に真っ白な猫を乗せて、高そうだけどちょっとケバいスーツを着て歩いていた男性等など…



見た目も中身も面白い人達は目白押しでした。でも、みんな奇妙なんだけど話してみると奥底温かい人達ばかりだったなぁ。

日本も“平均的なら怖くない精神”を止めて、ちょっと変わっているからって後ろ指さしたりする事なく、もっと個性を大切にして、いろんな人と出会える様になるといいな☆