終わったこと。
過ぎたこと。
すんだこと。
そんな過去に縛られた思考に
憑りつかれて
愚かにも持ち出して
さらに傷を深めようとする。
わかっていても
わかっていても
何故そうしてしまうのだろう。
いつだったか
知りたくて知りたくてたまらなくなって
クマオに尋ねた。
これまで何度も「知りたい」のハードルを
理性で超えてきたはずなのに。
この日は超えられなかった。
いや、わざと超えなかった。
「あの時、
あの人とどこにごはんに
行ったの?」
「それ今さら聞く?」
「知りたい」
「知ってどうする?」
「どうもしない。
ただ知りたい。」
「・・・・」
「言いたくないなら別にええけど。」
嫌な追い詰め方をする。
「いや、言いたくないわけではないけど
もう終わったことやから。」
「終わったことなら
教えてくれてもええやん。」
「・・・わかった。
言うわ。
○○あたりの韓国料理の店。」
「韓国料理?」
それを聞いたら腹が立った。
正確には腹を立ててもいい
十分な理由を得たと思った。
だって私が韓国料理が食べたいと
リクエストしても、
いつもスルーばかりだったから。
確かあの人も韓国料理好きだったと
いう記憶がある。
あの人のためなら予約したんだという
被害者的な発想には持って来いの情報。
それだけじゃない。
あの人とUSJだって行く約束をしていた。
私が久々に行こうと言っても
気のない返事をしていたくせに。
これは怒ってもいい案件だ。
「りこがそこまで思うことじゃない」
クマオが慌ててそう言って
私の頭をぽんぽんした。
「そこまで思うかどうかは
私の心が決めること。
正反対の立場のクマオさんが
言うことじゃない。」
そんなこともわからないのかと
言ってみる。
ただの嫌がらせ。
「ごめん・・」
ぽんぽんの手が止まって
離れてやっとわかる。
あぁ、
何という愚かな自分よ。
私はちっとも変われておらず
ちっとも成長できていない。
だけど言ってみて
やっと解き放たれて
目が覚めたように冷静になる。
「ごめん、
いつかこういう自分から
脱却してみせるから。
あともうちょっと待ってほしい。」
「ええで。
何回でも。
いつまででも。」
この時ばかりはクマオの言葉に
救われる。
やっと光を取り戻した気になった。