国際ロマンス詐欺の被害に遭われた方(送金していない方を含む)は、相手を「一人の人」として見てしまいがちです。しかし犯人たちの多くは、組織犯罪です。RSN (SCARS, Society of Citizens Against Romance Scams)によると、45%のロマンス詐欺被害者は、相手が一人の人間だと信じている。しかし、90%のロマンス詐欺は集団で実行されています。

 

RSNによると、13%の被害者は写真の人が絡んでいると信じているそうです。実際には、詐欺に使われた写真はネットから勝手に盗まれたものであり、写真の人が詐欺に絡んでいることは殆どありません。その盗んだ写真を使って犯行グループが詐欺をはたらきます。

 

米国だけでも2億ドルを超えるという巨大市場。その詐欺行為を成功させるために詐欺団はその手口を企画し、デザインするのです。

 

1.キャラクターデザイン

詐欺団は詐欺のキャラクターをデザインします。アニメや漫画やドラマの登場人物をデザインするのと同じです。その写真の人物がどこの誰で何をしていてどのような考え方を持っているかなど。中には写真人物と設定されたキャラのギャップが大きい場合もありますが。

 

下の画像は、実際に犯行に使われたプロフィールをもとに、詐欺によく使われる写真をあてはめて作成したキャラクター設定です。

 

 

2.スクリプトのデザイン

筋書きのデザインは非常に重要です。報告されている国際ロマンス詐欺の手口は様々ですが、Antiscamサイトで報告されている手口の統計をとると、その多くが『軍や国連機関などの休暇申請か退役申請』と『戦場や出張先や第三国から送られてくる荷物』で、それらの手口を使った詐欺に被害者が引っかかって送金してしまう比率も高いのです。

 

国際ロマンス詐欺の手口はワンパターンなので、他に能がない犯罪者だと感じる方も少なくないでしょう。しかしこの手口が非常に強力なのは、一つは請求してくるのが恋人役ではなく、第三者(税関役人や配送会社や軍の上官か総務エージェントなど)で権威がありそうな人物がもっともらしく出てきて請求してくるため、被害者にはリアルティが感じられることでしょう。『そんなことあり得ない』と詐欺師に反論しても、『特殊任務だから普通の方法ではないのだ』と言い訳されてしまう。

 

3.偽文書などの小道具のデザイン

筋書きに合わせた様々な小道具もデザインされます。

●お金で電話番号が買えるアメリカやイギリスから被害者に電話をかけるシチュエーションの設定。

●英国の税関を装うための電話番号、米国の特定の州の市外局番を持つVOIP電話番号。

●偽配送会社のウェブサイト。

●偽契約書や偽の軍の公文書。

●偽の送り状、偽の配送会社伝票。

手口の企画やデザインが巧妙にできればできるほど、被害者が信じやすくなります。ヘッダー付きの文書は偽造できないと信じている、ITリテラシーの低い方などは、巧妙に作られた契約書や軍の文書が偽物であるはずないと思うかもしれない。

 

参考資料:

RSN by SCARS (Old facebook page, 27.5.2018) . HOW SCAMMERS WORK THEIR VICTIMS.

https://www.facebook.com/onlineromancefraud/photos/a.534358389984702/1689872127766650/?type=3 (viewed 2018.9.04)