テクノロジーの進歩と犯罪のハイテク化はイタチの追いかけっこです。
以前にも書きましたが、ビデオ動画をストリーミングさせてあたかも本人が画面の向こうにいるように見せかけるビデオチャットのトリックは存在します。
国際ロマンス詐欺の注意喚起しているブロガーさんなどが、ビデオチャットに出てこなければあては偽物だと書かれています。しかし、ビデオチャットに姿を現したら本物だと信じてよいのかというとそうではありません。しかも、動画にブックマークをいれておけば、被害者から「手をふってみて」と言われてもできてしまう。それを見た被害者は相手が本物だと確信してしまうのです。
テクノロジーの進歩で、もう少しすれば写真さえあれば写真の人物を動かす動画を簡単に作れるようになるでしょう。そうすれば、ストリーミングのトリックでは不可能だった「目の前で名前を書いてみて」という要求にもこたえられるようになる。
5年くらい前までは、詐欺師から届いたというメールのヘッダーを解析すれば、メールがナイジェリアやガーナから来ていることを証明できました。スカイプのIDもある方法でIPアドレスを調べることが出来て、私のスカイプの偽アカウントに来た詐欺師たちのIPを調べたら70%以上がガーナからだということがわかったことがあります。しかし最近はIPアドレスを突き止めるのも難しくなりました。GmailやYahooのアドレスから来たメールを調べても、IPアドレスはGoogleやYahooの本社の所在地が出てきます。VPNも最近はスマホアプリなどが簡単に手に入ります。そうすると、IPを晒すメールアプリを使っていても、VPN使えばIP偽装は簡単。
詐欺師のスクリプトの開発も進んでいます。ある被害者の方から聞いた話です。普通は戦場からの荷物を送るという話で手数料を税関や配送会社から請求されるというお決まりの展開になったら、恋人役の詐欺師はお金を送るように促します。しかし、その方が遭遇した詐欺師はそうではありませんでした。何と、「手数料は既に支払い済みだ、君が支払う必要ないんだ!」と怒ったのだそうです。これで被害者の方はかなり悩んだそうです。何故なら、ここで請求されるべきお金が請求されなかった。シリアからの大金の入った荷物までは普通のスクリプトだったのです。それがいきなり変わる。そうすると、私のブログや新川さんのFBページや、英語のAntiscamサイト等に書かれている典型的パターンとは違ってしまう。被害者は相手を疑いながらも、シロだったらいいのにという気持ちを抱いています。だから、恋人役が送金要求を「否定」してくれると、「彼は違うのでは??」と期待してしまう。このスクリプトは、この方がこの段階で誰にも相談していなかったら有効にはたらいていたかもしれません。
殆どの国際ロマンス詐欺はワンパターンで話が進みます。そのワンパターンのストーリーがAntiscamサイト等に書かれていることを知ると、被害者は「やっぱり詐欺だった」と気づく。しかし、その「パターン」を少しでも逸脱すると、「いや、詐欺じゃないのかも」と期待をしてしまうかもしれない。

