中学生の頃、ヤンキーから壮絶にイジメられていた僕は、

いつの日か、こんな妄想を抱くようになりました。


普段はイジメられているけど、実はメチャメチャかっこよく

ギターを弾きこなすことができ、ある日の文化祭で

ステージに立ち、素晴らしいギターテクニックと

歌声を披露すると、そんな僕の意外なカッコよさに、

女子たちがキャーキャー言っちゃって、その日から、

学校中の生徒にリスペクトされる、カリスマ的な存在に!


もちろん、このカッコよさには、当時、僕が好きだった

トモコちゃんもメロメロで、「あんなふうにギターを弾ける

ちだいくんってカッコイイ!」みたいになり、結果、

僕はトモコちゃんと付き合うことになりました。(妄想で。)


できれば、この妄想を現実のものにしたい。

そう思い、さっそくお母さんに「僕、ギターが習いたい」って

相談してみたんです。


普通だったら、「何言ってんの、ギターなんか習う

ヒマがあったら、勉強しなさい!」って言われるのが

オチなんですけど、そんな相談をした僕にお母さんは・・・。


「あらー、そうなの? 実はお母さんも、息子ができたら

ギターを習わせたいって思っていたのよ!」と言い出し、

まさかの一発OKに・・・。さっそく、次の日からギターを

習うことになりました。


・・・「クラシックギター」。


そうです。習ったのは、まさかの「クラシックギター」。

僕が弾きたかったのは、バリバリのエレキギターです。

なのに、弦を弾いたら、なんとも言えぬ、癒やし系の音。

よくよく考えたら、ババァにエレキギターの魅力が

わかるはずもありません。


大人になったら、クラシックギターを弾けるのも

カッコイイんですけど、当時の僕は中学生です。

ただでもイジメられているのに、駅前でバッタリと

クラシックギターのハードケースを片手に歩いている

ところを同級生に見られた日にゃ、余計に酷いことに

なるのが目に見えてるじゃないですか!


「何、だせぇギター持ってんだよ!」です。


だけど、お母さんは「どうせ習うんだったら、

いいギターを買わないといけないわよね」などと

言い出し、気合いを入れて、安いエレキギターが

3本ぐらい買えるような金額のクラシックギターを

買ってくれてしまったため、本当は1ヶ月ぐらいで

辞めたいと思っていたんですが、なんと、流れ的に

4年間にわたってクラシックギター教室に通いました。


なので、今日の今日まで誰にも言わなかったんですが、

僕の特技は、クラシックギターなんです。


習っていた頃は、すごくイヤだったクラシックギター。

今は、好きな女のコのために、黙々と弾いてみたい。

弾き終わった後に、「チェックメイト!」です。