お花。 番外編・登場人物 お花。


花 山下礼司 ・・・・・・ 高校2年生 17歳

               千春の告白を聞き、少しづつ心が解け始めている


花 中村千春 ・・・・・・ 礼司の同級生 16歳

               礼司のことが好きだけど

               礼司の父親であるレンのことも慕っている


花 山下レン ・・・・・・ 礼司の父親

               生まれた頃、父親は亡くなり

               5歳の頃、母親に捨てられ

               伯父の家庭で育った

               波乱な人生を送った



お花。 今まで の ストーリー お花。


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千春は礼司の様子が落ち着いてきたのを見て

ホッとしながら言った。

「 私、レンさんが30代前半ぐらいの年齢の人だって

  思い込んでいたから、高校生の子供がいるだなんて

  想像もしていなかった。

  それも、その子供が礼司くんだったなんて・・・。 」

「 父さんは、若作りだから

  確かに実際の年齢よりも、ずっと若く見えると思う。

  でも・・・オレの通っている高校の制服を、

  覚えていなかったこと、父さんらしいかもしれない。 」

礼司が千春を目の前にして、

初めて自分の父親を ”父さん” と呼び、少し寂しげに呟くと

「 うううん。

  礼司くんのお父さんは、そんな目と鼻の先のことよりも、

  礼司くんのことを、しっかり見ている人だよ。

  私はレンさんと、あの日、一緒に過ごしてみて

  それがよくわかった・・・。 」

千春は春休みの3月30日を振り返り

「 このことは礼司くんに、絶対に話さなければいけないね。

  どうして私とレンさんが、あの日・・・3月30日に

  一緒に街を歩いていたのか・・・。 」

千春はまた話しを続けた。





~~~そもそも千春とレンが、

3月30日を一緒に過ごすことになった、きっかけは・・・・。

「 今まで ”中村さん” って呼んでいたのに、

  改めて ”千春ちゃん” と呼ぶのも照れくさいものだな。

  実は昔・・・中学生時代に、付き合っていた女の子で

  ”千春” って名前の子がいたんだ。

  その頃、オレと彼女は、お互いに家庭に恵まれていなくって

  2人共、自暴自棄になっていた。

  そんな同じ匂いを感じていたせいなのか、

  いつの間に惹かれ合ってた・・・。

  お互いに背伸びして悪い事にも手を出したけど、

  彼女と一緒だと、家庭であった嫌なことも忘れていたし、

  彼女もオレと一緒にいると、同じ気持ちになれると言ってくれた。 」

「 その ”千春さん” は、今、どうしているんでしょうね。

  同じ名前なので、ちょっと気になります! 」

千春が何気なく、そう言うと、レンは悲しい表情をし、

「 もういない・・・。

  中学2年の夏、彼女は車にひき逃げされて、即死だった・・・。

  彼女は大量に飲酒もしていたそうだ。

  死の数時間前、オレは彼女と口喧嘩をし、

  つまんない意地を張って、彼女を見放した。

  あの日、口喧嘩なんてしなければ・・・。

  オレがつまんない意地を張らなければ・・・彼女は・・・・・。

  オレはショックが大きくて、そのあと、もっと荒れた・・・。 」

「 ごめんなさい・・・・私・・何も知らないクセして、

  無神経な言い方をしてしまって・・・。 」

千春が涙で目を潤ませて謝ると、

「 いいんだ。

  こっちこそ、こんな話しまでしてしまい、申し訳なかった。

  千春ちゃんを困惑させてしまったな。 」

レンは気持ちを切り替えるかのように微笑んだ後、

「 毎年、今の時期になると、彼女を思い出すんだ。

  彼女の誕生日が春先だった。

  正直に・・キミの名前が ”千春” だと聞いて、ちょっと動揺してた。

  同じ ”千春” という名前を持つ、キミの誕生日も

  春先なのかと思っただけだ。 」

「 そうだったんですか・・・・。

  私の誕生日もレンさんの言う通り春先です。

  3月28日で16歳になります。

  毎年、誕生日の昼間は親友と過ごして、お祝いしてもらって

  夜はお母さんが手作りのケーキを作ってくれていたり、

  弟が珍芸をして笑わせてくれたりするんですよ。

  だから何気に今度の誕生日も楽しみにしているんです!! 」

レンの信頼できる人柄や、

彼が礼司の父親だということを知ったこともあってか、

レンに対して充分に心を開き、

車の助手席で生き生きした表情をし、千春は話していた。

「 そうなのか。

  やっぱり誕生日が近いんだね。

  16歳か・・・。

  普段、コンビニではキミにお世話になっているし、

  何かプレゼントをあげようか? 」

優しく微笑むレンに、千春は戸惑った。

そして沈黙した末に、言葉を選びながら

「 なら・・・・図々しい頼み事になってしまうんですけど、

  私と一日、親子として過ごしてもらえませんか?

  エンコウのつもりは、全くありません。

  純粋に親子として、過ごして欲しいだけです。

  ただ、それだけでいいんです。

  でも・・・・レンさんがイヤなら、

  無理にお願いをするつもりはありません・・・。 」

千春の意外な言葉に、しばらく黙っていたレンは

「 もう援助交際をしないと、反省しているキミを信じる。

  一日、キミのお父さんになるよ。

  ただ・・・28日は親友や家族にお祝いしてもらうんだろ?

  じゃあ30日はどうだ?

  キミの行きたいところなら、どこでもいいよ。

  その時にキミの誕生日も祝おう!! 」

自分のことを信じると言ってくれた上に、

誕生日を祝ってくれるとまで言ってくれたレンに、千春は嬉しさを感じながら

「 はい、お願いします!!

  一緒なら、どこでもいいんです。

  贅沢は言いません。

  本当にありがとうございます。

  あっ・・・・その日は ”もう一人の千春さん” のお祝いもしませんか? 」

「 千春ちゃん・・・。 」

「 いいんですよ!!

  私・・・ ”千春さん” のお祝いもしたいんです。

  レンさんが私に ”千春さん” の話しをしてくれたのも、

  何かの縁だって思ってます。

  それに ”千春さん” は、レンさんの胸の中に、ちゃんといると思います。

  レンさんが時々思い出してあげているから・・・・。

  ・・・・あっ・・目上の人に・・・私ったら、生意気なことを言ってしまって・・

  ごめんなさい・・・・。

  私・・・・つい熱くなってしまうところが、悪いとこでもあるんです・・・。 」

真剣な表情で言う千春に、

「 千春ちゃん・・・ありがとう・・・。

  きっと彼女も喜んでくれるだろうな・・・。

  それに千春ちゃんの言う通りだ・・・彼女は、オレの胸の中にいる・・・。 」

感慨深い表情をした後、レンは微笑み、

「  さあ、約束も決まったし、もう車を走らせるよ。

  千春ちゃんの家を教えてくれるか?

  遅くなってしまったし、キミのお母さんだって心配しているはずだ。

  心配を掛けてしまったこと、ちゃんと謝るんだよ。 」

「 はい!! 」

約束が決まると、そのままレンは千春を車で家に送り届けた。





「 礼司くん・・・ごめんね。

  私の我が儘で、レンさんと30日に、K街に遊びに行く約束をしたの。

  もちろん、こんなことは一日だけということで・・・。

  そのことが今まで礼司くんを苦しめていた原因だったこと

  本当にごめんなさい。

  礼司くん・・・すごく苦しんだよね・・・・。

  でも・・・実のお父さんのように、

  私をまるごと受け止め、真剣に叱ってくれたり、

  心配をしてくれたレンさんと、純粋に親子として過ごしてみたかった。

  だから無理を承知でも、お願いしてしまった。 」

「 おまえの言っていること、わかった・・・。

  それに父さんの過去の話しまで、聞けたことは意外だった。

  父さんには、昔、大切な人を亡くした深い悲しみがあったんだな・・・。 」

礼司は、しばらく黙り込んだ後、  

「 ここまで話してくれたからには、

  3月30日のことも聞かせてくれないか? 

  オレ・・・千春と父さんが、どんな一日を過ごしたのか、知りたい。

  父さんにはヤキモチを妬いてしまうかもしれないけど・・・。 」

礼司は、千春の話すことを全部、受け入れるつもりになっていた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


3月 30日 に 千春 と レン が 街 を 一緒 に


歩いていた 理由 が わかりましたね。


それと レン の 昔 の 悲しい思い出 も ・・・・・。


レン が 中学生 の 頃 に 付き合っていた 女の子 の 名前 が


偶然 にも ”千春” だったことから


2人 の 間 に 強い絆 に 似たような もの が 芽生えたようです。


次回 は もちろん 千春 と レン の 親子 として の


一日 を 書いています。


今日 も ご愛読 ありがとう ございました m(_ _ )m


                              なんちゃって作家 Yu