◎ゴールデンエイジとは
技術の習得は新たな神経回路の形成ですから、脳・神経系の可塑性(やわらかい性質)が高い方が有利です。従って、その大脳の可塑性が比較的高く、また動作習得のためのレディネスもピークを迎え、双方が絶妙なハーモニーを奏でるゴールデンエイジが重要視されるのです。
それは、動きを頭で理解してから体に伝えるのではなく、見たまま感じたままのイメージに従って体全体で技術を吸収していく特別な時期だからです。そのために、この時期以前(プレ・ゴールデンエイジ)に様々な運動・遊びを通じて、神経回路を開いておくことが条件となります。

(1)プレゴールデンエイジ(9歳まで)-体育の楽しさを伝える-
ひとつの動作によって、ひとつの“神経回路”が形成されるという、神経回路の配線が急ピッチで遊んでいる時期です。運動能力の基礎は、この年代で形成されます。従って、この年代の子供達には、色々な遊びを経験させ、様々な器械やボールに触れることの楽しさや身体を動かすことの喜びを教えて、“体育が好き”という状態で次のステージへと送り出すと良いでしょう。
この時期の子どもは、楽しそうなこと、興味のあることには夢中になりますが、おもしろくないと感じればすぐにやめてしまいます。指導者は、子ども達が飽きない授業の進め方や授業内容の工夫をしなければなりません。つまり、子ども達がその時その時で興味を示したこと、楽しんでいることを大切にしながら、自主性を損なわせないように練習を行うことが重要です。鬼ごっこ・かけっこ・ドッジボールなどの様々な遊びや多面的な活動、ミニゲームでたくさん体を動かす機会を 与えてあげるよう工夫すると良いでしょう。

(2)ゴールデンエイジ(9歳~12歳)-実践的な技術の定義-
神経系の発達がほぼ完成に近づき、形成的にもやや安定した時期ですから、動きの巧みさを身につけるのにもっとも適しています。この時期は一生に一度だけ訪れる、あらゆる物事を短時間で覚えることのできる「即座の習得」を備えた時期、すなわちゴールデンエイジなのです。また、精神面でも自我の芽生えとともに、競争心が旺盛になってくる時期です。従って、指導者は子ども達に、“運動の基本”を身につけさせると同時に、より正確に、より美しく、友達と目標に向かって切磋琢磨していけるような指導を心がけましょう。指導を通して、“運動の基本”の必要性を理解させ、反復練習によって、大きく成長するための基礎を子ども達に作ってあげることが大切です。
「ゴールデンエイジ」と呼ばれるこの時期には、高度なテクニックも身につけることが可能です。一度習得した技術は大人になってからもずっと身についています。従って、この時期に多くの技術を学ばせることが、将来大きくのびるための大切なポイントとなるのです。ところが、この時期は筋肉が未発達です。そこで、力ずくで技を成功させるのではなく、大人になってからもできるような“技術”を身につけさせるように心がけましょう。

(3)ポストゴールデンエイジ(13歳以降)-より個人に目を向けた指導-
筋肉や骨格が急速に伸び、体のバランスが今までとは異なってきます。そのために感覚が狂い、習得した技術が一時的にできなくなったり、上達に時間がかかっ たりします。このことを「クラムジー(不器用・扱いにくい)」と呼びます。この時期には次のようなことが指導のポイントとなります。

○新しい技術の習得よりも、今まで身につけた技術を伸ばす。
○これまで身につけた技術をより速く、より強く発揮できるように、少ない回数や短い時間に集中して行う。
○基本的なグループ活動や、ボールゲーム等を通して、運動する上での視野を広げさせる。
○肉体的・精神的に不安定な時期であり、指導において難しい年代なので、「クラムジー」「思春期」「反抗期」についてよく理解し、それぞれの子どもにあった指導を心がける。
 特にこの頃になると男女の差がはっきりしてくる。女子は男子よりも早く思春期が訪れる。

○子ども達の体格、体力的に差が大きいのもこの時期である。
 画一的な指導ではなく、一人ひとりを理解し、それぞれの子どもにあった指導を心がける。


(4)インディペンデントエイジ(15歳~16歳以降) 
クラムジーが終わると、自立のための準備期になります。この時期には、精神的にも肉体的にもバランスがとれるようになり、それまで身につけた“運動の基本”を土台として、さらにその上に自らの個性を発揮できるようになるのです。次のようなことが指導のポイントになります。

○パワーはこの時期から18歳くらいにかけて急激に伸びるため、13歳以降のトレーニングに加え、ジャンプ系の運動が可能になる。(ただし、個人差が大きいので、負荷のかけ方には注意が必要)
○自己の特徴をよく知り、それを伸ばすように自ら取り組みことができるようになる。
○能力に応じた環境の提供が必要。(*天井効果の防止)

*天井効果・・・様々な能力の集まった集団の中でトレーニングしていると、中程度の能力を持った選手はどんどん伸びていくのに対して、能力の高い選手は伸びが低下してしまう(天井がふさがれてしまう)現象


委員長のつれづれブログ


参考文献:Players First