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熊谷達也さんの

『邂逅の森』

を、読み返す。




優れた小説は、
読む人間に、
別の人生を与えてくれる。



この、邂逅の森も
そういう一冊です。




山の神に祈りを捧げ、
熊やアオシシと対峙する
マタギ。




私は、マタギになり、
凍てつく山の中にいた。



己の気配を消し、
木立となり、
やがて石と化す。




山の神は、
風や雲や草木、森の獣たちに姿を変えて、

時に優しく、
時に荒々しく、

人間の前にあらわれる。




人間に出来ることは、

ありのままを受け入れ、

真摯に、向き合う。

それだけ。



山里にいる時には、
強欲で、
どうしようもない人間たちも、

水垢離をし、
女断ちをして
山に入り、

山の神に見つめられる頃には、

感覚は研ぎ澄まされ、

限りなく、獣に近づく。



その息遣いを、
そして、
命の力強さを感じながら
ページをめくる。



涙がこぼれそうになって、
ハッと、電車の中だということを思い出し、
思わずページを閉じました。



良い小説だなぁって、
思います。