以前仕事で会った男性の上司で、

自分のチームにどうしてもこの人だけは入れなくては、と、

かなり人事と交渉に交渉を重ねて

オーストラリア人の女性スタッフを引っ張ってきた人がいた。

どうしてそこまでするのだろうと思ったのだけれど、

そのうちその人が来ると、

「彼のためなら火の中にでも入るわ!」と言う。

仕事の合間にも

上司が「ちょっとお茶飲みに行こう。」と彼女を誘えば

どんなに集中していても、

「はい、行きましょう。」と笑顔で2人で出かけて行った。

上司付きのアシスタントだった私は、

きっと2人は結婚していないけれど

人生のパートナー、というような関係なんだろうと思っていた。

 

この人、

仕事の最後、大きな締め切りに追われながら

私を含む執筆チームが書いた文章を

見直して簡潔に、分かりやすく、インパクトのある文章に

推敲していく過程で、

ものすごい力を発揮した。

洗練された英語が書けると雇われたチームの文章を、

上司が「半分の長さにして」と言えば

「こんなのはどうでしょう。」と

まったくさらさらと、確実にインパクトの大きい文に

書き換えて行った。

報告書を書く過程で、また、報告書を読んで、

その文章がまさに芸術だ、と思ったのは、

彼女のが初めてだ!

 

上司が無理をして引っ張ってきただけのことはあって、

さすがだな~、と思った。

あとで聞けば、

以前に仕事で一緒だった際に、

わりと下っ端で働いていた彼女の才能を認めて

ぐーん、と引っ張り上げたのが

この上司だったのだそうだ。

(その後、この上司は私をも引っ張り上げてくれました。)

そういう信頼関係から、

火の中にでも、という言い方をしたのだな、と思った。

 

あれから10年ほど。

私にも、この人から何かを頼まれたら、

他のことがどれだけ忙しくても、

無理をして徹夜の仕事になっても、

精一杯早く、しかもクオリティの高い仕事をする、

と決めている人が何人かできた。

上で出てきた上司と同じように引っ張り上げてくれた方々や、

お世話になっている方々であり、

いつでも何かあったらあの人に頼めば間違いない、と

信頼をおいてくださっているありがたい存在であるとともに、

その方々にとってみれば、

困ったときは「ちょっと助けて」と言える場所を

確保できたということだ。

 

ある意味、もちつもたれつ、でもあります。

 

各仕事においては、私にも右腕君や右腕さんたちがいたけれど、

現在の職場ではまだいない。

早くそういう人たちを見つけたいな。

 

どうしてこんなことを突然思ったかと言うと、

この上司のような方から

「ちょって手伝って」メールを今いただいたからです。

忙しくなりそうですが、頑張ろうー。