正妻トトリ、


夫の浮気相手に


マウントを取り溜飲が下がる


(心の中で)




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これまでのあらすじ∶

トトリの夫(オトト)が近所の女(オオクラナオコ)と浮気をした。

その後、オトトは海外赴任となり一人でドイツへ。

トトリは浮気の証拠品とともに離婚届を送付。

オトトはすぐに一時帰国をし、

トトリに土下座で謝ってきた。

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浮気をした相手が過ちを認め謝ってきたら、

そこから先は自分のターン。

許すか許さないか、だけだ。


わたしは夫のことが許せない。

謝られても、こちらの怒りは1ミリも減ることはなかったし。



「でも、赴任直後に一時帰国してくるのってスケジュール的に大変だったと思うよ。夫さん、誠意は十分見せてくれたんじゃない?」


中森さんの言葉に、同意できないわけではなかった。

確かにこのタイミングでの一時帰国は大変だったと思う。

帰国してきた翌日には、もうドイツへ戻っていったし。

オトトがわたしと離婚したくないと思っていることは分かったし、それはわたしの自尊心を満たした。


しかし……






今さら、何事もなかった頃のように仲良く過ごすことなど出来るだろうか。

また以前のようにカードを贈りあうことが出来るのだろうか……


わたしたちは、誕生日や結婚記念日など、記念日にはプレゼント以外にカードを欠かさず贈りあっていた。

初めてお互いにカードを贈りあったのは、知り合った年のクリスマス。

お互い、カードにまったく同じメッセージを書いていたことに驚いたものだ。



――カードのことを思い出していたわたしは、

ハッと気づいた。


そういえば、

オトトの部屋にあった文箱がなくなっている!






その文箱は、わたしの父が出張先で買ってきたものだ。

お土産としてわたしが貰ったものの、

「デザインが好みじゃないから使わないかも」

とわたしが言ったところ、オトトが、だったら自分が使いたいと言い出したのだ。


「トトリ専用文箱にする。トトリから貰ったカードはこれに入れるよ」


と言い、本当にそのように使っていた。


あの文箱をオトトが捨ててしまうとは考えにくい。

ということは……

ドイツへ持っていったのだろうか。

普通に考えたら、 

絶対にわざわざ持って行くようなものではないのに。






オトトは、オオクラナオコから贈られたポエムノートは、存在すら忘れているかのように無造作に置いていった。

一方、わたしが贈ったカードたちは、はるばるドイツへと持参していった。


オトトの書斎の椅子に座り、背もたれに体を預け、

わたしはフーと息を吐いた。

自然と笑みがこぼれてくる。



オオクラナオコよ、見たか。

これが

浮気相手と正妻の扱いの差だ!



つづく


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