米国だけでも2億ドル市場。そんな国際ロマンス詐欺の送金手段を物流として説明します。

 

特にナイジェリアやガーナが絡んでいると思われる国際ロマンス詐欺の送金先として使われるのは

(1)ウェスタンユニオン、マネーグラムなどの国際送金サービス

(2)被害者にとって外国の銀行口座か、被害者の国の銀行口座

 

(1)ウェスタンユニオン、マネーグラムなどの国際送金サービス

 ウェスタンユニオンやマネーグラムというのは、送金手数料が安く、国によっては受け取る側はIDカードなどの個人認証なしでも「秘密の質問」とMTCN(送金番号)が一致すれば受け取れるシステムになっています。受取人が身分証明書を提示出来ない場合には、送金時に“秘密の質問”を設定して、本人確認をする方法があり、犯罪者がお金を受け取るには都合の良いものです。

 

例えばボビーという名前の男がジョン・ウィリアムという名前で被害者からお金を受け取る。ウェスタンユニオンに行って、被害者に指定しておいた秘密の質問(例えばGod Isに対してLoveなど)と送金番号だけでそのお金を受け取れる。ボビーはジョン・ウィリアムであることをパスポートや個人IDカードで証明する必要がないのです。

 

なぜこんなに犯罪者に都合の良いシステムがあるのかというと、IDカードや免許証・パスポートを持たない、銀行口座も持たないタンス預金をする非識字である途上国の方々が外国で出稼ぎをする息子や娘からお金を受け取るのに便利だからです。そのような方々が使うことが出来る送金システムなのです。

 

ウェスタンユニオンによると、この種の送金システムは本来は友人や家族への送金だけに使用するべきもので、会ったことのない相手に送金するのに使うシステムではありません。(参考資料のリンクを参照)

 

ウェスタンユニオンなどへの送金で、詐欺師は住所などを教えてくれるかもしれません。しかしその住所さえも、実在しない住所である可能性は大きいです。ストリートネームだけで家の番号などがない住所でも送金が可能なのです。ですから、ウェスタンユニオンやマネーグラムで送金した時の相手の情報は殆ど手掛かりにはなりません。

 

(2)銀行口座

  銀行口座の主は詐欺師本人であることは稀です。ほとんどの場合、以下のような共犯者が絡んでいます。

1) 詐欺師の友人や親戚

2) お金で口座を貸す口座貸し業者

3) 他の詐欺被害者や雇われた口座貸しする個人

 

詐欺師の友人や親戚の場合、口座名義人がアフリカ系の名前だったり、出稼ぎ先のトルコなどの口座だったりします。ある被害者の方の送金先はナイジェリア人の名前で、米国の中古車業者でした。別の被害者の方の送金先は、在日アフリカ人でした。

 

お金で口座の貸し借りをする業者も存在します。お金欲しさに口座を作った人が業者に売るというのは日本でもありますね。名義貸しも犯罪です。

 

さて、個人名義の銀行口座が送金先だった場合、よくあるのが「マネーミュールの口座」です。ドラッグミュールが薬物の運び屋をさせられる人であるのと同じように、マネーミュールはマネーロンダリングの中継点としてお金の運び屋を担うものです。

 

マネーミュールはお金で雇われた個人である場合もあります。例えば、自宅で気楽にできるバイトとして紹介され、送られてきた金額の10%を謝礼として受け取って残りをウェスタンユニオンで海外に送金するという「バイトの業務」を行なう。

 

国際ロマンス詐欺で少なくないのが共犯者にさせられた「被害者」が口座貸しをすることです。つまりこういうことです。詐欺師が被害者にお金を返すと言ってくる。しかしその一部を例えば国連とか子供のいる病院とかにウェスタンユニオン通して送金してほしいと言われる。お金が返ってきてほしいと思っていた被害者は、相手の言う通りお金を受け取る。詐欺師が、送金してくる人の名前は、例えば軍の秘書官だとか説明されるかもしれない。マネーミュールにされる被害者というのは既に相当額を詐欺師に送金し、詐欺師との間に信頼関係が出来ている場合が多い。そして、送金した被害者がもつ唯一の手掛かりにつながるのがマネーミュールの銀行口座であることから、マネーミュールは逮捕されたり口座を凍結されるなどの可能性が高くなる。詐欺師は逮捕されずに安全、詐欺師を信じて口座を提供したマネーミュールが最前線に立たされ、結果として詐欺の片棒を担がされ、被害者が加害者にされてしまう。送金した被害者が警察に届け出れば、口座は凍結されることがあります。『自分のお金が返ってくるのだからだれから送金されたものでも構わない』とか『他の被害者を不幸にしたい』という動機を持つ確信犯と判断されれば逮捕・起訴の可能性も出てきます。

 

最近は国際ロマンス詐欺の送金先が日本の銀行だったという話をしばしば聞きます。送金先は外国人(アフリカ系)の名前のこともありますが、日本人の名前の場合もあるのです。これはどういうことかというと、日本人がマネーミュールにされているということです。

 

日本人のマネーミュールがいるということは、そのマネーミュールにされた日本人は相当額を詐欺師に貢いでおり、信頼関係が出来ていて、たとえ口座に法外な金額が振り込まれてもネコババせずに自分の約束された取り分だけ残して詐欺師に送ってくれる人だということです。会ったことのない詐欺師と、偽の書類で「結婚」まで成立しているかもしれない。(但し、結婚証書は偽物でその国の大使館や届け出をしたはずの地方行政機関などに出向いて問い合わせても、結婚届が受理された証拠は全く出てきません。)

 

 

 

(3)その他の流通経路

 その他の送金方法として報告されているのが、ビットコインやプリペイドカードなど。プリペイドカードはアマゾンやアップルのが知られています。

 

 

参考資料:

ウェスタンユニオン. 詐欺に遭わないために. 

https://www.westernunion.com/JP/en/fraud-awareness-jp.html(viewed 2018.9.3)

東洋経済オンライン (2014.2.9). 新手の国外不正送金「マネーミュール」の闇 

https://toyokeizai.net/articles/-/30097  (viewed 2018.9.3)

国際ロマンス詐欺撲滅協会. お知らせ. https://goo.gl/x4gTNq (viewed 2018.9.4)