【言語的隠蔽】人の顔を覚えるときは言語にしてはならない
12月の心理学です。今回は「記憶の心理学」の5回目です。参考動画を視聴なさっていただくと、理解しやすいです。
◆言語隠蔽効果
顔を記憶するとき、脳の中では、目や鼻などの位置関係を全体的に覚える処理と、目や鼻の形などの特徴を覚える処理が行われると考えられています。
さらに言葉で補足すれば、より覚えやすい気もしますが、1990年にアメリカで報告された実験結果は逆でした。
この実験の参加者は、強盗が登場する動画を見た後で、顔を思い出して特徴を言葉で列挙します。
すると、あとで強盗の顔を8枚の写真から正しく識別できた人は38%で、列挙しなかった場合の64%に比べて低かったというのです。
これを「言語隠蔽効果」といいます。言語化することで個々の特徴に注目することになりますが、その後の識別では顔全体が主な判断材料になります。この不一致が記憶の誤りを引き起こすのです。
◆尋問を受けた相手の顔すら誤ってしまう
顔の記憶には、事後情報効果も影響します。捕虜となった軍人にとって、尋問者の顔やそのときの状況を覚えておくことは重要です。
2013年、アメリカの軍人800人以上を参加者として、苦痛を伴う尋問に耐える訓練の一環で行われた実験結果が報告されました。苦痛を伴う尋問ですから、「一生、忘れない」と感じるほど、注意を向けている状態だと思えます。
参加者の一部は尋問後に、実際の尋問者とはちがう人物の顔写真を数分間、見せられました。
するとその後、尋問者を含まない9択の顔写真から尋問者を選ぶテスト(正解は「いない」)で誤りやすくなりました。
写真を見せなかった参加者が誤る確率は53%だったのに対して、見せた参加者が誤る確率は91%と高かったのです。(転載終了)
(参考書籍)ゼロからわかる心理学(別冊ニュートン)
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