お花。 番外編・登場人物 お花。


花 山下礼司 ・・・・・・ 17歳 高校2年生

               父親のレンに心を開く


花 山下レン ・・・・・・ 礼司の父親

               男らしく優しく強い人でもある


花 中村千春 ・・・・・・ 礼司のカノジョ

               母子家庭で育つ



お花。 今まで の ストーリー お花。


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カレンダーでは11月に入っているというのに、

梓川を伝って吹いてくる風は、とても清々しかった。

小さかった頃の思い出話しを、いくつか懐かしそうに話した後、

礼司は、しばらく黙って周りの景色や空気を堪能していたが、

「 父さんと、この場所で話しがしたかったんだ。

  せっかくの休みだったのに誘っちゃって、悪かったかな。 」

そして・・・思い切って礼司は話し出した。

「 昨日、千春から、父さんのことを含めた全てのことを聞いたって、

  オレ、言ったよね。

  実はオレも春休みの3月30日に、K街にいたんだ。

  そこで偶然に若い女と腕を組んで歩く父さんを見た。

  あの時は、その若い女が千春だってことが、わからなかった。

  2人共、後ろ姿だったから・・・。

  でも父さんの横顔や、父さんの誕生日の時にプレゼントした若草色の

  カーディガンをハッキリと見た。

  だからオレ・・・父さんが不倫をしているんじゃないかって思って、

  あの時から、すごく父さんを憎んだ。

  それを知った時の、母さんや美生が悲しむ顔だって見たくなかったし、

  ずっとオレ・・・自分の胸の中に、それをしまいこんでた。

  でも・・・昨日、千春から話しを聞いて誤解だったってわかったよ。

  父さん・・・・今まで辛く当ってしまって、ごめんなさい。

  父さんをずっと疑って憎んでたオレって、すごくバカだったよ。

  嫌な思いを、沢山させちゃったね・・・。 」

礼司は深くうな垂れた。

「 そうだったのか・・・。

  でも・・もし父さんが、礼司の立場だったら、

  同じことをしていたかもしれないし、気にするな。

  礼司も、ずっと誰にも言えなかっただろうし、苦しかっただろう。

  ごめんな・・・疑われるようなことをしてしまって。 」

レンは礼司の苦しみを痛いほどに感じながら

「 あの子には少しでも前を向いて欲しかったんだ。

  父さんは ”もうあんなことはしません” と

  援助交際をやめることを真剣な目をして誓った、あの子を信じてる。

  誰にだって間違いはある。

  その間違いを、後々になってからも、

  ずっと責めたり、祭り上げたりして、汚点にすることよりも、

  あの子の人間性を父さんは信じた。

  もう礼司もわかっていると思うけど、あの子はすごく良いものを

  持っている子だろう?

  だからあの子が、礼司のことを好きだってわかった時、

  父さんは迷わずに、気持ちを伝えてみることを、あの子に勧めた。

  あの子から礼司を好きになった理由を聞いたのも、決め手の一つだった。

  あの子は礼司の外見だけではなく、

  礼司自身の中身を、ちゃんと見ている子だ。

  でもあの子だって、おまえに気持ちを伝えることを

  すごく迷っていたんだよ。

  それほどに、あの子は礼司のことを大切に思っていたんだ。 」

レンの話しを聞きながら、礼司は胸を痛めていた。

ーー千春って、そういうヤツなんだ。

   だからオレは、そんな千春のことが好き・・・。

「 オレ、正直に千春がエンコウしていたこと、すごくショックだった。

  アイツがオレの知らない別の人間に思えた。

  なんで千春が?・・・・って、何度も思ったよ。

  それに父さんと街を歩いてた ”若い女” が千春だって、わかった時、

  オレは千春が、父さんとエンコウをしていたとも疑って

  キツイ言い方をして責め立ててしまった・・・・。

  でも話しを聞いていく内に、それもオレの誤解だったってわかったし、

  千春に感情移入している自分がいた。

  そうしたら千春の寂しさや苦しさが、

  オレの意識の中に流れ込んできて・・・。

  いつの間にか千春を許していた。

  こんなことを父さんに言うのは、すごく照れくさいけど

  この場所にいるから、素直に言えるんだなって思える。

  千春が・・・・どんな千春だって・・・・オレにとって好きなことに変わりはない。

  すごく大切な存在だってことにも、改めて気付かされてた。

  大切だからこそ、丸ごと受け止めてやりたい・・・。

  エンコウをしていた千春も、もちろん千春自身ではあるけど

  そんなの・・ほんの一部に過ぎないし、それだけが千春の全てじゃない。

  でも、なぜか?そのほんの一部すら、

  オレには愛おしい・・これって変かな? 」

「 いや、変じゃない。 」

「 オレは千春の全てが好き。 」

レンは黙って頷いて

「 礼司・・・。

  父さんは、万が一 ”あの子の全て” が礼司に知れてしまったとしても、

  礼司なら、きっとあの子のことを受け入れるだろうって思ってた。

  父さんが ”気持ちを伝えてみたら” と、

  あの子に告白を勧めた大きな理由は、

  あの子なら、礼司を変えてくれるって思えたし、

  礼司なら、あの子を救えるって思えたからだ。

  それに・・・礼司があの子に夢中になる予感もあった。 」

「 父さんには、何でも見透かされているんだな。

  いつも仕事ばかりの印象を父さんに強く感じていたから、

  オレや美生のことなんて、たいして知らないだろうって思ってたんだ。

  あっ・・・ごめん・・・。

  でも、それは間違いだったって、わかったよ。

  やっぱり父さんって、改めてすごい人なんだって思う・・・。

  いつもオレや美生のことを、見守ってくれていたこと、

  信じてくれていたこと・・・・オレや美生は愛情を

  いっぱい貰っていたんだなって思う。

  オレ・・今まで、それに気付いてなかった・・・っていうか、

  感覚的に気付いてはいたのかもしれないけど、

  その安心感の中に、どっぷりと浸かっていて、生きているのが当たり前、

  こうやって何不自由なく生活しているのが当たり前みたいな感覚

  だったんだと思う・・・。

  父さんや母さんの思いを、考えようともしなかった。

  愛情って、目には見えないけど・・・見えないものだからこそ、

  最も大切な、最上級なものに値するんだなって・・・。

  お金や、どんな高価な物にも変えられない。

  オレね。

  どうして父さんに、ここに連れて来てもらったかっていうと・・・。 」

そこまで言うと、礼司は悪戯っぽく笑った。

「 千春から聞いたんだ。

  父さんと母さんの大恋愛の話し・・・。

  あっ・・・もう中学生の頃の子供だったオレとは違うよ。

  しっかりと事実を受け入れられた。

  オレ、そんな父さんと母さんの子供で良かったって、本当に思った。

  だから父さんや母さんみたいな大恋愛を千春としたくなった。

  それと・・・今日、ここで誓いたかったんだ。

  これからも千春のことを大切にするって・・・。

  オレ、将来の進路のことも真剣に考えていく。

  それで・・・・千春と、お互いに自分を高め合って

  今よりも、ずっとずっと大人になっても、

  お互いの気持ちが変わらなかったら、

  父さんが母さんにしたように、

  ここで千春にプロポーズをしたい。

  いいよね?・・・父さん・・・。 」

子供のように夢中になって話す礼司の思いを、レンはしっかりと受け止め

「 父さんも、そうなることを信じている・・・・礼司・・・。 」

レンと礼司は、改めて親子のつながりを、お互いに強く感じ合っていた。

「 本当に、ここに来て良かった。

  ありがとう、父さん。 」

「 父さんだって礼司と、こうやって話せたこと、嬉しかった。

  それと礼司も、この場所が好きだってことも・・・。 」

レンは微笑み、

「 さぁ、おばあちゃんのところに行こうか。

  母さんが今朝、こっちに父さんと礼司が行くことを、

  おばあちゃんに連絡してくれたんだ。

  今年の夏休みは、こっちに帰れなかったからなぁ。

  おばあちゃんも、きっと礼司に、ものすごく会いたいだろう。

  早く来ないかと、待っているはずだ。

  行こう!! 」

「 うん。 」

礼司は祖母である、咲子の明るい笑顔を思い浮かべた。

2人は ”あの場所” と称す安曇野の梓川の土手を後にした。





「 礼司・・・。

  しばらく見ない内に、すごく男らしくなったような気がする。

  そうやって、だんだんに大人になっていくんだね。

  礼司がお嫁さんをもらうまで、私も生きていなくっちゃね。 」

目を細めて感慨深げに、しんみりと言う祖母の咲子に

「 おばあちゃん、絶対に長生きしてよ。 」

礼司は微笑んだ。

「 さぁ、玄関先じゃ寒いだろうから、中に入って!

  レンさんも疲れたでしょ? 」

いつもの大らかで明るい咲子に戻っていた。

レンと礼司は、亡くなった咲子の夫である、昭彦の位牌に手を合わせ、

咲子に夕飯をもらって、お互いに積もる話しをし、

和やかな時間を過ごした。

そして帰る時間になり、

「 今日は、突然に来てしまって申し訳なかったけど、

  久々にいろんな話しが出来たし、

  夕飯までご馳走になって、すごく助かりました。

  これから特に寒さが厳しくなるけれど、

  お義母さんも風邪などひかないようにしてくださいね。 」

レンが挨拶をすると

「 ありがとう。

  今朝、ミオから電話で、2人がここに来ると聞いて驚いたけど、

  私は嬉しかったし・・・・いいのよ・・・レンさん。

  レンさんも、仕事が大変だろうけど、身体を壊さないようにしてね。

  それと・・時々ミオから電話でオノロケを聞かされるんだけど、

  いつもミオのことを大切にしてくれて、ありがとう・・・。 」

咲子は目を細めて微笑み、そう言った後、

「 礼司、今を大切に過ごしてね。

  貴重な時間を見逃がさないようにね。 」

「 うん、わかったよ。

  もう今までみたいに無駄には過ごさない・・・。

  一日、一日を大切に過ごす。 」

礼司は咲子の言葉を、しっかりと胸の中に焼き付けた。


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父親 の レン に 対し 自分 の お腹 の 中 の こと を


告げること が できた 礼司。


梓川 を 望む 景色 の ように 清々しかった と 思います。


レン と ミオ から の 愛情 を しっかり と 受け止め


大人へ と 着実 に 成長していっているよう です。


次回 は 自宅マンション に 帰ってきてから


夜中 の レン と ミオ の 会話 です。

( ありがと ムフフ を 期待している そこの あ・な・たえっ 違いますよにひひ 笑 )


今日 も ご愛読 ありがとう です m(_ _ )m


                              なんちゃって作家 Yu