国際ロマンス詐欺に関する研究はWhitty博士等により、主に被害者側視点で行なわれたものが多く発表されています。

 

しかし国際ロマンス詐欺の被害を防ぐためには、犯人視点でも考えてゆくことも必要です。今回はガーナ大学経営学部の研究論文をご紹介します。

 

Rationalizing Online Romance Fraud: In the Eyes of the Off es of the Offender

オンラインロマンス詐欺の正当化:犯人視点

AIS Electronic Library (AISeL) - AMCIS 2020 Proceedings: Rationalizing Online Romance Fraud: In the Eyes of the Offender (aisnet.org)

Jonathan Nii Barnor, Richard Boateng, Emmanuel Awuni Kolog, Anthony Afful-Dadzie

 

この論文は、マーケティングのフレームワーク、MOA(Motivation:動機, Opportunity:機会、Ability:能力)と、犯罪の正当化というこ事柄について、実際に国際ロマンス詐欺に手を染めている情報提供者10人ほどに対し45分ほどのインタビューし、また法的機関などからの確認も実施した上でまとめたものです。以前、横領事件について説明した『不正のトライアングル』とも少し似ていますね。MOAトライアングルで『能力』になっているものが『不正のトライアングル』では『正当化』になっています。

 

情報は2015年にスタートしたサイバー犯罪シンジケートのメンバーから入手したものです。データを集めた時点(2017年)で25歳から27歳までの男性で構成され、学歴は高校卒業または中退。首領格の人物はITトレーニングスクールに入学する十分な資格が満たされなかった。家族は裕福な家族ではなく、母親がもの売り、父親は警備員、本人は長男で5人の弟妹がいて、家族の面倒を見る責任があると言っています。そして泥棒は悪いことで、出かけて行って人のものを盗むことは悪いことだという認識を持っているのに対し、サイバー犯罪に関する罪の意識は薄く、『何もしないより何かをするほうが良い」と述べています。この主犯格は車を所有し、パソコンはMacBook Proで、iPhone6を使用しています。詐欺師が詐欺であることを白状して『十分な教育を受けていなくてお金がない』と言ってきても同情する必要は全くないです!

 

論文中から、そんな彼らの動機・機会・能力・正当化といったそれぞれの調査した項目を観てゆきましょう。(続く)