コウスケさん達が帰った後、私が翌朝の分のお米を砥いでいると

彼が後ろから優しく抱き付いてきて

「 これからよろしく! 」 と、私の頭に自分の頬をくっつけた。

彼と一緒に暮らせる事は、もちろん嬉しい!

でも私の心は、ソワソワしていて、どこか落ち着かなかった。

そんな思いを彼には悟られないように

私も 「 よろしくね! 」 と微笑んでみせた。





彼女を背中から抱きしめながら、オレは2人で生活をしていく事に

夢を持った。

でも夢ばかりは見ていられない。

現実的にも彼女を幸せにしなければ・・・・・。

「 お風呂が沸いているから、レン、先に入って 」 と言う彼女に

「 はい!はい! 」 と、従って浴室に入ると、

まず脱衣場の洗面台の上には彼女が使っている洗面道具・・・。

そしてオレが普段使っているバス用品の隣に

彼女のバス用品が・・・・・・。

これらを見て、オレは彼女と2人で暮らす事を

改めて実感していた。





彼がお風呂に入っている間、私は小さなお膳テーブルを片付けて

2組の布団を敷いた。

並んだ布団を見ていると、これから彼と寝起きを共にするという

現実を感じた。





オレがお風呂から上がると、すぐに彼女が入りに行った。

部屋の中を見ると、彼女がやってくれたらしく

2組の布団が、もう敷かれてあった。

オレは手持ちぶたさもあり、テレビを点けた。

テレビでは、バラエティ番組がやっていたが

今のオレには上の空で、無駄に時間が流れた。

今まで彼女の事を大切に思い過ぎて、

ずっと心の奥に閉じ込めていた思い・・・・・・。

《 ミオを抱きたい・・・ 》 オレの中で溢れていた。

しばらくするとドライヤーの音が聞こえ

彼女が長い髪を乾かしているんだなぁと思った。





入浴後、ドライヤーで洗い髪を乾かした。

お肌の手入れもした。

そして歯を3回も磨いてしまい、無駄な時間稼ぎをしてしまった。

私は彼の前に出ることに、とても躊躇していた。

恋人同士なら、いずれは通る道なのかもしれない。

それをわかった上で同棲を承知したのに・・・。

もちろん私は彼の事が好き・・・・・。

好きなはずなのに・・・・・怖い・・・。

私の心はソワソワしていた。





ドライヤーの音が止んでも、彼女がなかなか出てこないのが

気になっていた。

覗きに行くのも、どうか?と思っていると、やっと姿を現した。

「 なかなか出てこないので、どうしたのかと思ってた 」

オレがテレビを消しながら、そう言うと

「 ごめんね 」 と、とても緊張した様子の彼女・・・・。

「 ミオ、ここ座って 」 と彼女を座らせた。





私が緊張していると察したのか?

彼に 「 ここ座って 」 と言われ

私は彼と向き合った。

「 ミオ、緊張しているね?

  これからオレの言うことを聞いて。

  こないだは言いそびれたけど

  オレが一緒に住もうって決めたのは

  ミオと一緒にいたいだけじゃない。

  傍にいてミオの事を守っていきたい・・・・・。

  同じものを見て、一緒に笑ったり、泣いたりもしたい。

  それに・・・・・オレ・・・・ミオの事を・・・もっと知りたい・・・・・。

  好きでたまらないんだ。

  ミオの事を大切にする!

  オレを信じて・・・ 」 と

真剣な目をした彼は、私の返事を待った。





これって彼女への2度目の告白?

オレは自分で話している事が、まるで告白になっていた事に気付いた。

言ってしまった後で、内心、恥ずかしくなっていると

彼女は最初、黙って固い表情をし、オレを見つめるだけだったが、

ゆっくりと話し出した。

「 私、レンと付き合う前、どうしてレンって、コウスケさん以外の人には

  あまり笑顔を見せないんだろうって思ってた。

  なんだか深い陰りがあるように思えて・・・。

  その時から私はレンに惹かれていたんだって思う。

  だからレンの笑った顔が見たくって、たまらなかったの。

  初めてレンが私に対して笑顔を見せてくれた時、

  私、すごく嬉しくって

  レンの笑顔が忘れられなくなって・・・・。

  もっとレンの笑顔を見てみたくなった。

  レンの笑顔は私の特効薬みたいなものなんだよ!

  私を守ってくれるのは、やっぱりレンしかいない。

  レンがいると、私は安心できる。

  優しさの中に、大きな強さを持っている、レンの事が好き・・・。

  だから・・・これからも守って!お願い!! 」 と懇願していた。

「 ミオ、ありがとう。

  オレの笑顔が多くなったのは、きっとミオのおかげだ・・・。

  これからもオレの事を笑顔にして 」

彼女と見つめ合うと同時に自然に唇が重なり

抱きしめ合っていた。

その時、湯上りの彼女に、ほのかな甘い香りを感じ

オレはもう我を忘れていた・・・・・。





彼の私への気持ちが、とても嬉しかった。

私は彼に愛されている、大切にされている・・・・。

そう実感すると安心できた。

そして私も彼を愛している、彼の事を大切にしたい。

私を見つめる彼の目が、とても愛おしい。

だから・・・もう怖くない・・・・・・。

彼にキスをされ、抱きしめられながら

ゆっくりと大切なものを扱うように、私は押し倒された。

先ほどまでの妙な緊張感が解けていったのと同時に

私は彼に自然に自分の身をゆだねていた。