お花。 番外編・登場人物 お花。


花 山下礼司 ・・・・・・ 千春の話しを聞いているうちに

               父親への誤解が解かれ

               素直な気持ちになっている


花 中村千春 ・・・・・・ レンに強く父親を感じる

               信頼する思いも強い


花 山下レン ・・・・・・・ 礼司の父親

               千春と、娘同然に向き合おうという思いを持つ



お花。 今まで の ストーリー お花。


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3月30日の朝、千春の家の近くの空き地に、レンが車で迎えに来て

千春は彼の車に乗った。

車の走行中、K街に到着するまでに、2人は ”父と娘の掟” を決めた。

(1) ”千春” ”お父さん” と、それぞれを呼び合うこと。

(2) お互いに遠慮をしないこと。

(3) 食事をしている時、美味しいと感じたら、分け合うこと。

(4) 腕を組んで歩くこと。

(5) ウィンドーショッピング中に

    お互いの似合いそうな洋服を選び合うこと。

(6) プリクラを一緒に撮ること。

(7) 娘は父の肩を揉んだり、叩いたりすること。

車の中で ”父と娘の掟” を提案する千春は、とても楽しそうだった。

それは、どれも千春が自分の父親に対して想像で描いていた夢だった。

K街に到着すると、たちまちレンと千春は ”父と娘” になった。 

「 お父さん!

  最初は、プリクラ撮りたい!

  もちろん、お父さんも一緒にだよ!

  ほら!恥ずかしがってる場合じゃないよ。 」

「 わかったよ。

  千春は強引だなぁ。

  そういうとこ母さんに似たんじゃないか? 」

「 違うもん。

  私の強引なとこは、お父さん似に決まってるでしょ。

  さっ!撮りに行くよ。 」

千春は、レンの手を引っ張って、プリクラの撮影幕の中に入り、

2人で一緒に撮影をした。

そしてプリクラが終わると、2人は街の中の、いろんな店舗を

腕を組んで歩いて回った。

ウインドーショッピングをしながら、

お互いの似合いそうな洋服を選んで、身体に合わせては笑い合い、

洋食屋でのランチでは、

「 お父さん!!

  私のムニエル、すごく美味しいよ。 」

「 へぇー。

  父さんにもくれよ。 」

そして千春の食べているムニエルを、

レンはフォークで突付き口に運ぶと、

「 結構、イケルなぁ。

  オレも、そっちにすればよかった。

  千春!父さんの照り焼きも食べてみろよ。 」

「 うーーん!美味しい!!

  私、今、成長期だし、いっぱい貰っちゃおう。 」

「 なんだって?

  おまえが太っても、父さんは責任をとらないからな。 」

「 いいもん!

  私、お嫁さんには行かないから。

  その方が、お父さんだって安心でしょ。 」

「 うーーーん。

  父親としては、それも微妙だけどな・・・。 」

2人の会話は、とても弾んでいた。

話題は千春の学校のこと、友達のこと、ちょっとした悩み、

お互いの趣味や食べ物の好み、映画やテレビドラマのこと・・・などなど

2人に会話が尽きることはなかった。

和やかなランチを済ませると、2人は腕を組んで、街の中を歩いた。

そして小さな雑貨屋さんを見つけた千春は

「 お父さん、この雑貨屋さんって、

  可愛いアイテムが揃っているんだよ。

  見てもいいでしょ? 」

「 あぁ、いいよ。 」

レンも、はしゃぐ千春を見て、心を弾ませながら、一緒に雑貨屋に入った。

「 アンティークっぽいものが、多いんだな。

  千春は、こんな感じなものが好きなのか? 」

「 うん! 」

「 父さんも、こんな雰囲気好きだ。 」

レンも興味深く、店の中を眺めていると、アクセサリーコーナーが

目に留まった。

「 千春・・・。

  2日遅れだけど、おまえに誕生日プレゼントをしようか? 」

「 えっ?そんなのいいよ!! 」

慌てて遠慮した千春に

「 遠慮はなしだって、千春は自分で言わなかったか? 」

レンに、そう言われ、千春は ”父と娘の掟” を思い出した。

「 うん・・・そうだったね。 」

恥らう千春の手を引いて、レンはアクセサリーコーナーの前に行き

所狭しとディスプレイされている、商品を眺めて

「 千春にはブレスレットなんか、いいんじゃないか?

  ここにある、クマやリボンが付いているものなんて

  千春に似合いそうな気がするんだけど・・・。

  どうだ? 」

「 わぁー、可愛い!!

  私、テディベアーが好きなの。

  嬉しい!!

  それにしても・・・お父さん・・クマだなんて!

  お父さんらしい言い方!!

  テディベアーって言うんだよ。 」

千春は可笑しそうに笑うと、

「 でもお父さんが選んだものなら、私、何でも嬉しい・・・。

  ねぇ、精算したら、早速、腕に付けてもいい? 」

「 あぁ、付けて見せてくれないか! 」

レジで精算をして、値札を取ってもらうと

千春は、ブレスレットをレンに付けてもらった。

「 うん。千春によく似合っているよ!! 」

「 お父さん!!ありがとう。

  このブレスレット、一生、大切にするね。 」

「 一生だなんて、大袈裟だな。 」

「 いいの! 」

千春とレンは照れながら笑い合った。





よっぽどレンと過ごした、あの日が楽しくってならなかったのか、

いつの間にか、大きな瞳を輝かせながら、千春は礼司に話していた。

「 あの日、親子として、レンさんと過ごした一日は、私の宝物になったし、

  本当の親子になったみたいだった・・・。

  レンさんと歩いているとね。

  周りの知らない女の子たちが羨ましそうな顔で、私を見るの。

  こんな素敵な人が私の ”お父さん” なんだって思ったら

  私、すごく有頂天な気分だった。 」

そこまで話した後、複雑な表情をする礼司に対して、

自分の不謹慎さを感じた千春は

「 ごめんなさい・・・。 」

「 いいんだ・・・。

  今まで千春には、自分のお父さんとの時間が少なかったんだから。

  気にしなくってもいい・・・。 」

礼司にも千春の気持ちが、わからないはずはなかった。

そんな礼司に千春も申し訳ない思いを抱きながらも、

「 雑貨屋さんで誕生日プレゼントを買ってもらった後、

  私とレンさんは、ペットショップで動物を見たり、

  バッティングセンターで遊んだりと、

  街の中を歩き回って楽しんだ。

  喫茶店に入って、ケーキと紅茶のセットを3人分頼んで、

  私と ”もう一人の千春さん” の誕生祝いをしてもらった。

  そこでレンさんは ”千春さん” との思い出話しを少ししてくれたんだけど、

  レンさん・・・聞いている私のことを気遣ってくれて、

  ”話しは、ここまででやめておくよ” と言ってくれたの。

  でも私は、レンさんに話しをしてもらいたかったし、

  ”千春さん” のことを話すことが、供養にもなるとも思って

  レンさんに話しを続けてほしいと言った。

  そしたら ”ありがとう” と、レンさんは嬉しそうにしていて、

  ”実は今日は話したい気分だったんだ” と言ったの。

  だから私はレンさんの話す ”千春さんとの思い出” に

  しばらく耳を傾けていた。

  さすがに、その時の私達は ”父と娘” ではなく、

  ”山下レン” と ”中村千春” に戻ってたけど、

  私は、それでも良かった・・・。

  それは ”千春さん” のことを話している時のレンさんの表情が、

  とても生き生きしてたから・・・。

  そんなレンさんを見たら、私、嬉しくって・・・。

  レンさんと喧嘩をしたまま ”千春さん” は亡くなってしまったけれど、

  ”千春さん” は、レンさんのことを、

  決して恨んでいる訳じゃないって感じられるの・・・・。

  だってレンさんは、春先の ”千春さん” の誕生日の時期になると、

  毎年 ”千春さん” を思い出してあげていたから・・・・。

  私・・・・きっと ”千春さん” も、それを嬉しく感じていると思ってる。 」

千春は優しい表情をして、遠くを見る目をし、しばらく沈黙した後、

「 その後、再び ”父と娘” になり、レストランに入って夕飯を食べてから、

  私はレンさんの車に乗って

  最後に一つだけやり残している ”父と娘の掟” のために

  夜の公園に寄り道したの。

  それは・・・レンさんに肩揉みと肩たたきをすること・・・。

  公園のベンチにレンさんを座らせて、肩揉みと肩たたきを終えると、

  レンさんと私は ”山下レン” ”中村千春” に戻って

  いろんな話しをした。 」

千春は感慨深く呟き、その続きを話し出した。


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千春 と レン の 一日 が 明かされましたね。


千春 が 決めた ”父と娘の掟” は


彼女自身 が 実 の 父親 と してみたかったことばかりでした。


ブレスレット は 誕生日プレゼント!!


自分 の 夢 を 叶えてくれた レン は


千春 に とって ”大切な人” であり ”信頼できる肉親”


そのものだった と 思います。


昔 の 恋人 ”千春さん” と 喧嘩 を したまま 死別してしまった レン。


”あの時 あーしなければ よかった こーしなければ よかった” という


後悔 が 大きかった と 思います。


でも レン が 時々でも 思い出してあげること


そして 千春 を 相手 に 彼女 との 思い出 を 言葉 に できたこと。


話している時 の レン の 生き生きした 表情 の 中 に


亡くなった ”千春さん” が レン の こと を 恨んでいない という


感情 が 重なっていて 欲しい と 願って 書いています。


次回 は 親子から ”中村千春” ”山下レン” に 戻った 2人 が


いろんな 話し を します。


それは 礼司 に とって ・・・・・・・・ はてなマークはてなマークはてなマーク


今日 も ご愛読 ありがとう ございました m(_ _ )m


                              なんちゃって作家 Yu