2016年に一連のブログ記事、『国際オンライン詐欺に遭ったことに気づいたら』するべきこと・するべきではないことを連載しました。SCARS (Society of Citizens Against Relationship Scams)で2020年7月にリリースされている『被害に遭ったら次にどうすべきか』という記事に載せられている内容と私のブログ内容はそれほどかけ離れてはいないと思いますが、このブログでは書いてこなかった大切なことも言及されていますのでご紹介します。
(追記:誤解を避けるため、STEP3を『自分の心身の回復に専念する』という訳文に変更。
3つの基本ステップ THE 3 STEPS™
ステップ1: 詐欺師との全ての連絡を断つ
詐欺師たちとの連絡を全て絶ってください。(相手役だけではなく、関係する登場人物、子供や役人や上司などを名乗る人物全てです。)そして実際には会ったことのない知らない人々からの友達リクエストやメッセージ・リクエスト、様々な方法でやってくる接触を一切受けつけないでください。詐欺師や見知らぬ人々からのメールは全て迷惑メールに振り分けてください。詐欺師や知らない人からきたメールやメッセージは一切見たりダウンロードしてフォルダーに保管したりしないでください。メール内容などを見るときは、警察やwww.Anyscam.comに報告する準備をするときだけです。
これは私もブログで何度も強調していることです。国際ロマンス詐欺や419詐欺などの海外ベースのオンライン詐欺に遭った場合、まず相手との連絡を絶つ。これは相手役(恋人、ビジネスパートナー、瀕死の富豪未亡人など)だけではなく、ストーリーに登場するすべての人物との連絡を絶つということです。一度連絡を絶つと、それでも可能性を求めて詐欺師たちは何らかの形でコンタクトを取ろうとしてきたり、あるいは別の人物を装ってコンタクト取る場合もあります。様子を見て、まだ騙せそうであれば罪悪感を持たせたり、頼れる人物を装ったり、新たな素敵な出会いと思わせてさらにお金を取ろうとしますし、また脅しや嫌がらせ、スパムなどの送り付けも考えられます。詐欺師に伝えた個人情報は確実に裏市場で売られていて、他の詐欺団からもコンタクトを受けるでしょう。ですから;
- 直接交流していたメインキャラとその周辺との接触を断つ(メールやメッセンジャーアプリなどを既読にしない)
- 知らない人からの友達リクエストや、知らない人からのメール、Googleやマイクロソフトやアマゾンなどを装ったサービスメールなどに警戒する。(既読にしない、ダウンロードしたりしない。)
- GmailやOutlook等、メールシステムでスパム設定ができますので、見知らぬ人からのメールや詐欺団と思われるメールはすべてスパム指定して見ないでスパムフォルダーに入れるように設定する。
ステップ2: 詐欺被害を受けた事実を受け入れる
STEP 2: Accept That You Were Scammed
あなたが「犯罪被害者である」ということを受け入れてください。たとえ送金未遂であっても、詐欺は犯罪です。それは騙しであり、全ては嘘だったのです。あなたが相手から知らされていたことは全て真実ではありませんでした。ですから、どんなストーリーも約束も、全て嘘だったのです。受け入れる事は難しいかもしれませんが、詐欺被害を受けたという事実を認めて受け入れることは、これから前進してゆくために必要なことです。
このステップで、必ず警察に届け出をしてください。これは自分自身に詐欺被害に遭ったこと、全てが偽りのものだった事を認めさせる「けじめ」です。まず地元の警察署に届け出ましょう。簡単なことではないでしょうし、とても恥ずかしいことに感じるかもしれませんが、恥ずかしいことではありません。警察官はいつでも詐欺被害者に対して配慮が行き届いた言動をするわけではありませんし、お金を取り戻したり詐欺をやめさせる事はできないでしょう。しかしそれでも警察に届け出て下さい。警察には、「届け出て調書を取ってもらうだけで良い」と伝えて下さい。これがあなたが被害に遭ったことの証拠になり、もっと上位の機関や外国の警察機関などに届け出が送られる場合にも必要となります。
この手続きを終えたら、出来る限り後ろを振り返らず、前へ進みましょう。
このブログでは警察に届け出ることを何度も強調してきましたが、このSCARSで提案している内容は恐らく被害を受けた方々には納得しやすいでしょう。
『警察に行っても相手にされないから行かない』じゃなくて、自分が被害に遭ったことを認めて受け入れる『けじめ』として『調書をとるだけでいい』と伝えて警察に話をするということです。
警察署も地域によっては、今でも国際ロマンス詐欺に関しては『合意の上なんでしょう』とか『外国だから捜査できません』と言われて、届け出た側からすると良い対応をしてくれないと思える場合もあると思います。
でも、それでいいんです。自分自身への『けじめ』として『警察に行って調書を取った、警察は調書とっただけだけど、自分は被害を受けたんだということを受け入れるしるしになった』のであれば、後ろを振り返らずに前進してゆくことが出来るということですね。
回復へのプロセスとして、是非警察に調書を取ってもらいに行ってください。この記事では金銭被害がなくても届け出ることを勧めています。これは『けじめ』だから。
ステップ3: 自分の心身の回復のことに専念する
写真に写っている人を探し出したりしないでください。写真の人も写真盗用被害者であり、あなたはその人とは何の関係もありません。あなたの交際は詐欺師たちとのものでした。詐欺師たち(複数形)―つまり詐欺師たち達はチームで犯行を働いているのです。現在はこの種の犯罪で単独犯は皆無です。非常に難しいことかもしれませんが、あなたの過去を未来と引き離して下さい。
そして、あなた自身のこころとからだの健康に注意を向けましょう。詐欺被害は心的外傷を残すもので、ここで自分のケアをしないとより深刻な精神的な病気につながる危険性があるのです。詐欺は起きてしまった、しかし今はその事に背を向けて、自分自身の事を考え、前進し、回復に向かってゆくべき時なのです。
写真の人を探しだしたりしない、彼らにコンタクト取らない。これも以前から私も強調してきました。写真の人は詐欺事件とは関係ありませんし、なりすましの『被害者』でもあります。そして何人もの詐欺被害者から連絡を受けて、うんざりしている。 詐欺を行なった人たちは複数です。彼らは組織犯罪者でチームで働いており、単独犯はいない。『その人』という単独の人物は存在しない架空のもの。その写真を使って交際していた詐欺師との『過去』を自分と引き離すのは、精神的に回復に向かってゆくのにとても大切なんですね。
あなた自身のために、次の事を行なう事をお勧めします。
We recommend that you take two immediate actions to help yourself:
1. 私たちのフェースブックのサポートグループ(ストップ国際ロマンス詐欺 https://www.facebook.com/romance.sagi.jp/ )に参加するか、www.ScamVictimSupport.org の被害者支援フォーラムにアクセスする。
2. もし地元の誰かに話をする必然性を感じるのであれば、地元の心的外傷を扱う心療内科やカウンセラーを探してください。
厚生労働省のホームページで紹介されている無償のチャット相談システムも活用してください。このサイトに掲載されている相談窓口はLINE・チャットで気軽に専門カウンセラーに悩みの相談ができるものです。
· 東京メンタルヘルス・スクエア『こころのホットチャンネル』 https://www.npo-tms.or.jp/service/sns.html
· いきずらびっと・寄り添いチャット https://yorisoi-chat.jp/
· 社団法人いのちの電話 https://www.inochinodenwa.org/
· よりそいホットライン http://www.since2011.net/yorisoi/
現時点でご家族やご友人に被害のことや相談機関に相談したことなどを伝える必要はありません。もっと気持ちが強く持てるようになってからで大丈夫です。
回復にはとても時間がかかります。どれくらい長く被害に遭っていたか、どれくらい深い心的外傷を負っているかによって個人差があります。急ぐ必要はありません。そして黙っていても自動的に回復する事はありません。ほとんどの詐欺被害者は何ヶ月も、或いは非常に長期間かけてこころの安定性を取り戻します。どれだけ真剣に回復しようとするかが、回復への鍵です。近道はありません。簡単ではないですし、とても大変な事かもしれません。
SCARSに被害者サポートのフォーラムがあるので参加することが勧められています。日本語での相談は『ストップ国際ロマンス詐欺』のフェースブックグループか、ホームページにアクセスできます。『ストップ国際ロマンス詐欺』を運営するM-Stepのサイトでは国際ロマンス詐欺に特化したカウンセリングも受けられます。
厚生労働省のサイトで紹介されているホットラインは、専門のカウンセラーが無償で電話やチャットで応じてくれるところです。特によりそいホットラインは24時間対応だそうです。
恐怖感について
多くの詐欺被害者は被害の後に恐怖感を感じます。詐欺師達からの脅しや、ほかのものに対して恐れを感じている事でしょう。詐欺師達はビジネスでやっており、収益を得ることを目的としています。ですからそれ以外のことに時間を費やす事はしません。ですから恐る必要はありません。詐欺師達は嘘しか言わないことを覚えておきましょう。それでも恐怖感が拭えないなら、地元の警察に相談をしてください。
これも重要なことと思います。被害者は詐欺師から脅されたり、変なものを送り付けられないかという恐怖感があると思うでしょう。でも、詐欺師たちは組織犯罪者で詐欺をビジネスとして営んでいます。どんなに素敵な愛の言葉を言ってくれた記録があっても、本当の恋愛ではありません。利益が得られることが優先なのです。だからからかったり推理ショーをしたりして怒らせて刺激しない限りは、これ以上お金を送ってくる可能性のない被害者のために時間と労力を費やすことはないです。ですからブロックして連絡を絶てば安心できます。それでも誰かが家の前にやってくる危険があると感じるなら、ストーキングなどの危険があるといって警察に相談する。
今すぐ誰かに話をしたいとき
If You Need To Talk To Someone Right Now
今すぐ誰かに話をしたい場合は、厚生労働省のホームページでも紹介されている、24時間対応の「よりそいホットライン」に電話してみましょう。
0120-279-338 つなぐ ささえる(フリーダイヤル・無料)
050で始まるIP電話やLINE Outからは050-3655-0279(24時間対応)
http://www.since2011.net/yorisoi/
助けを求めることは恥ずかしいことではありません。
これも私のほうで提案させていただきました。原文は米国の連絡先等がありましたが、SCARSのほうから日本の連絡先を入れることが現実的だからということで、こちらで24時間対応の「よりそいホットライン」を入れています。誰かに声を出して話をしたい、しかし家族や友人にはできないというとき、ぜひ活用してみてください。
自分をロックダウンする
被害を受けたあと、ソーシャルメディアのプロフィールを非公開にして、詐欺師たちがあなたの生活を覗くことが出来ないようにしてください。プライバシー設定を確認して、もし公開になっている設定があれば全て非公開(友達のみ公開)の設定にしてください。
もし詐欺師たちに銀行口座やクレジットカードなどのお金に関する情報を教えてしまっているのであれば、口座やクレジットカード番号などを詐欺師たちに悪用されないようにする必要があります。金融機関に連絡して、詐欺被害に遭った事を伝え、口座番号・クレジットカード番号や暗証番号などを変えてもらってください。他に思い当たるものがあれば同様にしてください。たとえばマイナンバーカード、運転免許証、保険証その他、金融機関などで身分証明に使える個人情報のカードや個人認識番号など。
国際ロマンス詐欺の被害に遭ったあと、SNSなどを非公開にせず、詐欺師のメールもブロックしていなかったという方から、詐欺師から脅しを受けたといった相談があることもあります。自分の現在の生活を見られないようにする、プライバシー設定を非公開にするなどの手を打つことは大切ですね。それから詐欺師に口座番号やクレジットカード番号、マイナンバーカード番号などを教えてしまっている場合、面倒でも番号を変えるといった手続きは何らかの悪用を避けるために必要でしょう。自分のロックダウン、是非実行してください。
もっと理解を深めるために
今の時点で、自分に何が起きたのかを理解することに集中する必要があるでしょう。あなたが詐欺被害者であるという事は、あなたが詐欺に関するエキスパートであるという意味ではありません。学ぶことは恐怖感や怒り、当惑感を抑えるために必要なことです。これは回復への道筋の一部です。
そこで、SCARSのオフィシャルサイトを読んで学ばれることをお勧めします。自動翻訳で日本語でも読めます。画面上(パソコンの場合右下)に自動翻訳の言語を選ぶタブがあります。 Website: www.RomanceScamsNOW.com
このサイトには国際詐欺に関すること、詐欺師たちに関することなど何千もの記事が載せられています。どうしてこのような事が起きるのかを理解する助けとなります。まず手始めに、詐欺被害の心理学に関するセクションを参照してみるのはいかがでしょうか。
国際ロマンス詐欺の被害を受けた方が2度目・3度目の被害を受ける背景には、詐欺師や写真の人にこだわり前進できないことにあります。一方で、手口を全く学んでいない場合、例えば『前は軍人を名乗るやつに騙されたけれども今度の新しく知り合った相手はエンジニアだから大丈夫だ』といった判断をしてしまう危険性もあります。ですからSCARSのサイトや日本のストップ国際ロマンス詐欺などに書かれてる手口や心理学の記事などを読んでみてください。私のブログでも心理学的な記事を発信してゆきます。
元の資料:https://againstscams.org/for-new-scam-victims-the-3-steps/
過去ブログ記事まとめ:
1.国際オンライン詐欺に遭ったことに気づいたらすべきこと
2.国際オンライン詐欺に遭ったことに気づいたらするべきではないこと
するべきではないこと(1)相手と接触を続けようとすること
するべきではないこと(2)詐欺だとわかったと伝えたり相手を信じようとすること
するべきではないこと(2)補足詐欺だとわかったことを伝えるとどうなるか
するべきではないこと(3)相手を改心させたり訪ねていくこと
するべきではないこと(4)自分なりの捜査や復讐を試みる
するべきではないこと(5)写真の人を探してコンタクト
