< 登場人物 >
根本沙代 ・・・ Y高校3年生
森田柊也 ・・・ 沙代の元カレ
佐々木修平 ・・・ 柊也とは長年の腐れ縁の仲
< 今までのストーリー >
「1」 「2」 「3」 「4」 「5」 「6」 「7」 「8」 「9」 「10」
「11」 「12」 「13」 「14」 「15」 「16」 「17」 「18」 「19」 「20」
「21」 「22」 「23」 「24」 「25」 「26」 「27」 「28」 「29」 「30」
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柊也とは付き合いの長い修平から聞かされる ”柊也の過去” は、
沙代にとって、あまりにも切な過ぎて、胸がいっぱいでならなかった。
だが彼の話しは、まだ終っていない。
修平が口を開くのを待っていると、やっとのこと彼は話し始めたが、
沙代にとって、それは衝撃的過ぎた。
「 柊也は・・・実は私生児なんだ・・・。 」
「 えぇぇっ・・そんな・・・?! 」
驚きを隠せないままな沙代に、修平は、その訳を話し始めた。
「 小学3年生の時、ちょうど公園で柊也と2人っきりになったんだ。
そしたらアイツ、マジな顔して、オレに、こんなこと聞いてきた。
”修平は、不倫っていう言葉の意味を知ってるか?”
もちろんオレ、意味なんて、よく知らなかったよ。
突然のことで、オレが訳わかんなくなってると、更に柊也は、
”オレ、不倫を国語辞典で調べてみたんだ” って言った。
最初は知ったかぶって、オレに自慢してんのかなって思ったけど、
あんまりにも柊也が真剣だって、わかったから、
オレも只事じゃないって思えてきて・・・。
どうして突然、柊也が、そんなことを言い出したかというと、
その頃、アイツのオフクロの法事があったんだけど、
法事の後の食事の時に親戚の連中が、
”響子ちゃんみたいな子が、不倫をしていたなんて不潔過ぎる”
”柊也は不倫で生まれた子、可哀相に”
などとコソコソ話していたのが、柊也の耳に入ったらしくって、
訳がわからずに聞き返すと、親戚の連中は気まずそうに口をつぐんだらしい・・・。
たぶん柊也が傍にいたなんて思いもしなかったんだろうな。
アイツも、その空気に尋常ではないものを感じたと思う。
泣きながらオレに言ったんだ・・・柊也のヤツ・・・。
”オレの母ちゃんは不倫ってものをしていたんだってさ。
母ちゃんは他の女の人と結婚している男の人を好きになって、
生まれたオレって、可哀相なのか?
不倫した母ちゃんは汚いのか?”
その時、オレにも不倫の意味とやらが、大体わかったような気がした。
その上、柊也の辛い思いまで伝わってきて、一緒に泣いてしまった。
あの日はオレにも忘れられない日になっちゃったよ。 」
大人たちの無責任な心無い言葉の刃(やいば)に、
小学3年生の頃の純な柊也の心が、どんなに傷付いたかと想像すると、
沙代の目頭も熱くなり、胸が苦しくなった。
何も言葉が出ず、彼女が押し黙ると、更に修平は続けた。
「 オフクロが不倫して、自分が生まれただなんて、
小学3年生だった柊也には、どんなにショックだっただろうって思う。
それに無責任な大人の言葉によって、大切なオフクロを汚されてしまったんだ。
けど・・・アイツ・・・。
オフクロのことを、絶対に悪くは言わなかった・・・一度だって・・・。
あの日以来、柊也は、よくオフクロの話しをするようになった。
今、思うと、4歳でオフクロとは死に別れているから、
記憶も薄れていて、思い出なんて小さなカケラでしかないはずなのに、
アイツ、その思い出のカケラを、自分の頭の中で懸命に掻き集めて、
”楽しい思い出” にしていたんだって思う。
オレは、その柊也のする ”楽しい思い出” にマジで耳を傾けた。
きっと柊也のヤツ、自分のオフクロのことを、
汚れたままにしたくはなかったんだろうなって思いながら・・・。
アイツにとってのオフクロは、何の汚れのない美しいままなんだ。
オフクロとの ”楽しい思い出” や ”理想” を口に出して、話すことで、
常にアイツの中で、オフクロは綺麗に浄化されていたんだって思う。
もちろん、そういう話しを、誰にでも構わず、柊也は話していた訳じゃない。
心を開ける相手にだからこそ、話せたんじゃないかな?
・・・オレや、沙代ちゃんだからこそ・・・。 」
修平の話しに対し、沙代の心に、雪崩のように悲しみが押寄せたと、
同時に或る記憶が甦った。
ーー私に告った日、柊也は自分には ”抱えていること” があると言ってた。
その ”抱えていること” って、両親のこと、自分の出生のことだったんだね?
「 ・・・・・・・修平くん・・の・・・言ってること・・わかった・・・。
私・・・何も・・知らない・・クセして・・・柊也のこと・・・責めてしまった。
私・・私・・・は・・なんて・・酷いこと・・を・・言ってしまった・・んだろう。 」
沙代の目から、どんどん涙が溢れて、止まらなくなっていた。
「 沙代ちゃん・・・。
仕方ないさ、沙代ちゃんは何も知らなかったんだから・・・。
誰だって、事情を知らなかったら、柊也のことをおかしなヤツだって思うさ。
オフクロに執着し過ぎだって、気味悪がられてしまうのも当然だ。
沙代ちゃん、自分を責めるな!
柊也だって、そんな沙代ちゃんを望んではいない。 」
沙代の脳裏に、柊也の言った言葉が甦った。
”いつまでも気にしてることないぜ”
”オレ、それが一番、心配なんだ” 。
修平から差し出されたハンカチで、沙代は涙を拭くと、
「 ごめんね・・・私・・人前では・・あまり・・・泣いたこと・・ないのに・・・。
恥ずかしい。
修平くん・・・・続きを話して。
私、最後・・まで・・・話し・・を・・・聞くから・・・。 」
「 ・・・うん、わかったよ。
けど・・ハンカチ渡しておきながら、こんなこと言うのも何だけど、
その前に、思い存分に泣いたらいいさ。
沙代ちゃんは、今まで、ずっと泣くことを我慢してきたのか?
泣くことは恥ずかしいことなんかじゃない。
涙が心に刺さった刺を流し落としてくれる。
結構、スッキリするんだぜ。
あっ、オレ、今、似合わないこと言っちゃった?
気の済むまで泣いて、沙代ちゃんが落ち着いたら話すよ。 」
「 ・・・修平くん・・・ありがとう。 」
修平は優しい目をして頷いた。
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< つぶやき > 8月27日記述
自分の母親が不倫をしていた、不潔だと言われたこと ・・・。
誰よりも、母親のことを大切に思う柊也にとっては、
とてもショッキングなことだったようです (´□`。)
だから柊也には母親のことを、
もう汚されたくはない、汚されたままでいたくないという気持ちが強く働き、
母親との思い出や理想を話すことによって、
汚れのない人だということを肯定したかったのでしょうね (_ _。)
逆に父親に対しての思いは、どうだったのでしょう![]()
次回も、お楽しみに![]()
追伸 ・・・・・・・・・・・。
涼しくなった今頃、遅いかも・・・ですが、
「 貞子ーヒー 」 です (;´▽`A``
右下の貞子さんのイラストが、なんとも言えません![]()
涼しくなるのを通り越して、寒くなりませんでしたか![]()
味は、普通のコーヒー飲料と変わりませんでした 
TSUBASA
