< 登場人物 >
根本(村上)沙代 ・・・ Y高校3年生 とても行動派
森田柊也 ・・・ 沙代のクラスメート 女の子にモテモテ
村上海晴(みはる) ・・・ 沙代の一人娘 2歳
< 今までのストーリー >
「1」 「2」 「3」 「4」 「5」 「6」 「7」 「8」 「9」 「10」
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「 ・・・ママァ・・・・・。 」
高校時代の思い出にふけっていた沙代は、その声に思わず身を固くした。
ーー海晴が目を覚ました?!
いつもは、もっと眠っているはずなのに・・・。
いつも海晴が昼寝をしている時間帯に、
夕食の下ごしらえやアイロン掛けなどの、ちょっとした家事を済ませることが、
沙代の日常の日課みたいになっているが、
今日は家事など、そっちのけになってしまい、何もせず、
ただボーッと、沙代は高校時代の思い出の中に身を投じていた。
昼寝の途中で、海晴が目を覚ましてしまうことは、珍しいことでもないが、
今の ”特別な時間” を壊されたくないという思いが、沙代には強かった。
ところが海晴の方に振り返った瞬間に、その不安は杞憂に変わり、
沙代は心から安堵の息を漏らし、微笑んだ。
「 なぁんだ・・・・・。 」
海晴が寝言を言い、寝返りを打ったがことがわかると、沙代はホッとし、
そっとタオルケットを掛け直した。
~~~村上沙代・25歳、回想~~~
「 あの日の放課後、オレは・・・。 」
柊也は、そう呟いた後、バツが悪そうに笑ってみせると、
「 ・・・逃げてたんだ・・・。 」
「 逃げてた?
逃げてたって、何から?
・・・・あっ・・そうか・・・。
女の子から逃げていたって言いたいんでしょ? 」
私の直感に、柊也は一瞬、驚き、頷くと、
「 オレ・・バレンタインのチョコレートとかいう類のものは、
好きな女の子からしか、受け取らない主義なんだ。
半端な気持ちで、受け取るのは、結果的に相手を傷付ける。
だから最初は、きちんと断ってたさ。
けど、いちいち断るのも、心苦しかったし、面倒になっちゃって。
どちらかというと甘いものが苦手という理由もあるんだけどさ。 」
「 そうだったんだ。
アンタ、結構、女の子たちにモテモテだもんね。
それなりな苦労だってあるよね。 」
「 わかってくれた? 」
「 うん・・・アンタが恋愛に対しては、意外と真面目で慎重だってことも・・・。
中にはノリで付き合っちゃう男の子だっているのに、
そんな子たちとは違うんだね・・アンタって・・・。 」
普段は軽い男の子なはずの柊也が、どうして恋愛に対してだけ、
真面目で慎重なのかが不思議だったが、
彼は、私が同感したことに、ちょっぴり照れ、嬉しそうな表情をすると、
「 そんで女の子たちを巻いたオレは、
体育館の裏の外庭にある、ほとんど誰にも使用されてなさげな、
トイレの個室に隠れて、時間が経つのを待ってた。
あそこ、意外と盲点だと思ってたから・・・。
ホントは帰りたかったんだけど、
校門の前でも、裏門でも、オレ狙いの女の子たちが張ってるって、
修平からメールで情報をもらってたし、学校からも出られなかった。
けどさ・・・あそこのトイレ、盲点とはいえ、暗いし、臭かった! 」
「 プッ・・・アハハハハハッ・・・。 」
なんだか柊也が滑稽に思えて、堪えられなくなり、私が笑い転げると、
「 おいっ!
笑うなよ。
あん時、オレ、マジで必死だったんだから。 」
「 ごめんね・・・フッ・・。 」
謝ってみたものの、箸が転がっても可笑しな年頃の影響もあるからなのか、
あとから、あとから、笑いが込み上げた。
「 けど、よかった・・・やっと腹の底から、笑ってくれたな。
お前は、いつも、そうでなくっちゃ。 」
「 ・・・・・・・・。 」
柊也の優しさが、身に染み、瞬く間に私の目頭は熱くなったけど、
それを気付かれたくないがばかりに、私は気丈に振舞うと、
気になることをぶつけてみた。
「 バレンタインデーの放課後にアンタは、
そのトイレから、私と砂川くんを見ていたんだね? 」
「 ・・・そうだ・・。 」
柊也はハッキリと答え、
「 オレがトイレの個室に閉じこもってから、大体の時間が経過した頃、
もういい加減に、オレ狙いの女子たちも諦めただろうと思い、
帰ろうかなと、個室から出ようとしたら、
外から男女の声が聞こえてきた。
あぁ・・なるほど、告白タイムかなって思ったさ。
だからノコノコ、外に出られなくなって、
チクショー、オレってタイミング悪りぃとか思いながら、
ジッと静かに身を寄せていたら、その男女に只事ではない空気を感じて、
なんだろう?と、オレは、そっと個室から出ると、
トイレの小窓から、様子を見てた。
あそこのトイレの小窓って、ガラスが無いから、
話しの内容まで、よく聞こえたんだ。 」
申し訳なさげに柊也は弁解した。
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< つぶやき >
柊也にも、それなりな苦労があるみたいですね ( ´艸`)
普段は軽く不真面目な柊也ですが、
なぜなのか![]()
恋愛に対してだけは、慎重で真面目なのです。
それには深い理由があるのですが、終盤に書こうと思っています ( ´艸`)
次回は沙代が砂川に告るシーンです。
お楽しみに (‐^▽^‐)
TSUBASA