猫には糖尿病が多いです…ヒトも多いですね。
本来、猫科の動物は、小動物を捕らえて食べるといった生活なので、『糖質』『炭水化物』を摂取する機会はあまりありません。ですからその消化や代謝が不得意です。
ですが、最近の猫の主食といったら何故かドライフードで、ドライフードの主原料は炭水化物が入っている小麦やトウモロコシ…
最近の猫は、簡単に言うと
ドライフードばかり食べている→炭水化物がどっさり入っている→糖質がどっさり入っている→猫の体は大量の糖質を処理し切れない→血液中の糖が高くなり、尿に糖が排出されるのです。
炭水化物が主体のドライフードを食べている猫は、触ると体全体がブヨブヨしています。
逆に、触ってブヨブヨしているときに飼い主さんに、どんなフードを食べさせていますか?と聞くと、ドライフードですと言われます。その成分を調べると、炭水化物が主体のものになっています。
α化した炭水化物は猫でも消化できるという理論がありますが、『消化』のその次の『代謝』が問題なのです。消化された糖によって上昇する血糖値を抑えるために、体内でインスリンが大量に分泌されます。その結果、脂肪細胞に血糖が取り込まれて肥満になります。肥満になれば、インスリンが効きにくい体質になります。『負のスパイラル』ですね。
このように、猫の糖尿病は、ヒトの2型糖尿病に似た病態が多いのです。膵臓からインスリンは分泌されているけれど、それを受け取る側の細胞が、インスリンを上手く利用出来ない、あるいは分泌されたインスリン量が血中の糖量に見合っておらず糖を処理しきれない、オーバーワークの病態です。
この場合、食べるものの糖質を制限すれば、自前のインスリンがしっかり働いてくれる可能性があります。実際に、糖尿病の猫に、高蛋白質・低炭水化物食を与え続けたところ、インスリン注射が必要なくなったという報告は、いくつもあります。
当院でも、食事を改善して脱インスリン注射した糖尿病猫がいますので、ご紹介します。
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●プーちゃんは15歳です。なんだかとてもだるそうです…
プーちゃんは15歳のメインクーンですが、初めて来院されたときは、心筋症と糖尿病でフラフラでした。毛艶は悪く、元気もなく、水ばかり飲んでいました。そこで、上述の理論を懇々と飼い主さんに説明したところ、食事の大改革をしてくださいました。極力、炭水化物の少ない食事にして、ときには生肉も与えました。
ただし、市販の『糖尿病用』のドライフードは食べさせませんでした。市販のドライフードには、いくら糖尿病用とはいえかなりの炭水化物が入っていますから…
ドライフードに小麦やトウモロコシを入れる主な理由は、第一に、炭水化物を入れないとあのカリカリのクッキーのような形状にならないからです。第二に、小麦やトウモロコシは肉に比べて原料費がとても安くつくからです。しかし、糖尿病となったとき、脱インスリン注射を目指すには、厳格に炭水化物を制限しなければなりません。したがって、ドライフード自体をなるべく避けた方が良いのです。
このような食事の改善によって、プーちゃんの糖尿病には、現在インスリン注射が不要です!なんだか顔つきまで違いますね…とても元気になり、心臓の調子も良好です。
さて、梅ちゃんもつい最近、糖尿病になってしまいましたが、第二のプーちゃんを目指して頑張っています。
●梅ちゃんは健康診断に来られたのですが、血液検査で糖尿病が発見されました!
2型糖尿病になったとき、ヒトでは糖質制限をすればインスリン注射が不要になることが周知されるようになりました(もちろん、自身からインスリンが分泌されなくなるまで病状が進行していれば、脱インスリンは困難です)。一方、猫や犬では、未だに『糖尿病用』のドライフードを食べてインスリン注射を打つことが一般的です。しかし、動物や飼い主さんのことを考えて、食事を変えて注射をしなくて済むようになれば、それに越したことは有りません。
脱インスリンをするために、市販の『糖尿病用』のドライフードではなく、与える栄養…糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルをその猫その猫ごとに考えるべきだと思います。


