2018年に警察に国際ロマンス詐欺の被害を届け出るべき理由について書きました。しかしながら、被害者の方々からは『警察に行っても真面目に捜査してもらえない』という声を聴きます。実際何も起きていないのか、そのことについてSCARSの「Scammer Urban Legends Chapter 7, No One Is Doing Anything!」をベースに書いてゆきたいと思います。

 



確かに、個々の被害者の方の視点から見れば何も進展していないように見えるわけです。しかしこの種の犯罪はテレビドラマのように簡単に物事が進むわけではないのです。

 

しかし広い目で見たときに、この種の犯罪に対する進展が全くないとは言えません。SCARSの資料によると、2008年から2016年の間に逮捕されたオンライン詐欺師は428人。2017年で1800人です。そして2018年で2万1000人。

 

日本でも2018年11月に仙台の女性が被害に遭った報道以降、被害の報道や共犯者と思われるアフリカ人の逮捕の報道が出始めました。2019年には在日ナイジェリア人、カメルーン人。国際ロマンス詐欺被害を阻止した銀行員の方が表彰される。

 

全体的に見ると、2017年以前に比べ大きく進展があったと言えるのではないでしょうか。

 

現実的に考えてみると、この種の犯罪の主犯は国外に住んでいます。たとえ偽のプロフィールが国内に住んでいると書いてあったり、国内の銀行口座や電話番号などを使っていたとしてもです。

 

多くの場合、詐欺団はアフリカや南アジア、東南アジア、ロシア、フィリピンなど海外に住んでいます。そして途上国の多くは警察力も整っていません。国際透明性機構が毎年公開する腐敗認識指数

 

 

によると、日本は20位、73.00ポイント、米国23位で69.00です。それに比べると、

51位 マレーシア 53.00

80位 ガーナ 41.00

80位 インド 41.00

137位 ロシア 28.00 

146位 ナイジェリア 26.00

153位 カメルーン 25.00 

 

SCARSの記事によると、ナイジェリアやガーナでは警察官を10ドルくらいで買収できるとのこと。10ドルくらいで警察官を買収できる国にどうやって協力を要請できるでしょうか? 詐欺師が被害者から奪うお金に比べると小さな金額で見逃してもらえるのです。

 

また真面目な警察官でも、国内の腐敗や犯罪の増加により、自国民を守る活動のほうが重要ではないでしょうか。外国での詐欺被害を、それらの国の警察は優先的に捜査する余裕はないでしょう。

 

また、詐欺被害者は詐欺を働いた犯人がどこの誰なのかを知りません。相手はアメリカ人を自称していたかもしれません。しかし実際にはその国籍でもなければ市民権も持っていない、架空の人物を複数の詐欺団のメンバーが演じていたわけです。

 

犯人が自称していた国の捜査機関に依頼をしても、何も出てくるものがないのです。自国民ではなく住んでもいない架空の人物を捜査することに、犯人が自称していた国の警察は税金使って動くはずもありません。

 

そんな中で、共犯者が逮捕されたり、被害を阻止した金融機関職員が表彰されたといった報道がなされるようになったのは大きな進展です。国内で可能なことをまず警察や金融機関が行なっているということです。つまり国際的なオンライン詐欺に関する問題に対する認識が日本でもあるようになってきたということです。

 

(次回に続く)

 

 

 

 

 

 

 

 

参考資料:SCARS(Society of Citizens Against Relationship Scams)

「Scammer Urban Legends Chapter 7, No One Is Doing Anything!」

https://romancescamsnow.com/dating-scams/scammer-urban-legends-chapter-7/