< 登場人物 >
村上沙代 ・・・ 25歳 主婦 小柄 美容師の資格持つ
村上康太 ・・・ 27歳 四国K県出身 人気美容師
村上海晴 ・・・ 2歳5ヶ月 お喋り好き
佐伯医師 ・・・ 3年前 沙代がお世話になる
< いままでのストーリー >
「1」 「2」 「3」 「4」 「5」 「6」 「7」 「8」 「9」 「10」
「11」 「12」 「13」 「14」 「15」 「16」 「17」 「18」 「19」 「20」
「21」 「22」 「23」 「24」 「25」 「26」 「27」 「28」 「29」 「30」
「31」 「32」 「33」 「34」 「35」 「36」 「37」 「38」
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「 その計画っていうのは・・・。 」
康太は降参したかのように話し始めた。
「 海晴が来年の1月で3歳の誕生日を迎えるだろ。
そしたら約束通り、沙代は美容師として社会復帰をする。
その復帰に合わせて、オレ・・・独立しようと思ってた。 」
「 えぇぇ? 」
一瞬、心が躍った沙代だったが、うな垂れる康太に尋常ではないものを感じ取ると、
「 どうしたの?
康太。 」
「 ・・・それが・・なかなか事が上手く運ばなくって・・・。
日を追う毎に、オレ、イライラして、
そんな訳で、今朝、些細なことで、沙代に当ってしまったんだ。 」
「 そうだったんだね。
ありがとう、康太。
康太の気持ち、すごく嬉しいよ。
でも事が上手く運ばなかったのは、
まだ独立をする時期じゃなかっただけ・・・。
私たちは、まだ若いんだよ!
諦めなければ、そういう時期は、また巡ってくる。
それに今回、上手くいかなかった経験は無駄じゃない。
きっと次回、巡ってくる時期のための糧になる。
だから康太、元気出して!
康太は出来る人・・・これでも私、頼りにしているんだから! 」
「 沙代に、そう言ってもらって、よかった。
オレも、今じゃなくってもいいと思い直したばかりだったんだ。
そういう適した時期というものはあるよな。 」
「 ・・・そうだね。
私の復帰も先延ばしになっちゃったし! 」
「 えぇっ?!
もしかして、わかってたのか? 」
「 ・・・うん。
黙っていて、ごめんね。
佐伯先生の名前も出ていたし、康太も、もう知っているんだよね。
でも私も、自分の口から、直接、康太に伝えるつもりだったんだよ。 」
「 そうか・・・。
さっきオレ、佐伯先生から電話が入ったと言っただろう。 」
「 うん。 」
「 その時、検査をしてもいいか・・と聞かれたんだ。
沙代は貧血で倒れたままだったから、オレの承諾を求められた。
それで病院に到着して、佐伯先生から、検査の結果を聞いて、
オレ・・・一人の普通の男として、純粋に嬉しかった。
もう一人、新しい家族が増えることが・・・。 」
「 ・・・康太・・・。 」
「 3年前、海晴を妊娠した時にも、佐伯先生にはお世話になっただろう。
妊娠すると貧血になりやすいというらしいけど、
沙代は元々極度な貧血症を持っている。
海晴がお腹の中にいるとわかったばかりの時にも、
仕事中に倒れたことがあった。
だから食事療法や処方してもらった薬の投与はもちろんのこと、
検診の度に、マメに血液検査をしていたよな。
沙代の体質上、どうしても早産は間逃れない現状ではあったが、
佐伯先生の献身的なケアーのお陰で、最悪な事態は回避できて、
海晴も無事に生まれた。
今回、検査を・・・お腹のエコーだったらしいが・・・しようとなった経緯は、
小児科の先生が、3年前の沙代の掛かった産科のカルテを見つけて、
元々持つ極度の貧血症に、妊娠が重なっているんじゃないかと推測して、
念のために、産科の佐伯先生に相談した上でのことだったらしい。 」
「 そうだったんだね。 」
「 沙代の妊娠・・・2人目ができたこと、オレは嬉しかったけど、
ただ・・沙代の復帰が遅れてしまう事は、心が痛んだ。 」
「 いいの・・・私の復帰は、まだ先でも・・・。
私、今、心から、それでいいって思ってる。
でも実は私、それまで迷っていたの。
この子を産もうか、どうか・・・。
私って、母親失格だった。 」
沙代は薄い掛け布団の上から、自分のお腹に優しく手を当てると、
「 妊娠に気付いたのは4日前。
なんだか、ここんところ熱っぽいし、体調がおかしいと感じていたの。
ストックしてあった妊娠検査薬で調べたら、やっぱり陽性だった。
本来は嬉しいサプライスなはずなのに、私は自分の復帰と、
この子を天秤に掛けて迷ってた。
カウントダウンしていた海晴の3歳の誕生日が、
もうすぐ半年を切ろうとしているし、
どうして、こんな時に妊娠なんて・・・って、私は自分のことを不運だって思った。
いっそのこと、康太に内緒で中絶しようとも・・・でも出来なかった。
せっかく生を受けた私と康太の子だもの。
私の勝手で、生を絶つことなんで出来ない。
中絶だなんて、そんなことを一瞬でも考えた私は最低だった。
どうして幸せが舞い込んできたと、
率直に前向きに捉えることが出来なかったんだろうって思う。 」
「 ・・・沙代・・・そんなこと言うなよ。
沙代は迷ってた。
なぜなら沙代にとって、復帰も、妊娠も、
どちらも大切だってことなんじゃないか。
だからオレ、なんだか安心した。
沙代が迷わず、真っ先に復帰を決断するような女じゃなくって、
よかったと思ったよ。 」
「 康太・・・やっぱり康太でよかった。 」
「 沙代? 」
「 私・・・貧血で倒れてから、夢のようなものを見ていた。
夢のようなもの・・だなんて、おかしな表現なんだけど、
まずスクリーンが目の前に出てきてね。
高校3年生の頃の私が、リアルに映像で再現されて、
私は、別の第三者として、それを観ているの。
それでね。
映像には、私の他にクラスメートや友達などなどが出てくるんだけど、
その中の一人である同級生の子と共に過ごした時間が、私に教えてくれたの。
どんな状況であっても、自分らしく生きることを・・・。
今朝も喧嘩した時に、康太に言われたよね。
”オレたち、夫婦だろう?
沙代はオレに気を遣い過ぎだ。
いつも無理をし過ぎなんだよ。
お前は喜びや楽しみを、オレに分けてくれることはあっても、
辛さや苦しみは分けてはくれないのか?
家の中では、もっと肩の力を抜けよ!” って・・・。
私・・・康太にとって、いい妻を、海晴にとって、いい母親にならなければって、
気を張り過ぎていたんだね。
いつの間に ”自分らしさ” を殺して、過ごしてた。
これからは康太の好意に甘えて、無理そうなことは助けてもらう。
康太の仕事が休みの時には、時々、海晴をみてもらって、
好きな場所に出掛けて、気分転換もする。
本当は、一人で出掛けてみたいって思うこともあったの。 」
沙代は屈託のない表情で笑うと、
「 それに海晴の子育ても楽しむようにやりたい。
近所の先輩ママも言っていたの。
”子供なんて、すぐ大きくなって、親元を離れてしまうもの”
”子供が小さい期間って短いからこそ、貴重な期間なんだよ” って・・・。
だから、その貴重な期間を辛い、辛いと言って過ごすよりも、楽しく過ごしたい。
だから、まず私が変わらなくっちゃ!
直にもう一人、生まれてくるし・・・。
どんなことも気持ちの持ちようなんだって思ったの。 」
「 そうだな・・・沙代。
オレ・・・なんだか嬉しい・・・。
あっ・・・ところで・・・高校3年生の時に共に時間を過ごした同級生って、
もしかして・・・男?
・・・元カレ? 」
妙にソワソワする康太に、沙代は悪戯っぽく微笑むと、
「 康太、ヤキモチ妬いてくれてるの?
その同級生っていうのはね・・・今は・・やめておく。
そのことも含めた夢の話しは、家に帰って、海晴が寝てから話すね! 」
「 沙代、勿体ぶるなってば!
余計に気になるだろう? 」
「 大丈夫・・・私には康太が一番なんだから。
私の夫が康太でよかった。 」
「 沙代・・・なんか・・・オレ、すごくドキドキしてる。
恋愛してた頃に戻ったみたい。
場所が場所だけど、誰もいないし・・・キスしたい。 」
「 うん・・・。 」
ところが沙代と康太の顔が至近距離くらいになった途端、
引戸をノックする音が聞こえ、康太は思わず、バツが悪そうに離れたのだった。
開いた引戸の向こうには、佐伯医師、そして彼に手を繋がれた海晴が立っていた。
「 ママ~!! 」
海晴は叫びながら、沙代のベッドに駆け寄った。
「 海晴!!
一人にしちゃって、ごめんね。
でも海晴は、よく頑張ったね!
海晴には心配掛けちゃったけど、もうママ、大丈夫だからね! 」
「 うん!
ママ、大好き!
ミハル、いい子になる。 」
「 海晴・・・。 」
沙代は胸が熱くなるのを感じながら思った。
どんな海晴だって、愛おしいことに変わりがないと・・・。
「 海晴・・・ママのお腹の中には赤ちゃんがいるの。 」
「 ふぅ~~ん。 」
「 海晴の弟か、妹になるんだよ。
生まれたら、仲良くしてあげてね! 」
「 うん!
ミハル、男の赤ちゃんがいい!
ケイちゃんと同じがい~い!! 」
海晴は父親似の円らな瞳を可愛らしくクルクルと動かしながら、
公園で仲良くなった同い年のお友達の、
弟である赤ちゃんを思い浮かべ、はしゃいだ。
「 生まれてからのお楽しみだね。 」
「 うん、お楽しみ~お楽しみ~! 」
「 あっ・・・そうだ!
今日は約束通り、海晴の大好きなハンバーグ作らなきゃね。 」
「 じゃあパパも手伝う。
海晴も一緒にハンバーグ作るか? 」
「 やるっっっ!
パパとお手伝い~お手伝い~!!
ミハル、クマさんのハンバーグやる! 」
そこに笑顔の佐伯医師が近付いてきた。
「 村上さん、顔色、良くなったね!
今日は帰っても大丈夫だけど、無理をしないようにね。 」
「 佐伯先生、お久しぶりです。
海晴の時には、お世話になりました。
今日もありがとうございます。 」
沙代の挨拶に、30代後半の男性医師、佐伯も笑顔で会釈すると、
「 海晴ちゃん、大きくなったなぁ。
自分が取り上げた子の成長を見るのって嬉しいよ。 」
「 先生のお陰です。
佐伯先生、今回もまた、よろしくお願いします。
私、元気な子を産めるように、頑張りますから! 」
「 ミハルも頑張る!! 」
そこで、ドッと笑い声があがった。
満面の笑顔の沙代、康太、海晴の周りには、
既に、ほっこりとした幸せのオーラが漂っていた。
エピローグにつづく ![]()
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< つぶやき > 9月15日記述
「 ノスタルジア~追憶~ 」 の本編が終りました \(^_^)/
読者さんが気になっていた、沙代が倒れた原因は、
妊娠に伴う貧血でしたね ( ´艸`) フッ ![]()
どんな病気だろうって悩み考えてくれたり、
最後まで沙代のことを心配してもらって、とても嬉しかったです (‐^▽^‐)
幸せは自分のすぐ目の前にあることに気付いた沙代。
子供の頃に読んだ 「 青い鳥 」 を思い出しました。
さて、次回はエピローグになりますが、実はまだ書いていません (;´▽`A``
エピローグは、こんなシーンで、こんなことを書こうとか、
ほぼ頭の中で出来上がってはいるんですけどね ![]()
まだ文章にする余裕がなくって、
頭の中のことを、今、自分だけで楽しんでいるとこです (≧▽≦) ![]()
変な妄想じゃないですよ
![]()
そんな訳で、申し訳ないのですが、二週間ばかり、時間をください![]()
なるべく二週間以内には書き上げて、更新したいと思っているので、
申し訳ないのですが、よろしくお願いします。
あっ・・・エピローグには、もちろん25歳の森田柊也も出てきます ( ̄▽+ ̄*)
このような拙い小説でありながらも、
これまで読んでくださった読者さん達には感謝する気持ちばかりです。
ありがとうございました m(_ _ )m
TSUBASA