有吉佐和子の「女二人のニューギニア」を読みました。

昨年12月、日経新聞の「半歩遅れの読書術」で翻訳家・岸本佐知子さんが、衝撃的だった、と述べていた本です。

 

ニューギニアの奥地で暮らす日本人女性の友人に”誘われて”、”のこのこ”出かけて行ったらああ大変、という旅行記ですが、その女性が現地の人々を研究する文化人類学者である点がミソです。

当然、表面的に景色を見てすごすお気軽な旅行にはなりえず、大変ぶりが想像の遥か上を行っていました。

 

今ニューギニアに行っても、もうあんな体験はできるはずもなく、旅にはタイミングというものが確かにあるものです。

人々は様々な文明の利器を手にしてしまい、今ならカルチャーショックも最低限のはず。

意思疎通もアプリを使えばなんのことはないでしょう。

なによりその地に行く前に机上で現地の情報がたっぷり入手可能。

有吉さんの旅は、事前知識がなかったからこそ行けた旅でもありました。

帰国後のオマケ話もできすぎ、ともいえる程強烈です。

 

 

もうあんな旅を再現することは時代的に無理、と思いつつも、本書自体はまるで現代の旅行記のように思えるから不思議です。

現地の人々の暮らしぶりは近代化前だし、海外旅行を取り巻く環境だって今とはダンチ(1968年の旅というからには1ドル360円の時代で、飛行機の旅だって高嶺の花の時代のはず。)

でも、有吉さんの行動や思考には古びた感じがありません。

あの冒険心とサバイバル能力にひたすら敬服します。

有吉さんのみならず、人類学者・畑中幸子さんもしかり。

 

 

さて次は何を読もう?

旅行記本つながりで、テレ東系番組「あの本読みました?」で紹介されていた若林正恭さんの「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」も読んでみたくなりました。

 

 

オマケ1)

 

日経新聞の話が出たので最近の感想を少し。

朝刊小説「タイムアフタータイム」が甘ったるすぎて辟易中。

今回作者の吉田修一氏は、社会人生活描写に青春時代の回想をまじえた完全なメロドラマに挑んでいます。

昔を回想しつつ社会人たちの胸キュンドラマを描きたかったと言っていますが、ベタベタと甘酸っぱい思い出連発で激しくシラケます。作りこみすぎ。もっと自然なストーリーのほうがリアリティも出て、共感も多少できたかもしれないけど。(吉田修一ファンに言わせると、彼の小説は当たり外れがあると。)

 

新社会人層がターゲットなのかな。日経の読者層に合ってる?

チープな青春メロドラマ、、、などと酷評するぐらいなら読むなと言われそうだけど、批判するためには読まないと。

老年者の恋を描いた中島京子さんの夕刊の「ポワールのソルベ」のほうが意外に斬新で、好みだな。

 

朝刊はずっしりした歴史小説、夕刊はコミカル系、という組み合わせが多かったけど、ここ最近朝夕軽めでちょっと物足りない。

 

 

オマケ2)

 

NHK朝ドラ「ばけばけ」も残りあと2週間。

今頃になって、松江城付近(自宅のあった場所とは離れている)で見かけた小泉八雲文学遺跡の謎がわかりました。

なぜ文学遺跡がこんなところに?

その答えは、この碑の側面に書かれていました。

ちゃんと読んでいなかった・・

 

『ここは八雲の在松中、尋常中学校の運動場であった。その模様を八雲は英語教師の日記の中にかき、また通勤の近道であった』