それほどその彼女が好きだと
言いながら、
Iは離婚を頑なに拒んだ。
「どうやって生活していくねん。
オレの給料がなかったら
生きていかれへんくせに」
確かにそうだった。
だが、このIの言い分は、
私を思ってのことではない。
Iがこんなふうに言うのは
他に本当の理由があった。
私はそれに気づいていた。
当時Iは自分の父親の会社の仕事を
していたが、
私の実家の会社の株主にもなっており。
他にも不動産の管理などを任されていた。
それはIにとってはおいしい収入だった。
その上、
私の父親から高級時計やゴルフ道具、
事ある度に洋服なども買ってもらって
いた。
父親が買った見栄えのいい外車は
実質Iが乗り回していた。
これらは控えめに言っても
Iのお給料の範囲内でできることでは
なかった。
Iは、私の実家の恩恵をかなり受けており、
その贅沢がすっかり身に付いてしまって
いたのだ。
つまるところ、
この場に及んで尚、Iが離婚を拒むのは
私や子供たちと離れることが寂しかった
からではなく、
私といることで漏れなく付いてくるその
諸々のオマケを失いたくなかったのだ。
そしてそのオマケこそが今や遊びが中心の
Iのライフスタイルには必要不可欠だったと
いうのは火を見るより明らかだった。
もうこの頃になると、
私のIに対する気持ちは憎しみしかなく、
本当に業を煮やしていた。
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