< 登場人物 >

指輪 根本沙代 ・・・ Y高校3年生 夢は美容師


宝石緑 砂川寛太 ・・・ 沙代の2年生の時のクラスメートで好きな人


< 今までのストーリー >

「1」  「2」  「3」  「4」  「5」  「6」  「7」  「8」  「9」  「10」


「11」  「12」


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~~~村上沙代・25歳、回想~~~

海辺を眺め、沙代は3ヶ月前を思い起こした。

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~~~根本沙代・17歳、回想~~~

3ヶ月前、2月14日、バレンタインデーの放課後。

私と砂川くんは、体育館裏の外庭にいた。

そこは体育館の影になっているせいか暗く、

枯れて伸びきった雑草が嫌でも視野に入ってしまう。

おまけに近くには、如何に誰にも使用されていないような、

古ぼけたトイレが設置されている殺風景な構図。

告白するには、あんまりにもロマンがない場所だとは思ったけど、

私は校内の穴場である、ここを告る場所に選んだ。

バレンタインデーである、この日の放課後の私の誘いを、

砂川くんが受けてくれたことが、とても嬉しかった。

バレンタインデーの放課後の誘いといえば、誰だって察しがつくものでしょ?

これは脈があるんじゃないかって、私は心の中で一人、舞い上がっていた。

「 砂川くん!

  来てくれて、ありがとう。

  こんなとこに呼び出して、ごめんね。 」

砂川くんは無言のまま、私を見つめる。

ーーわぁ・・やだっ・・・すごく緊張する・・・。

   でも、この日がチャンスなんだもん。

   今日の私の髪型だって、特別バージョンだし・・・。

私は今朝、ヘアーアイロンで、ゆるいソバージュにした髪に指を触れた。

心臓は壊れそうなほどに、高鳴っていて、顔も熱い。

私は深呼吸をすると、思い切ったように、

「 私・・・砂川くんと同じクラスになったことや、

  隣の席になれたこと、超ラッキーだった。

  砂川くんのことを少しずつ知っていくことが嬉しかった。

  一緒にお喋りしていると、すごく楽しくって!!

  だから・・・その・・・・・これからも・・・・。

  もっと砂川くんのことが知りたいし、砂川くんにも私のことを知ってほしい。

  私・・・砂川くんのことが好き・・・。

  砂川くんの気持ちも知りたいの。

  もしも・・・よかったら、私と付き合ってください! 」

声が妙にうわずり、震えているのが、自分でもわかったけど、

やっとのこと気持ちを打ち明けると、

私はキルティングの巾着袋の中から、

昨夜、亜紀ネェに教わりながら手作りしたチョコマフィン入りの、

青いリボンが付いた箱を差し出した。

バクバクしている心臓の音が、

砂川くんの耳にも届いているんじゃないかと想像すると、

恥ずかしくなった私の顔は、もっと熱くなった。

ーーあとは砂川くんの返事を待つだけ・・・。

砂川くんの返事を待つ数秒間の時間が、私には、とても長く感じられたけど、

今まで黙っていた砂川くんが、やっと初めて口を開いた。

「 お沙代ちゃん・・・気持ちは有難いんだけど・・・ごめん・・・。

  それ受け取ることできない。 」

「 えっ・・・。 」

「 今日、放課後、呼び出された時点で、ハッキリとわかった。

  お沙代ちゃんが、オレのことを好きだってこと・・・。

  だから、ちゃんと断るつもりで、ここに来た。

  ここなら誰の目にも触れることもなさそうだから、

  お沙代ちゃんも恥をかかなくっていいかなと思って・・・。

  ハッキリ言わせてもらうと・・オレ、

  今までお沙代ちゃんのことを恋愛対象として、見ていたことがなくって。

  ただオレと馬が合う女友達としての感覚だった。

  確かにお沙代ちゃんと喋ってると楽しかったよ。

  肩の力が抜けて、リラックスできた気分にもなれたけど、

  ただ・・・それだけ・・だった。 」

私の心に、砂川くんの言葉の一つ一つが刺さった。

ーー砂川くんにとって、私は、ただの女友達。

   恋愛対象として、見てくれてなかった。

砂川くんの気持ちが、ハッキリと、わかったはずだった。

ところが引き下がる気持ちにはなれず、私は無理矢理、笑顔を作ると、

「 ・・・そうだったんだ・・・。

  砂川くんの気持ち、わかった・・・。

  でも・・・でも・・・なら・・・今まで通り、友達としてでもいい・・・。

  これからも砂川くんとは楽しくやりたいの。

  だから私の気持ちだけは受け取って!!

  昨日、一生懸命に作ったの。

  砂川くんの大好きだっていうチョコマフィン・・・。 」

更にチョコマフィン入りの箱を差し出すと、

砂川くんは迷惑だという表情を顕にして、

「 せっかく作ってもらったのに、悪いんだけど・・・困るんだ・・・。

  そんなことされると・・・・・迷惑なんだ。

  オレ・・・実をいうと、カノジョできたばかりだし・・・。 」

ーー迷惑・・・カノジョ・・・迷惑・・・カノジョ・・・・・・・・。

”迷惑” ”カノジョ” という言葉が、私の頭の中で、嫌なほどに繰り返された。

「 砂川くんのカノジョって・・誰?

  私の知ってる子? 」

私は思わず、無意識に問いただしてしまった。

でも一つだけ、ハッキリしていることは、

砂川くんの ”カノジョ” とは・・・決して私ではない・・・ということ。

「 お沙代ちゃんには関係ないだろ?

  年下の子だよ・・・1年生の子。

  とにかくオレ・・・ ”他の女の子からチョコを貰ったら嫌” って、

  カノジョから言われてるんだ。 」

「 なら・・カノジョには内緒で受け取って!

  お願いだから・・・・・・お願い・・・・!!! 」

私も、どこか意地になっていたのかもしれない。

失敗を繰り返し、やっと成功した手作りのチョコマフィンだけは受け取ってほしくって、

砂川くんの胸に、強く箱を押し付けた。

「 ちょっと!!

  しつこいんだよ!!

  迷惑だって言ってるのが、わかんないのかよ!!

  オレ、しつこい女って嫌いなんだ!!

  お沙代ちゃんが、そんなわからずやだとは思わなかったよ。 」

無残にも砂川くんの手によって、払いのけられたチョコマフィン入りの箱は、

宙を飛び、私の足元に落ちた。

「 あぁぁぁぁっ・・・・。 」

「 ごめん・・・オレも、つい感情的になってしまって悪かった。

  けど今、カノジョのことが、とても大切なんだ。

  お沙代ちゃんの気持ちだけは受け取っておくよ。

  もうオレ、行く・・・。 」

砂川くんが背を向けて、行こうとした時、

何かがプツリと切れた音を感じたと同時に、私は叫んでいた。

「 待って!!

  砂川くんのこと・・こんなに・・・こんなに好きなのに・・・。

  私を見て・・・女の子として・・見て!! 」

最後の言葉は涙声になって、かすれた。

それでも砂川くんは振り向きもせず、去っていった。

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< つぶやき >


砂川に恋愛の対象として見ていないと、ハッキリ言われても、


彼のことが、すごく好きな沙代には、どうしても引き下がれない思いが、


強かったようです (T▽T;)


振り、振られ、もどかしさ、すれ違い、片思い、両思い ・・・。


そんなことを繰り返し、大人になっていくんでしょうね (#⌒∇⌒#)ゞ


TSUBASA