ピンは痩せてきた。
オムツのサイズはMからSになり
今やもしかしたらSSの方がいいのかなと
思うほどだ。
太らせてあげたいと
フードの量を増やすと途端に下痢をする。
数日前のこと。
ピンを歩かせて散歩していると
いつも挨拶程度でほとんど話すことのない
ご近所の奥さんに突然話しかけられた。
「えらいわね~
ほんとに毎日朝晩でしょ」
「あ・・・はい」
「このワンちゃん、見てると
かわいそうになるんだけど
でも一生懸命歩いてるでしょ」
「うん、そうですね」
「きっとね、
あなたとずっとこうやって歩いて
いたいと思ってるのよね」
「そうでしょうか・・」
「そうよ、そうに決まってるじゃない。
だから見てるだけで
こっちも胸にくるものがあるのよ」
「ありがとうございます」
私は涙がこぼれそうになった。
「がんばってね。
あなたもワンちゃんもね」
散歩を終えて家に入ると
涙があふれてきた。
玄関でピンを抱いてひとしきり泣いた。
何の涙だろう。
優しい言葉をかけられたからなのか、
ピンへの愛おしさや
遠くないお別れのこと
ピンのがんばりや気持ち・・・
うまく言語化できないが
ギュっと胸に迫るものを感じた。
夜クマオに話すと
クマオもぽろぽろ泣きだした。
ピンを抱いて
ピンに顔を近づけて
泣いているので
「クマオパパ、
失礼やな~
まだ生きてんのにな~」と
茶化した。
・・・・・・・・
その後
お風呂に入ろうと
脱衣所に行くと黒い影が
動いた。
ゴキだ。
キャ~と声が出た。
その声に
「どうした・・あ、ゴキやな。
よっしゃ」と即座に反応するクマオ。
スプレーを手に一瞬で抹殺。
その後亡骸を多めのティッシュで
つまんでゴミ箱にポイと
スムーズな一連の動き。
「クマオさん、ありがとう」
そう言うと、
「うん・・
何か・・
何やろ、
かわいそうになってきた」と
ありえないほどの
慈悲深いことを言う。
「何かさっきのゴキ、
痩せててな、
ピンと被った・・・」と
また目を赤くしているので
「ゴキといっしょにせんといて~」と
言ったが
クマオの言わんとしていることは
痛いほど伝わる。
ピンは確実にクマオと私の子に
なっている。
交換カバーが届いた。
クマオが大喜びしてくれたので
私も嬉しくなった。

