(和)


軽井沢の別荘は俺と智の愛の巣になった。

 

不動産の名義書き換えから


今回の改修工事


そして引越しの荷物の受け取りまで

 

いろいろお世話になった藤枝が東京に戻り

 

俺はリモートで会社の会議にも


出席するようになった。

 

オンラインで上半身が映るから


きちんと見えるようにワイシャツにネクタイ。

 

システム開発部ってところにいて


様々な数式を駆使して会社のシステムを


整えている。

 

色んなデータを関数化してキーボードを叩き


グラフに表す。

 

・・・だけど・・・

 

声を我慢するのにも、限界がある。



 

和「少しの間、音声をオフにします。


皆さんも適宜ブレークしてください」



 

俺の下半身は、ここのところ


いつもこの美しい手が這い回っている。

 




・・・ぁん・・・ぁああん

 

パクっ

 



和「智。もう!待てないの?」

 



俺のを咥えたままの智が喋るから

 



智「うん。無理」

 

その振動がたまらない。

 

チェスの駒って♟♟なんかヤラシイ。

 


智「キング、クイーン、ビショップ


ナイトまで出来たよ」

 



智が作る美術品は、全て非売品だ。

 

だって俺の身体と連動しているからさ。

 

花の絵を描いても、チェスの駒を作っても

 

・・・というか。

 

俺を触りながら制作するんだ。

 

だからきっとそうなる。

 



和「智の身体と連動する駒も作れよ」

 

智「それが出来ないんだよなぁ」

 

和「チェスの駒をちゅちゅくっつけても


俺ばっか感じるの、ズルくない?」

 

智「いや、いいんだよ。


それを見て楽しむから。大人の嗜みだ」

 




すぐそうやって、俺の反応を楽しむんだ。

 

上目遣いに俺を射抜くように見て。

 

変態。

 




チェスが出来上がった後も。

 

この前、藤枝が爺さんを連れて来た。

 

智は爺さんとチェスをやり始めた。

 

爺さんには、市販の駒を使わせて


智の手作りのナイトはいつも智の手の中だ。

 

俺はピクピクし始めてモゾモゾ膝が動く。

 




智「和、寝室で待ってろ」

 

和「・・・分かった・・・爺ちゃん。


ごゆっくり」



 

智の手をそこに感じながら


我慢出来なくなって自分でも触ってみる。

 

・・・たまらない。


藤枝、爺さんを連れて


早く帰れよって恨めしく思う。

 

智め。


ナイトの頭ばかり攻めてくる。

 

あ、イク・・・と思ったら、緩めてくる。

 

変態。

 

爺ちゃんと藤枝が帰って


すぐに智に愛される俺。

 

だって、だって。

 

こんなにしたのは、智じゃん!!

 

智「だから責任とりに来た」

 

和「・・・っあん・・・ぁああん・・」

 

風呂場まで俺は抱っこされて


智は立派なものをさげたまま堂々と行く。

 

だって普段は二人きりだからね。

 

こんな感じが俺たちの日常。

 

智の作った俺の像は


一見して俺だと分からないように


手が加わった。

 

連れて行かれないように


守ってくれる目的で。

 

だから。

 

俺の真っ白な像は真っ黒に塗られた。

 

Black Venusだ。

 




爺さん「この像は白けりゃいいのになぁ。


どうして真っ黒にしたんだね。勿体ない」



 

俺と智は笑い合った。

 

黒く塗られた時のお話は、またいつかね。

 

くすぐったくて大変だったんだよ。

 

品川や軽井沢を通りかかったら

 

俺のこと、思い出してね。



あ。そうそう。


黒い玉は品川で活躍してるよ。


人の心に生まれる醜い気持ちを


因数分解して


そして一気に消していくんだ。


消す・・・っていうか


昇華していくんだ。


それは美術作品や小説、アニメ、映画


そういうのが生まれるのと


ちょっと似ているかもね。


数学が辛くなったら妖魔関数を思い出して。


やれば、終わるから。


そしていつまでもは続かない。


物語に終わりがあるように・・・


辛いことにも終わりがある。


終わらせることができるのは


自分だよ。





自分を律する力は自分の中にある。



(fin.)



ずっとやってばかりだったのに


たくさん読んでくださり有難うございました。