番外編・登場人物 ![]()
山下礼司 ・・・・・・ 千春の話しを聞いているうちに
父親への誤解が解かれ
素直な気持ちになっている
中村千春 ・・・・・・ レンに強く父親を感じる
信頼する思いも強い
山下レン ・・・・・・・ 礼司の父親
千春と、娘同然に向き合おうという思いを持つ
今まで の ストーリー ![]()
「1」 「2」 「3」 「4」 「5」 「6」 「7」 「8」 「9」 「10」
「11」 「12」 「13」 「14」 「15」 「16」 「17」 「18」 「19」 「20」
「21」 「22」 「23」 「24」 「25」 「26」 「27」 「28」 「29」 「30」
「31」 「32」 「33」 「34」 「35」 「36」 「37」 「38」 「39」 「40」
「41」 「42」 「43」 「44」 「45」 「46」 「47」 「48」 「49」 「50」
「51」 「52」 「53」 「54」 「55」 「56」 「57」 「58」 「59」 「60」
「61」 「62」 「63」 「64」 「65」 「66」 「67」 「68」 「69」 「70」
「71」 「72」 「73」 「74」 「75」 「76」 「77」 「78」 「79」 「80」
「81」 「82」 「83」 「84」 「85」 「86」 「87」 「88」 「89」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
~~~
3月30日の朝、千春の家の近くの空き地に、レンが車で迎えに来て
千春は彼の車に乗った。
車の走行中、K街に到着するまでに、2人は ”父と娘の掟” を決めた。
(1) ”千春” ”お父さん” と、それぞれを呼び合うこと。
(2) お互いに遠慮をしないこと。
(3) 食事をしている時、美味しいと感じたら、分け合うこと。
(4) 腕を組んで歩くこと。
(5) ウィンドーショッピング中に
お互いの似合いそうな洋服を選び合うこと。
(6) プリクラを一緒に撮ること。
(7) 娘は父の肩を揉んだり、叩いたりすること。
車の中で ”父と娘の掟” を提案する千春は、とても楽しそうだった。
それは、どれも千春が自分の父親に対して想像で描いていた夢だった。
K街に到着すると、たちまちレンと千春は ”父と娘” になった。
「 お父さん!
最初は、プリクラ撮りたい!
もちろん、お父さんも一緒にだよ!
ほら!恥ずかしがってる場合じゃないよ。 」
「 わかったよ。
千春は強引だなぁ。
そういうとこ母さんに似たんじゃないか? 」
「 違うもん。
私の強引なとこは、お父さん似に決まってるでしょ。
さっ!撮りに行くよ。 」
千春は、レンの手を引っ張って、プリクラの撮影幕の中に入り、
2人で一緒に撮影をした。
そしてプリクラが終わると、2人は街の中の、いろんな店舗を
腕を組んで歩いて回った。
ウインドーショッピングをしながら、
お互いの似合いそうな洋服を選んで、身体に合わせては笑い合い、
洋食屋でのランチでは、
「 お父さん!!
私のムニエル、すごく美味しいよ。 」
「 へぇー。
父さんにもくれよ。 」
そして千春の食べているムニエルを、
レンはフォークで突付き口に運ぶと、
「 結構、イケルなぁ。
オレも、そっちにすればよかった。
千春!父さんの照り焼きも食べてみろよ。 」
「 うーーん!美味しい!!
私、今、成長期だし、いっぱい貰っちゃおう。 」
「 なんだって?
おまえが太っても、父さんは責任をとらないからな。 」
「 いいもん!
私、お嫁さんには行かないから。
その方が、お父さんだって安心でしょ。 」
「 うーーーん。
父親としては、それも微妙だけどな・・・。 」
2人の会話は、とても弾んでいた。
話題は千春の学校のこと、友達のこと、ちょっとした悩み、
お互いの趣味や食べ物の好み、映画やテレビドラマのこと・・・などなど
2人に会話が尽きることはなかった。
和やかなランチを済ませると、2人は腕を組んで、街の中を歩いた。
そして小さな雑貨屋さんを見つけた千春は
「 お父さん、この雑貨屋さんって、
可愛いアイテムが揃っているんだよ。
見てもいいでしょ? 」
「 あぁ、いいよ。 」
レンも、はしゃぐ千春を見て、心を弾ませながら、一緒に雑貨屋に入った。
「 アンティークっぽいものが、多いんだな。
千春は、こんな感じなものが好きなのか? 」
「 うん! 」
「 父さんも、こんな雰囲気好きだ。 」
レンも興味深く、店の中を眺めていると、アクセサリーコーナーが
目に留まった。
「 千春・・・。
2日遅れだけど、おまえに誕生日プレゼントをしようか? 」
「 えっ?そんなのいいよ!! 」
慌てて遠慮した千春に
「 遠慮はなしだって、千春は自分で言わなかったか? 」
レンに、そう言われ、千春は ”父と娘の掟” を思い出した。
「 うん・・・そうだったね。 」
恥らう千春の手を引いて、レンはアクセサリーコーナーの前に行き
所狭しとディスプレイされている、商品を眺めて
「 千春にはブレスレットなんか、いいんじゃないか?
ここにある、クマやリボンが付いているものなんて
千春に似合いそうな気がするんだけど・・・。
どうだ? 」
「 わぁー、可愛い!!
私、テディベアーが好きなの。
嬉しい!!
それにしても・・・お父さん・・クマだなんて!
お父さんらしい言い方!!
テディベアーって言うんだよ。 」
千春は可笑しそうに笑うと、
「 でもお父さんが選んだものなら、私、何でも嬉しい・・・。
ねぇ、精算したら、早速、腕に付けてもいい? 」
「 あぁ、付けて見せてくれないか! 」
レジで精算をして、値札を取ってもらうと
千春は、ブレスレットをレンに付けてもらった。
「 うん。千春によく似合っているよ!! 」
「 お父さん!!ありがとう。
このブレスレット、一生、大切にするね。 」
「 一生だなんて、大袈裟だな。 」
「 いいの! 」
千春とレンは照れながら笑い合った。
よっぽどレンと過ごした、あの日が楽しくってならなかったのか、
いつの間にか、大きな瞳を輝かせながら、千春は礼司に話していた。
「 あの日、親子として、レンさんと過ごした一日は、私の宝物になったし、
本当の親子になったみたいだった・・・。
レンさんと歩いているとね。
周りの知らない女の子たちが羨ましそうな顔で、私を見るの。
こんな素敵な人が私の ”お父さん” なんだって思ったら
私、すごく有頂天な気分だった。 」
そこまで話した後、複雑な表情をする礼司に対して、
自分の不謹慎さを感じた千春は
「 ごめんなさい・・・。 」
「 いいんだ・・・。
今まで千春には、自分のお父さんとの時間が少なかったんだから。
気にしなくってもいい・・・。 」
礼司にも千春の気持ちが、わからないはずはなかった。
そんな礼司に千春も申し訳ない思いを抱きながらも、
「 雑貨屋さんで誕生日プレゼントを買ってもらった後、
私とレンさんは、ペットショップで動物を見たり、
バッティングセンターで遊んだりと、
街の中を歩き回って楽しんだ。
喫茶店に入って、ケーキと紅茶のセットを3人分頼んで、
私と ”もう一人の千春さん” の誕生祝いをしてもらった。
そこでレンさんは ”千春さん” との思い出話しを少ししてくれたんだけど、
レンさん・・・聞いている私のことを気遣ってくれて、
”話しは、ここまででやめておくよ” と言ってくれたの。
でも私は、レンさんに話しをしてもらいたかったし、
”千春さん” のことを話すことが、供養にもなるとも思って
レンさんに話しを続けてほしいと言った。
そしたら ”ありがとう” と、レンさんは嬉しそうにしていて、
”実は今日は話したい気分だったんだ” と言ったの。
だから私はレンさんの話す ”千春さんとの思い出” に
しばらく耳を傾けていた。
さすがに、その時の私達は ”父と娘” ではなく、
”山下レン” と ”中村千春” に戻ってたけど、
私は、それでも良かった・・・。
それは ”千春さん” のことを話している時のレンさんの表情が、
とても生き生きしてたから・・・。
そんなレンさんを見たら、私、嬉しくって・・・。
レンさんと喧嘩をしたまま ”千春さん” は亡くなってしまったけれど、
”千春さん” は、レンさんのことを、
決して恨んでいる訳じゃないって感じられるの・・・・。
だってレンさんは、春先の ”千春さん” の誕生日の時期になると、
毎年 ”千春さん” を思い出してあげていたから・・・・。
私・・・・きっと ”千春さん” も、それを嬉しく感じていると思ってる。 」
千春は優しい表情をして、遠くを見る目をし、しばらく沈黙した後、
「 その後、再び ”父と娘” になり、レストランに入って夕飯を食べてから、
私はレンさんの車に乗って
最後に一つだけやり残している ”父と娘の掟” のために
夜の公園に寄り道したの。
それは・・・レンさんに肩揉みと肩たたきをすること・・・。
公園のベンチにレンさんを座らせて、肩揉みと肩たたきを終えると、
レンさんと私は ”山下レン” ”中村千春” に戻って
いろんな話しをした。 」
千春は感慨深く呟き、その続きを話し出した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
千春 と レン の 一日 が 明かされましたね。
千春 が 決めた ”父と娘の掟” は
彼女自身 が 実 の 父親 と してみたかったことばかりでした。
ブレスレット は 誕生日プレゼント![]()
自分 の 夢 を 叶えてくれた レン は
千春 に とって ”大切な人” であり ”信頼できる肉親”
そのものだった と 思います。
昔 の 恋人 ”千春さん” と 喧嘩 を したまま 死別してしまった レン。
”あの時 あーしなければ よかった こーしなければ よかった” という
後悔 が 大きかった と 思います。
でも レン が 時々でも 思い出してあげること
そして 千春 を 相手 に 彼女 との 思い出 を 言葉 に できたこと。
話している時 の レン の 生き生きした 表情 の 中 に
亡くなった ”千春さん” が レン の こと を 恨んでいない という
感情 が 重なっていて 欲しい と 願って 書いています。
次回 は 親子から ”中村千春” ”山下レン” に 戻った 2人 が
いろんな 話し を します。
それは 礼司 に とって ・・・・・・・・ ![]()
![]()
![]()
今日 も ご愛読 ありがとう ございました m(_ _ )m
なんちゃって作家 Yu