※ マヤの発言部分を紫色にしています。
「(11+11)=22を超えたあとは・・・?」
「幼い獅子よ、魂はその答えを知っているので、わたしが代わりに答えよう。『22』を超えた後は、『高みに昇れ』だ。さぁ、魂の底から変容の炎を起こし、世界の果てから風を呼び寄せ、一気に高みへと翔けあがるのだ」
Gは杖の先から光を放ちながら虚空に図形を描き、その図形を回転扉のように押して中に入ってゆく。扉の向こう側は霧がたちこめ、純白の世界が拡がっていた。
「さあ、この塔のてっぺんに昇る時がきた」
霧の中からGの厳かな声が聞こえている。突風と共に急速に霧が晴れ渡ると、目の前には真っ白い塔が、はるか天空に向かって伸びあがっている。マヤは呼吸を整えながら、塔をなぞらえるように目でたどってゆくが・・・雲にまで届きそうな塔には、階段も梯子もどこにもついていない。
「階段もないのに、どうやって昇れというの?」
「幼い獅子よ、汝はすでにその答えを知っているはずだ」
「そんなの知らない。たとえ知っていたとしても、なぜ、わたしがこんなことをしなければいけないの?」
壁に描かれた「謎の文字」
マヤは段々腹が立ってきた。寝起きに壁の文字を読まされ、エリア#6と7の間を修復せよという言葉を頼りに、酷寒の氷の世界や、乾いた砂漠地帯をさまよったあげく、今度は雲にまで届きそうな塔に昇れとは。
「闇を恐れることなかれ。光が強ければ強いほど、濃い影が落ちるものだ」
「G!意味がわかんないよ。影を作るような強烈な光が、本当に必要なの?高みから降り注ぐような強い光ではなく、まわりに影を作らないような光を選ぶことは、今のわたしにはできないの?」
「よく憶えておきなさい。いったん高みを極めた者でなければ、人々を照らすような、やわらかい光を自ら放つことなどできないのだ」
「だからといって、高みに昇れと言われても、どうやって昇ればいいの?この塔には、階段もなければエレベーターもついていないじゃない」
「幼い獅子よ、冷静に考えてみたまえ。宇宙図書館のエリア#12から、エリア#13に移行する際に、どのようにして昇るのか?そこには、階段やエレベーターがついているのだろうか?なぜ、この塔には階段がないのか。すべてが一つにつながってしまえば、そこには階級意識や次元の区別などないということを知っているではないか」
(過去記事)
【6と7の架け橋】宇宙図書館(1)(3/26)
【空海】22を超えてゆけ?!(3)(3/9)
こんなに高い塔に昇れるわけがない。そんなの無理だ。マヤは心の中でそう呟いていた。Gの峻厳さにはもう着いて行かれない・・・。心がざわざわと音を立てていた。その音に呼応するように、あたりの草がゆれている。
高尾山の天狗
風はどこから吹いているのか、瞳を閉じて、耳を澄まし、風の音を感じてみよう。その音は、心臓の鼓動の向こう側から吹いているようだった。
右の耳から聴こえる音は、身体の下の方へと流れてゆく。
左の耳から聴こえる音は、天に向かって真っすぐに伸びあがる。
二つの音が遠ざかるにつれて、時空の壁がシャボン玉のように伸びて、もう限界だと思った瞬間に、青白い閃光が走った。
パリ・コンコルド広場のオベリスク(クレオパトラの針)
まばゆい光が徐々に遠ざかり、ゆっくりと目を開けてみると、塔には光で描かれた図形が浮かび上がっている。それはまるで、古代エジプト時代の、オベリスクのように見えた。
Gは、静謐(せいひつ)な寺院に響き渡る祈りの声のような、厳かな声を発していた。今はもう地上にはない古代の言葉を唱えると、塔にはあかりが灯ってゆく。
以上、「6と7の架け橋」から転載しました。(次回へつづく)
Jam(1992年 マイケル・ジャクソン)






