彼女はクマオのことを

終始「あのコ」と言った。

 

 

そもそも二人は

「〇ぁ~」「〇ぃ~」と

「ちゃん」も「くん」も付けずに

互いの名前の一文字だけで呼び合っていた。

それを思うと「あのコ」も納得がいった。

 

何もかもが

私とは違う勝手ですすんでいた関係性

だったんだと思った。

 

 

彼女は彼女で

話も中盤になった頃やっぱり私に尋ねた。

気になっていたんだろう。

 

 

「クマオさん?って

 本人にも「さん」付けで呼んでるの?」

 

「はい。」

 

「へ~

 すごいね。」

 

 

すごいって何が?

何がどうすごいんだろう。

すごいの意味がわからない。

バカにしてるのだろうか。

いろいろ思ったが聞かなかった。

 

 

きっとこういう人は

何にでもどんな場合にでも

「可愛い」という言葉で片付けたり

「すごい」と言ったりする類の人

なんだと思うことにした。

そう思った瞬間、もうこの人と

深く話すのを辞めようと思った。

 

 

私の場合、

クマオに敬意を表明して

「さん」付けしているわけではない。

もちろん「クマオ~」と呼び捨てに

する時もある。

ただ「さん」付けすることで

人前での二人の距離感に対する詮索を

ある程度制御できると思っている。

いつしかクマオも人前では私のことを

「リコさん」とさん付けになった。

そして私はこの「さん」付け呼び合いを

それなりに気に入っている。

 

 

 

そんな話の流れの中で

「クマオさんより年上で

いらっしゃるんですか?」とは

尋ねた。

 

すると「そうよ。少しだけね。」と

返ってきた。

 

 

あとでクマオに聞くと

5歳上だったらしい。

 

 

5歳上を少しだけと言い切れるんだ。

もちろん私などは

それに10歳を足すほどの年上なので

そんな私が言うことではないが、

世間的に5歳上というのは「少しだけ」と

いうことになるのだろうか。

仮に私がクマオより5歳上だったとしても

私はやっぱり5歳も上だし、と思っていた

と思う。

 

いやその辺の感覚、

今の私はもう狂っているから

どうでもいいことだけど。

 

 

そんなことを含め

いろんな意味でこの人の自信家具合が

伝わってきた電話だった。

 

 

そんな人を相手に私は電話をかけて

しまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今年はこんな淡いピンクを

着てみたい。