快適な人付き合いのために知っておきたい『境界線』。これまでに
 
①境界線とは。
②越えたり越えられたりするとどうなるの?何がまずいの?
 
ということを書きました。
 
今回は
 
③境界線を越える・越えられるようになる理由について。
 
心のしくみの観点からご説明したいと思います。

ここではインテグレイテッド心理学をベースにみていきます。
 
 
~境界線がうすくなる3つの理由~
 
どのようにして自分の気持ちの範囲内である領域を越えたり、

越えられたりするようになるのでしょう。

そこには主に3つの理由があります。
 
1)自分の欠けているもの(欠乏感など)を相手で埋める。

(スペシャルラブリレーションシップ)
 
自分の中に満たされていないものがあるとき、その欠けている感覚を

家族やパートナーなどに目を向けることで満たすことがあります。

この「欠けている、何か足りない、私はダメだ。」などの思いは

潜在意識にあるものなので、ふだんは全く気が付いていません。
 
「自分にはない・欠けている」という感覚ですが、

誰か(や何かの行為)に目を向けている間は自分の内側にある

欠けている感じを見ないで済むので、

無意識に欠けている感覚を他者との関係で満たそうとします。

繰り返しになりますが自分の欠け感も埋める行為も

すべて潜在意識になるので「無自覚・無意識」なまま行われます。
 
こうして自分の見たくない思いや、感じたくないネガティブな

感情などを感じないでいられる、蓋が必要になってきます。
 
このような蓋をしてくれる(満たしてくれる)条件付きのつながりを

『スペシャルラブリレーションシップ※』と言います。
 
蓋になってくれているときはいいのですが、自分の蓋に

ならなくなったときには再び欠け感を感じるようになるので

別の蓋(違う人、違う行為)を探すようになります。

また、この欠け感は個人レベルのものもあれば、

エゴが持つ人類共通のものなど、

様々なものが重なっている状態もあります。
(※インテグレイテッド心理学より)

 

この『感じたくないものを感じずに済む関係』は対象が人とは限らず、物や行為で代償することもあります。
これがアルコール依存や薬物依存など、あらゆる依存症の根本の原因ともいえます。
「欠けている感じ」は心の傷と言ってもいいでしょう。


 
 
2)自分の禁じている思いや気づいていない思いで相手をみる。

(抑圧・投影)
 
私たちは無意識の中に自分ではまったく

気がついていない思いをたくさん抱えています。
 
例えば、本当はとても不安が強いけれど、その不安を感じることさえ

怖い場合。「不安だ。」という感情や感覚は一切感じないように

抑えます。しかし、その「不安」はないことにしてもあるので、

その不安は自分が持っているのではなく、

相手や社会が持っていることになります。
(※抑圧・投影/インテグレイテッド心理学より)
 
自分の「不安」には気がつきませんが、どことなく不安はあるので、

そのままその不安を他者にみるようになります。
 
すると「あの人は困っていそうだからサポートしてあげたほうがよいだろう。」

と、相手が不安そうな人にみえるので(実際、当人は

不安かどうかわからないのに不安そう見える。)

この人の実際の行動は『いつも誰かに気を配る・不安な状況が

ないように配慮する・気を配る』というものになるでしょう。
 
けれど、これは相手が不安そうだからヘルプするのではなく

実際には自分の不安感の現れであったりします。

(表面の行動と心の奥で抑圧している思いは人それぞれです。)
 
ここでも「自分が感じている不安(ネガティブな抑圧している思い・感情)」

は絶対に感じたくないので、本人は『自分が不安なのだ。』

ということには全く気がつきません。
 
みたくない、感じたくない思いほど、

心の深くにしまうのでますます気がつきにくくなります。
 
 
3)自分の信念や世界観で相手をみる。

(ビリーフ、セルフ・イメージ)
 
ほとんどの方は小さな頃、親や先生からの教え、

ルール、約束など言われたことがあるかと思います。
 
たとえば
 
「約束の時間は守ること。人を待たせてはいけません。」
「大きい声を出して騒いではいけない。人に迷惑をかけてはいけない。」
「金の切れ目は縁の切れ目。怖いものだから、簡単に貸し借りしないこと。」
 
など。
 
しつけや人生の教訓として言われ続けてきたことや教え。

それ自体はわるいものではありませんが、

繰り返し聞いていたものや、言われたときに強烈な

インパクトやショックがあったときにはそれがそのまま

自分の中に刻まれやすくなります。(信念、ビリーフ)
 
例えば幼いこと、つい小さなウソをついてしまったことがあった。

そして、それを知ったお母さんが泣きながら

「そんなウソをつくような子、お母さんはきらい!」と怒ったとします。
 

すると、その子はお母さんのそういう様子をみて

「ウソはこんなにわるいことなんだ。もう二度とつかないようにしよう。」

や「私はお母さんを泣かせるようなをダメな子なんだ。

嫌われちゃった」などの思いと共に

『ウソをついてはいけない。』などの思いを心に誓うかもしれません。
 
そうすると、それからは「いつでも正直でいなければ。」と

自分を律したり、誰かの態度を厳しくみる。。

というように自分や他者をみる目が「人は正直であるべき」

という基準にそったものになっていきます。
 
このように、私たちは誰もが生きてきた中で作られた

自分ルールを無意識のうちに相手に投影します。
 
ほとんどの場合、このようなビリーフやセルフ・イメージ

(自分に対する信念、思い込み)を通して世界を捉えていますが

それが自分の解釈だと気づかず、投影を『真実だ。』と思い込んでいる状態といえます。
 
 
4)親からのパターンを他者へ適用する。自分と相手が同一化している。
 
親と子どもという関係は一人の人間と人間の関係ですが、

あまりに精神的、身体的、時間的な距離が近いと

心理的な境目が無くなり、まるでくっついてしまうかのような関係

(癒着)になってしまいます。人によっては出産と同時に

「自分が生んだ、自分の子ども。」というように、

子どもを一人の人間というより、自分の所有物として

感じる方もいるかもしれません。


このように自分と子どもとの境がわからなくなり、

自分のこと(領域)かのように境界線を越えた状態が

『過干渉』という状態になります。
この境界線を越えた状態のままで育つと、

自分にとってはその関わり方が基本になります。
 
すると、今度は自分が他者と関わるときにも相手の領域に入ったり、

相手から自分の領域に入られてもNOと言えず(思わず)

境界線越えに気が付かないまま関係をつなぐようになります。
 
これも自分の基準や解釈、マイルールを相手・世界に

当てはめてみている状態とも言えるでしょう。
 
※ここに書いた例はあくまで、たとえの一つですので、

潜在意識にしまわれていることと、

それがどのように現れているかは人それぞれです。
 
◇
 
ここまでは心のしくみから、境界線の背景をみていきました。

次回は、境界線がうすくなるもう一つの要素

「繊細で感じやすい、同化しやすい」という特徴

『ハイリーセンシティブパーソン』についてご説明します。
 
 
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