先日、あるメジャーながんの、ある部位のリンパ節転移に対して
36回目の動注療法を実施させていただいた。
通常、後半戦でぎりぎりのところでカテをすることが多いのですが、
やはりうまく治療がはまると10回以上治療をすることが多々ある。
その中で、この36回という数字は別格で
僕にいろんなことを教えてくれる。
いつも書くのですが、治療の継続期間はすなわち、それだけ治療が成功していると言う意味です。効かない治療はすぐに中止されますし、意味のない治療もすぐに終わります。
いろんな条件が合うことが、長期にわたって治療を継続する秘訣です。
これだけ回数が多い患者さん、今でも遠方から定期的にカテを実施しに入退院を繰り返しておられますが、最初は病気のせいで自宅から外出することも困難だったそうです。今では大好きな鮎釣りに1日おきに通われているそうで、良い治療をしたなあと僕も嬉しく思っています。
長期間治療を継続する、できることの意味合い
1)その治療が成功していること。成功とはかならずしも病変の縮小ではなく、病気が動かないこと、英語ではstableといいますが、評価基準で、stable disease (SD)の状態です。ようは悪くならなければそれだけ命が長くなるのです
2)QOLがいいこと
がんカテは、がんの症状の緩和もかなり意識して適応を決めています。もともとがんのせいで寝たきりだった別の患者さんが、その後カテがはまって1年間で二度も海外旅行に行かれました。最後は僕が看取りましたが、かなりの生存延長と、大切な時間を作れたと思っています
3)未来の新しい治療に出会える可能性が高くなること
薬物療法が中心となりますが、今では遺伝子情報も当たり前のようにがん治療には必要となり、どんどんがん治療は変化していくでしょう。
今、完治を目指す必要はないんです。
未来につながるために、横ばい、共存を目指すのです
4)患者と医療サイドの関係が良い
僕は、結構、患者さんやそのご家族とうまくやるほうだと思ってます。
何でも(もちろん不必要な発言はしませんが)話せる関係になることが多く、いつも書きますが面倒な敬語もほとんど使いません。
患者さんはひとりひとり、考え方、個性、死生観、全部違いますので、
ベルトコンベアーのような流れ作業ではなく、
世間話もできるような感じで、患者さんに接するようにしています。
というか、患者さんの方から接してくれますね、特におばさま、いや、お姉さま達は(笑)
いま、カテをしている患者さんも、あまり回数は意識しないでください。
36回って、確かにすごいのですが、特殊なケースの患者さんです。
でも、本人にもご家族さんにも、治療を継続することをすごく喜んでもらっています。
病気も病勢もみんな違いますから
私は回数が少なかった、とか思わないでください。
僕のところで、使った時間の分だけ、皆さんの生きる時間と未来の可能性が高まっていると僕はいつも皆さんにお話ししていますよね?
それでいいんです。
だって、他の施設ではもうできないとか、この薬があるけど期待できないと言われた患者さんばかりがうちに受診されることがほとんどなので。
ですので、まあがんばりましょう。
肝転移の方は、まずは3回でしっかりと効果をだし、5回超えたら10回めざしましょう。
そんなイメージで、これからもカテを継続してほしいし、
新たにこの治療に興味を持たれた方は、こんな考え方で、後半戦のがん治療をイメージしてほしいですね。